BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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暴走するモラルと同調圧力【午後5時〜午後6時】

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 とりあえず他の参加者を探そうと動き出した直後、村山達はなだらかな長い坂に出くわした。坂の両側は綺麗に土が盛られており、直角な壁となっていた。その時点で不自然さに誰かが気づいていれば、もしかすると今でも全員が無事だったのかもしれない。まだ、どこかで油断していたというか、罠によって殺されるという事実が、あまりにも非現実的に思えたのだ。

 磯部が遺憾いかんなくリーダーシップを発揮し、村山達はなだらかな坂をのぼり始めることにした。ただ、磯部はどちらかというとワンマンな部分があり、こちらの意見には耳を貸そうとしないし、頼みもしていないのにみんなを引っ張ろうとする。それだけならまだしも、どうにも言動に根拠が薄かった。

 なだらかな坂をのぼることを決めたのは磯部であるが、その先に何があるのかは磯部自身も分かっていなかった。最初の死亡者が出た学校に向かえば、他の参加者に会えるかもしれない――とは吉良の提案だったのだが、それも磯部によって却下された。とにもかくにも自分が主導権を握っていなければ気が済まないようであり、今思い返せば、磯部のそんなワンマンぶりのせいで、吉良とはぐれてしまったと言っても過言ではない。

 坂をのぼっている最中に、ピエロの人形を見つけた。拾い上げたのは磯部であったが、急に意思を持ったかのごとくケタケタとピエロ人形が笑い出したため、磯部はそれを地面に取り落としてしまった。そのピエロ人形こそが【トラッペ君】ではないかと気づいたのは村山だった。その旨をぽつりと漏らした時、はるか遠くの坂の終着点辺りに、突如として大きな球体らしきものが現れた。どこから現れたのかは分からないが、ごく普通に考えて、坂をのぼった少し先にスタンバイされていたのであろう。今まで見えていなかったものが突如として現れた理由。それは恐らくひとつしかない。こちらに向かって球体が転がってきているのだ。

 ――真っ先に逃げ出したのは磯部だった。それこそ、近くにいた真子のことを押し倒して駆け出したのだ。その球体が物凄い勢いで転がってきていることに気づいた村山は、倒れ込んだ真子の手を取って駆け出した。すでに吉良も駆け出しており、村山と真子が最後尾になるような形。都合の良い時だけリーダーになる磯部は、すでに坂をくだり切っていたようだった。

 真子のことを励ましながら、手を繋いで坂を駆け下りる。あまりにも非現実的な場面が、いきなり目の前につきつけられて動揺したせいか、村山本人も気づかないうちに全身から汗が吹き出す。それは、村山の手の平とて例外ではなかった。実に気持ちの悪い感じで、ぬるりと真子の手を握る手が滑った感覚は、それこそ真子が無事だったから良かったものの、そうでなければトラウマものになっていただろう。
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