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3.深まる謎と疑惑
3.深まる謎と疑惑 1
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【1】
「電話は繋がらない。嵐のせいで船も出せない。なんか、本当にテンプレの推理小説みたいになってきたね」
リネン室に向かう道中で英梨が呟いた。このテンプレのミステリを呼び寄せてしまったことに、多少なりとも責任を感じている蘭は、少しばかり気の利いたことを言ったつもりだった。
「でも、どんな三文小説でも、必ず最後には探偵が解決する。だから、この事件もきっと――」
その探偵役が蘭の言葉を隣から喰った。
「いや、最近のは探偵そのものが犯人だったり、全員が死んでしまったあとに犯人がほくそ笑む――なんて結末の推理小説も増えてる。だから油断は禁物だ。もっと言ってしまえば、この状況で犯人を探し出そうなんて、次のターゲットは自分にして下さいと言っているようなものなんだ。いざとなった時、自分の身は自分で守ってくれよ」
せっかく、少しでも英梨の不安を緩和できればと思ったが、安楽がそれを邪魔した。少しは気を遣えないのだろうか。
外は相変わらずの嵐で薄暗いが、しかし時刻は7時を過ぎようとしていた。あの後、今後の方針を決めるということで食堂に集まったものの、菱田が示した指針は、嵐が止み、予定通り船が迎えに来るまで、可能な限りみんなでひとつの場所に集まっておく――というものだった。その意見に異論をとなえる者はいなかったが、しかし諸手を挙げて賛同する者もいなかった。起きていることが非現実的すぎて、頭の処理が追いつかない。重要な判断は他人任せにするのがもっとも簡単だ。
もう一度、現場を調べておきたい。そう、安楽が言い出した――正確には蘭がそう言わせたのがついさっきのこと。危険を伴うかもしれないから、単独での行動は認めないと菱田が言い出したものだから、蘭が同行者として立候補した。その際、英梨もまた挙手したゆえに、こうして3人でリネン室へと向かうことになった。蘭は安楽の幼馴染であるし、例えジンクスに過ぎずとも、このような事態を引き起こした責任のようなものを感じていたから、こうして安楽と行動を共にするが、英梨はどんな気持ちで同行しようと考えたのか。そこまでほじくり返す気にはなれなかった。
リネン室の前にたどり着くと、安楽がドアノブに手を伸ばし、そしてゆっくりと扉を開ける。そこにはすでに麗里の遺体がないとわかっているだろうに、随分と慎重だった。
「まずは、ざっと事件を振り返ってみようか」
「電話は繋がらない。嵐のせいで船も出せない。なんか、本当にテンプレの推理小説みたいになってきたね」
リネン室に向かう道中で英梨が呟いた。このテンプレのミステリを呼び寄せてしまったことに、多少なりとも責任を感じている蘭は、少しばかり気の利いたことを言ったつもりだった。
「でも、どんな三文小説でも、必ず最後には探偵が解決する。だから、この事件もきっと――」
その探偵役が蘭の言葉を隣から喰った。
「いや、最近のは探偵そのものが犯人だったり、全員が死んでしまったあとに犯人がほくそ笑む――なんて結末の推理小説も増えてる。だから油断は禁物だ。もっと言ってしまえば、この状況で犯人を探し出そうなんて、次のターゲットは自分にして下さいと言っているようなものなんだ。いざとなった時、自分の身は自分で守ってくれよ」
せっかく、少しでも英梨の不安を緩和できればと思ったが、安楽がそれを邪魔した。少しは気を遣えないのだろうか。
外は相変わらずの嵐で薄暗いが、しかし時刻は7時を過ぎようとしていた。あの後、今後の方針を決めるということで食堂に集まったものの、菱田が示した指針は、嵐が止み、予定通り船が迎えに来るまで、可能な限りみんなでひとつの場所に集まっておく――というものだった。その意見に異論をとなえる者はいなかったが、しかし諸手を挙げて賛同する者もいなかった。起きていることが非現実的すぎて、頭の処理が追いつかない。重要な判断は他人任せにするのがもっとも簡単だ。
もう一度、現場を調べておきたい。そう、安楽が言い出した――正確には蘭がそう言わせたのがついさっきのこと。危険を伴うかもしれないから、単独での行動は認めないと菱田が言い出したものだから、蘭が同行者として立候補した。その際、英梨もまた挙手したゆえに、こうして3人でリネン室へと向かうことになった。蘭は安楽の幼馴染であるし、例えジンクスに過ぎずとも、このような事態を引き起こした責任のようなものを感じていたから、こうして安楽と行動を共にするが、英梨はどんな気持ちで同行しようと考えたのか。そこまでほじくり返す気にはなれなかった。
リネン室の前にたどり着くと、安楽がドアノブに手を伸ばし、そしてゆっくりと扉を開ける。そこにはすでに麗里の遺体がないとわかっているだろうに、随分と慎重だった。
「まずは、ざっと事件を振り返ってみようか」
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