巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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すれ違う狂気

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「大ヒントって言われてもねぇ……。捜査一課の皆様が身を粉にしても犯人の糸口さえ掴めていないのに、万年定時退社の俺達に何が分かるのかってことだよな」

 田之上は煙草を地面に放り投げ、足で火を揉み消すと、けだるそうに欠伸をしてみせた。

「そうそう、これで事件を解決したとしても、どうせ手柄は一課のものだし。もう帰ってダラダラしようよぉ」

 そう言いながら、鏡をバッグから取り出すと、自分の顔を角度を変えつつ確認する雅。化粧崩れがないか確認しているのだろうが、改めて女性とは大変だなと思う。

「確かに、二人の言うことにも一理ある。それは、警察のシステム不備とも言えるかもしれないね。でも、そもそもこれは田之上が買った喧嘩だろう? もう少し頭を使って考えてみてよ」

 いよいよ愚痴が大半を占めてきた田之上と雅を諭すかのように言うと、桂は小さく溜め息を漏らしつつ続ける。

「とにかく、僕達次第で中畑という男の人生が大きく左右されるんだ。また捜査一課は冤罪を作り上げようとしているし、何よりも都合が悪くなった時、それを押し付けられるのは僕達なんだよ? そうなるのが嫌だから、例え一課の手柄になるとしてもやるんだよ。余計な火の粉が飛んでこないようにするためにもね」

 警察の焦りが、ろくに証拠もないような一般人を犯人に仕立て上げようとしている。それは紛れもない事実であり、間違っていようものなら大問題だ。いや、中畑が犯人でないことは明白であり、すでに警察は大きな過ちを犯してしまったのかもしれない。

「さて、そろそろ次の現場に向かうとするかねぇ。問題のラブホテル――あそこに行けば、僕の推測の裏付けもできると思うんだ」

 桂はそう言うと、軽くステップを踏みながら、しかも鼻歌まじりで覆面パトカーへと向かう。ボロボロの軽自動車であり、申し訳程度に赤色灯が助手席の足元に転がっているという質素なものである。

「桂の奴、完全にスイッチが入りやがったな。このままじゃ俺達の体がもたない。それに、もう昼飯時だからよ、どっかで飯を食って行こうぜ。堀口のおごりで」

 腕時計に視線を落とすと、確かに昼飯時だった。そこで田之上にしれっとたかられていることに気づいた堀口。

「いやいや、自分のを買う分しか余裕がないですよ!」

 残念ながらそれは事実であり、堀口は基本的に必要最低限のお金しか持ち歩かない。なんというか、余計なお金が入っていることが気持ち悪いのだ。
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