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ようこそ特進クラスへ その3
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朝から非常に疲れた。
そして現在進行形で秒単位で心労が蓄積している。
人間、あんまりにも疲れすぎると考えるのを放棄するんだね。
だって今さっき目の前で起きた事が理解できないもの。
でもそれはわたしだけじゃない。
日本有数の頭脳を持つ特進クラスの生徒たちが、揃いもそろって皆同じ顔をしている。
どんな顔だって?
鳩が豆鉄砲を食らったような顔だよ。
「圭さま…それはご冗談、ですわよね?」
「失礼だな。そんなわけないじゃないか。僕の嘘偽りのない本心だよ」
はっきりと言い切る圭に、宮森は身体を震わせながら「そんな…だって…」と虚ろげにつぶやいている。
顔色の悪さはわたしに引けを取らいない。
ちなみにわたしも同じようにガタガタと震えている。
圭に手を握られていなかったら今すぐ教室から飛び出して校舎の窓からダイナミックジャンプを決めたいくらいには動揺している。
「そういうことだから、」
圭はわたしの肩を寄せると花開くような笑顔で言った。
「僕の大事な麻実と、みんなも仲良くしてね。あ、でも、あんまり仲良くなりすぎると僕が嫉妬しちゃうから、ほどほどにね」
前半はクラスを眺めながら、後半はわたしにささやくように言う。
ガタン、と何かが倒れる大きな音がした。
静まり返っていた教室に悲鳴とざわめきが戻る。
しかしわたしはそれどころじゃない。
何で。何が起きてるの。まったく理解できないんだけど!?
「どうしたの麻実?震えてるよ?」
どうしたの?じゃないよ!
あんたの方がどうしたのよ!!?
その心底心配しているような顔面に思いっきり拳をねじ込んで頭のネジを直してやろうか?!
いや何いってるのか自分でも訳わかんないけど!落ち着いて自分!!
大丈夫、圭の今の言葉に深い意味はない。
きっと特進クラスでボッチになるわたしを気遣っての言葉。そうそれだけ!他意はない!!
とゆーか余計な気を回すなら放置してくれている方がよっぽど良いのに、ふざけんな!
あれだけ目立ちたくないって言ってるのに!
まじでコイツあとで覚えてろよ…!!
脳内でありとあらゆる罵詈雑言を吐いてる最中、麻美は目にうっすらと涙をためながら顔を赤くしたり青くしたりと百面相を繰り広げていた。
圭はその様子を面白そうに眺めながら、かわいいなぁと目を細める。
もちろん声には出さない。言えば怒ると知っているから。
それが麻実の目にはどう映ったのか、キッと圭を睨みつけると「ちょっときて」と腕を引っ張られる。
圭は飼い主についていく犬のように、喜んで麻実の後をついて行った。
そうして勇んで教室から出たものの、今日初めてきた特進クラスの校舎。
麻実の足は自然と挙動不審となる。圭が「人のいないところがいい?」と伺うように聞けば「わかってるなら最初からそこに連れて行きなさいよ!」と怒られた。相当テンパってるらしい。圭は「ごめんね」と謝るとそのまま麻実の手を引いて廊下を歩きだす。その顔はやっぱり嬉しそうだった。
********
まるで学校とは思えない宮殿のような煌びやかな廊下を、思考停止状態のわたしは圭に手を引っ張られるままに歩いていた。
ああ…こんなことになるならやっぱり学校来なければよかった…
朝、我が家に物騒なものが仕掛けられていると知ったわたしは、もちろんすぐに撤去するよう指示した。
なぜかごねる圭とのやり取りで疲労困憊し、半分投げやりな気持ちでそのまま登校することに。
宮森に刺されそうになったら圭を盾に使ってやるつもりだった。
で、初めて見た特進クラスの校舎は学校とは思えないほど豪華絢爛な造りとなっており、正直ドン引きした。
