BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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駆けよペーパードライバー【午後3時〜午後4時】

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 辺りの景色が、完全なる住宅街から変わり、ちらほらと商店らしきものが混ざり始めた。本来ならば車が往来するであろう道路は、しかし一台たりとも車は走っておらず、それがなんだか退廃感を際立たせていて不気味だ。

「――なにがあったんだ?」

 二人組と合流すると、相手の名前すら聞かずに本題へと入る春日。察するに、怪我人というのは肩を借りているツナギ姿の男のほうなのであろう。ぱっと見たところ外傷はないようだが。

「実はこの人……あっ、すぐるさんっていうんですけど、どうやら足をくじいてしまったようで」

 学ランの男の説明に大きく頷くツナギ姿の男。

「俺達、ついさっきまで罠に殺されかけとったんや。いきなり地面の陥没が始まってな、その時に負った傷がこれや――。多分、俺やなかったら死んでる」

 ツナギの男はそう言いながら、妙な方角へと視線をやる。つられて視線をやると、やや少し離れたところに立っている建物らしきものが、変な形で傾いているのが見えた。その規模の大きさから見てアーケードみたいなものなのであろう。

「だとしたら、それだけの怪我で済んで良かったな。命があるだけラッキーだ」

 水落が言うと、学ランの男が申し訳なさそうに口を開いた。

「あの、すいません。この人の怪我――罠とは無関係でして。車のブレーキを勢い良く踏んだ時にひねっただけなんです」

 なんだか奇妙な空気が一瞬だけ流れた。それをごまかすかのように、ツナギ姿の男は咳払いをする。

「俺やったからグキってなるだけで済んだけど、普通の人やったら少なくとも複雑骨折はまぬがれんからね」

 ――普通の人であれば、そもそもブレーキを踏んだくらいでグキってならないのではないか。

 本人を除く一同の心の声が聞こえた気がした。それにしても、ツナギ姿の男からは緊張感というものが一切感じられない。状況が状況なだけに、よほどの馬鹿か大物かのどちらかであろう。

「とにかく、手当てをしたほうがいい。いざという時に動けないのは致命傷だろうし、少し寄り道して病院を探しておいて損はない。もしかすると、手当に必要な物資が手に入るかもしれない」

 春日が寄り道を提案するが、しかし陸士長が首を横に振る。

「いいや、そんなことに時間を割いてはいられない。他の参加者が集まっている可能性が高い学校を目指すべきだ。それに、学校にだって保健室があるだろうし、物資の調達なら――」

 随分と具合が悪そうにしていたが、とうとう喋っている最中にふらりと体を揺らし、そのまま倒れてしまいそうになる陸士長。慌てて水落が支えてやる。
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