巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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すれ違う狂気

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「署に帰れば私お弁当があるし、ダイエットもしてるから外食は嫌だなぁ」

 いつも弁当を持参する雅は、今日も例外なく弁当を六課へと持って来ているようだ。なんにせよ、たかられそうになっている堀口からすれば、ありがたい援護射撃だ。

「焼きプリン馬鹿みたいに食っときながらダイエットもへったくれもねぇだろうが――」

 そう漏らすと田之上は舌打ちをひとつ。

「そういえば、よりによって今日は仕出しの弁当頼んじまったじゃねぇか……」

 普段はカップラーメンやらファストフードやらで済ませることの多い田之上だが、パチンコで勝ったとかで、近場の定食屋に数千円の仕出し弁当を頼んだのが今朝のことだ。

「面倒だけど、このまま桂を暴走させるといつまで付き合わされるか分からねぇし、とりあえず六課に戻るか。問題は桂がどう言うかだな――」

 雅、田之上としては署に戻りたいところであろう。特に仕出し弁当をうっかり頼んでしまった田之上は、さっきまで人の金で外食しようと企んでいたが、今はそんな気もすっかり失せたことだろう。

「仕方ねぇ。俺が桂と交渉してくるわ。捜査六課対異常犯罪に妙に興奮しちゃうサイコ野郎との交渉係ってことで――」

「何、そのサブタイトルみたいな感じの奴」

 雅が間髪入れずに漏らす。堀口と雅では桂を説得できないと考えたのだろう。

「とにかく、桂を口説き落とせるのは、この面子の中じゃ俺くらいだろ?」

「――私もやろうと思えば口説き落とせるもん!」

 田之上から言われた言葉で、馬鹿にされたように感じたのであろう。パトカーへと向かった田之上の背中に向かって、変な対抗心を燃やす雅。振り返った田之上が声を荒げる。

「口説き落とすってそういう意味じゃねぇんだよ! そりゃ、あれだ。据え膳食わぬは男の恥だからな。手を合わせて下さい、いたーだきます――ってなるよ! でも、そういう口説き落とすじゃねぇんだよ! このビッチ!」

 こんなところで――憩いの場である公園なんかで喧嘩しないで欲しい。まだ何か言い返せそうとせんばかりの雅を「まぁまぁ」と諭す。なんだか、六課での自分のポジションが定まってきたような気がする。

 待つことしばらく。桂と交渉をしていた田之上が、両手で大きくばつ印を作りながら戻ってきた。

「時間がないから駄目だって――。でも、コンビニ飯くらいなら桂が奢ってくれるってよ。こうなったら仕出し弁当分のコンビニ飯を食うっ!」
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