BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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狂気には凶器を【午後4時〜午後5時】

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 比嘉の言葉を聞き流すかのごとく、無言で引き金に指をかける黒縁の眼鏡。しかし、比嘉は見逃さなかった。その銃口がわずかながらに震えていることを。

「何か勘違いしていないか? とりあえずそいつを降ろして、俺と話をしよう」

 比嘉は相手を諭すようにして拳銃を降ろすように促す。内心ではビビっていることが丸分かりであり、話の持って行きようでは、うまい具合に現状をはぐらかすことができるかもしれない。それに――色々な意味で仲間というものは必要だ。人によって正しく十人十色の利用価値がある。

「は、話をする必要なんてありません! これは、改造されたエアガンです。死にはしないでしょうけど、弾が当たったら痛いと思いますよ!」

 黒縁の言葉に比嘉は内心で苦笑い。自分の手の内をわざわざ明かすなんて、どれだけ親切な人なのであろう。本物か偽物かが分からないからこそ、比嘉に向けられている銃口は牽制力になるわけであって、その銃口から出るのが実弾ではないと分かれば、その銃口は安っぽいものになる。黙っておけば分からないものを。

「いいや、話し合う余地が俺達にはある。どうせあれだろう? 大した事情も知らないくせに、俺がこの人を襲ってやろうとしているように見えた――ってところなんだろう?」

 相手の拳銃が玩具だということが分かれば、もはや恐れるものはなかった。力づくでやり込めてやってもいいのであるが、それだともったいない。どうやら、そこまで頭が回る相手ではないようだし、仲間に引き入れて様子を伺うのもいいだろう。

「事情……ってなんですか?」

 案の定、比嘉の指摘したことは図星だったらしく、小さく咳払いをしてから口を開く黒縁。実際のところ、比嘉のやろうとしていたことは紛れもなく強姦行為だったわけだが、人の心というものは他人からは覗けない。言葉というもっともらしいツールだって、全てが本当であるとは限らない。すなわち、真意はどうであれ、それをごまかすことはいくらでも可能なのだ。

「さっき――といっても、1時間くらい前のことか。あくまでも体感的なものだから正確な時間は分からないが、この学校のグラウンドで爆発があった。それは知ってるか?」

 それらしい言葉を、もっともらしい言葉を並べ立て、黒縁を話の中へと引き込んでいく。小さい頃から嘘ほど得意なものはなかった。

「――直接は見ていませんけど、爆発音らしきものは、ここから離れた場所で聞きました。あれ、ここのグラウンドが発生源だったんですか?」
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