BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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狂気には凶器を【午後4時〜午後5時】

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 その時のことである。ベッドのほうから小さなうめき声が上がったと思ったら、ベッドに寝かせていた女が身をよじらせる。それを見たアガサが「だ、大丈夫ですか?」と真っ先に駆け寄った。女がどこまで覚えているか分からないが、最悪のことを考えるならば、先に手を打っておくべきだろう。もう少し医大生を演じても良かったのだが、仕方あるまい。

「――動くな」

 比嘉は隠し持っていたバタフライナイフを取り出すと、ベッドに横たわる女と、それに駆け寄ったアガサのほうに向かって突きつける。

「ひ、比嘉さん。なんの冗談ですか?」

 振り返ったアガサは、まだ比嘉のことを善良な医大生だと信じているのだろうか。改造されたエアガンを持っているなら、護身目的でもいいから構えればいいというのに、それすらしようとしないアガサ。ここまであっさりと人を信じる馬鹿も珍しい。

「冗談でもなんでもねぇよ。言っとくが、俺には【固有ヒント】なんて関係ねぇんだよ。集めたけりゃ勝手に集めりゃいいし、考察したいのなら好きなだけ考察すればいい。俺は俺のやり方でやらせてもらう」

 バタフライナイフを構えつつ、彼女達のほうへと歩み寄る。アガサは後退りしたいようだったが、残念ながらすでに壁際。ベッドの上の女は、小さなうめき声を上げてから動きがない。

「比嘉さんのやり方って――【固有ヒント】を集める以外にどんな方法があるっ……」

「出会った人間を片っ端からぶっ殺すんだよ。ルールにもあった通り、犯人役であるブービートラップが死亡した場合は、強制的にゲームは終わり、残った人間は解放されるんだ。だったら、誰が犯人役なのか分からなくても、出会った人間からぶっ殺していけば、いずれは必ずブービートラップを殺すことができる。これほど合理的な方法はないだろう?」

 比嘉の発言が気に入らなかったのか、キッと比嘉のほうを睨むと、ようやくエアガンの銃口を向けてくるアガサ。

「そんな自分勝手な真似が許されるとでも思っているんですか? 犯人役でもなんでもないのに、殺されてしまう人の気持ちが分かりますか?」

「犯人役には犯人役の自覚がねぇんだよ。それに、人間ってのは殺された先のことは知りようがねぇ。仮に犯人役だろうが、そうでなかろうが、何も知らずに死ぬんだ。別に後悔はしないだろ?」

 間髪入れずにアガサの説教じみた言葉に返してやる。なにかおかしなことを言っているだろうか。真っ当なことを言っているつもりであるが、アガサから向けられる視線はさらに鋭くなる。
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