80 / 95
はがれた化けの皮
2
しおりを挟む
これまでは発覚を恐れ、最大限の注意を払って犯行を繰り返してきたが、もはやその程度では気持ち良くなれないのである。もちろん、手口が大胆になればなるほど、犯行が表に露呈してしまう恐れがある。しかし、彼には確信があった。どれだけ大胆な行動に出ても、警察の目を欺ける自信もだ。
気の早い下半身を諌めつつ、彼は車を近くの目立たぬ場所へと停める。
廃屋はかなり昔から人の住まわぬ無人屋敷となっており、その不気味さから一時期心霊スポットのような扱いを受けていたらしく、中は荒れ放題である。ただ、流行り廃りというものがあるし、何よりも肝試しをするには建物自体が小さいためすっかり飽きられてしまい、いつしか廃屋の周りだけ時が止まったようになっていた。周辺の人間は、その外観の不気味さもあって、まず近寄らない。こんな夜遅くはなおさらだ。
玄関の鍵は壊れているため、そのまま我が家のように玄関を開け放つと、犯行に必要な道具を廃屋の中に運び込んだ。真っ暗な廃屋の中で笑みを漏らす。
もう少しで、例の快感を超える快感を味わうことができる。強要という形になってしまうが、嫌がる夫婦を脅し、目の前で無理矢理性行為にいたらせる。それはそれで妙な背徳感があるというか、想像しただけでゾクゾクとした。存分にそれを楽しんだ後は、妻のほうを犯して美味なる女の梨を食してやろう。メインディッシュである。
彼が妄想の世界へと入り浸りつつあった時のことであった。
「あの、刑事さん……。言われた通り旦那を連れてきました」
廃屋の外から女の声がした。随分とか細い声であったが、彼の耳が逃すわけがない。捜査協力のために、旦那さんを連れてどこどこの廃屋まで来てください――なんて無茶苦茶なお願いを、よくも聞いてくれたものだ。
万が一にも人目につかぬように、裏口から声をかけるようにと、あらかじめ伝えておいた。律儀にも刑事さんの言うことを守って、裏口へと回ってくれたようだ。思わずスキップをしながら裏手に回る。
さぁ、いよいよ始まるのだ。楽しい楽しい殺人劇が。主演、自分。監督、自分。脚本、自分。とある罪のない夫婦が性行為を強要され、挙げ句の果てに焼き殺されてしまう物語。いよいよ――開幕だ。
彼は裏口へと歩み寄ると、ターゲットを招き入れるために、裏口をそっと開けた。もちろん、ニヤついた顔は隠して、いつも被っている仮面を装着する。真面目な刑事さん――まさか、カップル連続猟奇殺人鬼だなんて思えないほど、優しい優しい刑事さん。こちらが優位に立つまで、その仮面をしっかりと被っておかねばならない。
気の早い下半身を諌めつつ、彼は車を近くの目立たぬ場所へと停める。
廃屋はかなり昔から人の住まわぬ無人屋敷となっており、その不気味さから一時期心霊スポットのような扱いを受けていたらしく、中は荒れ放題である。ただ、流行り廃りというものがあるし、何よりも肝試しをするには建物自体が小さいためすっかり飽きられてしまい、いつしか廃屋の周りだけ時が止まったようになっていた。周辺の人間は、その外観の不気味さもあって、まず近寄らない。こんな夜遅くはなおさらだ。
玄関の鍵は壊れているため、そのまま我が家のように玄関を開け放つと、犯行に必要な道具を廃屋の中に運び込んだ。真っ暗な廃屋の中で笑みを漏らす。
もう少しで、例の快感を超える快感を味わうことができる。強要という形になってしまうが、嫌がる夫婦を脅し、目の前で無理矢理性行為にいたらせる。それはそれで妙な背徳感があるというか、想像しただけでゾクゾクとした。存分にそれを楽しんだ後は、妻のほうを犯して美味なる女の梨を食してやろう。メインディッシュである。
彼が妄想の世界へと入り浸りつつあった時のことであった。
「あの、刑事さん……。言われた通り旦那を連れてきました」
廃屋の外から女の声がした。随分とか細い声であったが、彼の耳が逃すわけがない。捜査協力のために、旦那さんを連れてどこどこの廃屋まで来てください――なんて無茶苦茶なお願いを、よくも聞いてくれたものだ。
万が一にも人目につかぬように、裏口から声をかけるようにと、あらかじめ伝えておいた。律儀にも刑事さんの言うことを守って、裏口へと回ってくれたようだ。思わずスキップをしながら裏手に回る。
さぁ、いよいよ始まるのだ。楽しい楽しい殺人劇が。主演、自分。監督、自分。脚本、自分。とある罪のない夫婦が性行為を強要され、挙げ句の果てに焼き殺されてしまう物語。いよいよ――開幕だ。
彼は裏口へと歩み寄ると、ターゲットを招き入れるために、裏口をそっと開けた。もちろん、ニヤついた顔は隠して、いつも被っている仮面を装着する。真面目な刑事さん――まさか、カップル連続猟奇殺人鬼だなんて思えないほど、優しい優しい刑事さん。こちらが優位に立つまで、その仮面をしっかりと被っておかねばならない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
7月は男子校の探偵少女
金時るるの
ミステリー
孤児院暮らしから一転、女であるにも関わらずなぜか全寮制の名門男子校に入学する事になったユーリ。
性別を隠しながらも初めての学園生活を満喫していたのもつかの間、とある出来事をきっかけに、ルームメイトに目を付けられて、厄介ごとを押し付けられる。
顔の塗りつぶされた肖像画。
完成しない彫刻作品。
ユーリが遭遇する謎の数々とその真相とは。
19世紀末。ヨーロッパのとある国を舞台にした日常系ミステリー。
(タイトルに※マークのついているエピソードは他キャラ視点です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる