BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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ダイニング イン ザ ダイ【午後8時〜午後9時】

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 反動をつけて大きく跳んだ体が、水落達のほう――大穴の壁に向かって戻り始める。危険を承知で体を反転させる春日。上にいる水落からは、うめき声のようなものが漏れた。

 壁にナタ女を叩きつけ、大穴の底へと叩き落とす。そのためには多大なるリスクを背負わねばならなくなり、リスクを背負ったから必ず成功するというわけでもない。ある種、春日の悪あがきだった。

 ほんの一瞬であるはずの時間が長く感じられた。しかし、それでも次第に大穴の壁は近づいてくる。そして、春日は体を反転させたまま――ナタ女の体を壁に叩きつけるような姿勢をキープする。そのままの形で、二人はとうとう大穴の壁に激突した。

 春日の体を腕だけで支えている水落には、かなりの負担となっただろう。その水落を支えている陸士長だって、いくら鍛えているとはいえ負担になったと思う。下手をすれば水落が手を離してしまう可能性もあったが、しかし壁に激突した後も、水落は春日の手を握り続けていてくれた。きっとナタ女の体が緩衝材になったのだろう。――そう、ナタ女は壁に激突してもなお、しっかりと春日の体に抱きついていた。

「痛いぃぃぃぃぃぃ! こんなことするなんて、最低じゃない!」

 ナタ女が狂ったような声を上げ、再び春日の体をのぼろうとする。

「水落! 今すぐこの手を離せ! こいつは私の想定外だ!」

 ナタ女の驚異的な身体能力は春日の想定をはるかに上回っていた。もはや、こうなってしまったら打つ手なし。これ以上の被害を出さぬためにも、春日が犠牲になるしかなかった。こんなところで死ぬわけにはいかなかったが、どうにもならないものはどうにもならない。諦めるしかないだろう。

「ここまで付き合っておきながら、手を離すなんてことはできないね。俺は諦めが悪いんだよ」

 苦しげにしながらも声を絞り出す水落。彼の気持ちは素直に嬉しかったし、春日だって生きることができるのであれば生きたいと思っている。だが、状況が状況なのである。

「駄目だ! このままではみんなに危険が及ぶ恐れがある!」

 春日が叫ぶと同時に、いよいよナタ女の腕が肩へと伸びてきた。大穴の壁に体を打ち付けたはずなのに、どうして平気でいられるのだろうか。火事場の馬鹿力なんてものではないではないか。

 こうなったら、こちらから手を離してやろう。そうでもしなければ、この状況をどうにかすることはできない。春日が覚悟を決めた時のことだった。
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