とりあえず職員室に挨拶に行き、圭に案内されながら恐る恐る3年の教室に足を踏み入れれば、広い教室にはたった5人しか生徒がおらずかなり拍子抜けしたのである。もちろん宮森もいない。
そんな生徒たちの反応も、圭の存在には驚きはするもののわたしの事は0.001秒視界に入れてスルー。
あまりのスルーっぷりに自分で自分の頬をつねり己の存在を確認したほどだ。
聞けば生徒の半分はほとんど学校には来ておらず、残りの半分が揃うのも3時限目ごろとのこと。
そんな出席率だからか授業もほぼ自習らしい。
ただでさえ高い青葉学園の、さらに数倍もする特進クラスなのにこの放置さ加減。
庶民の感覚で言えば授業料詐欺に等しい。
わたしは借金を背負ってここに学びに来てるのだ、冗談じゃない。
特に問題もなく授業が進み、2限目が終わる頃には緊張が解け、むしろ普通クラスよりも快適なんじゃ、とすら思っていた。
が、3時限目になると状況が一変した。
ぽつぽつと登校し始めた生徒たちは、教室にいる圭に驚き(圭も普段教室にいないらしい)、次に隣に座る見たことも無い地味な女の存在に気付きつつも道端の石ころを見るかのようにスルーし、しかし圭が嬉しそうにわたしに話しかける姿に驚愕しわたしの存在を認知する、という一連のパターンが繰り返されたのである。
そうしてざわめき始めた教室に宮森が登場。
宮森はすぐにわたしに詰め寄り「広瀬さん、これはどういうことですの?」と笑顔を引きつらせながら聞いてきた。
それに答えたのは圭である。
「今日から広瀬さん…麻実も特進クラスになったんだ。僕がずっと昔から大好きな、大切な女の子だよ」
そう言って甘い笑顔を向けてくる男が、麻美には悪夢に出てくる怪物にしか見えなかった。
そして現在進行形で秒単位で心労が蓄積している。
人間、あんまりにも疲れすぎると考えるのを放棄するんだね。
だって今さっき目の前で起きた事が理解できないもの。
でもそれはわたしだけじゃない。
日本有数の頭脳を持つ特進クラスの生徒たちが、揃いもそろって皆同じ顔をしている。
どんな顔だって?
鳩が豆鉄砲を食らったような顔だよ。
「圭さま…それはご冗談、ですわよね?」
「失礼だな。そんなわけないじゃないか。僕の嘘偽りのない本心だよ」
はっきりと言い切る圭に、宮森は身体を震わせながら「そんな…だって…」と虚ろげにつぶやいている。
顔色の悪さはわたしに引けを取らいない。
ちなみにわたしも同じようにガタガタと震えている。
圭に手を握られていなかったら今すぐ教室から飛び出して校舎の窓からダイナミックジャンプを決めたいくらいには動揺している。
「そういうことだから、」
圭はわたしの肩を寄せると花開くような笑顔で言った。
「僕の大事な麻実と、みんなも仲良くしてね。あ、でも、あんまり仲良くなりすぎると僕が嫉妬しちゃうから、ほどほどにね」
前半はクラスを眺めながら、後半はわたしにささやくように言う。
ガタン、と何かが倒れる大きな音がした。
静まり返っていた教室に悲鳴とざわめきが戻る。
しかしわたしはそれどころじゃない。
何で。何が起きてるの。まったく理解できないんだけど!?
「どうしたの麻実?震えてるよ?」
どうしたの?じゃないよ!
あんたの方がどうしたのよ!!?
その心底心配しているような顔面に思いっきり拳をねじ込んで頭のネジを直してやろうか?!
いや何いってるのか自分でも訳わかんないけど!落ち着いて自分!!
大丈夫、圭の今の言葉に深い意味はない。
きっと特進クラスでボッチになるわたしを気遣っての言葉。そうそれだけ!他意はない!!
とゆーか余計な気を回すなら放置してくれている方がよっぽど良いのに、ふざけんな!
あれだけ目立ちたくないって言ってるのに!
まじでコイツあとで覚えてろよ…!!
脳内でありとあらゆる罵詈雑言を吐いてる最中、麻美は目にうっすらと涙をためながら顔を赤くしたり青くしたりと百面相を繰り広げていた。
圭はその様子を面白そうに眺めながら、かわいいなぁと目を細める。
もちろん声には出さない。言えば怒ると知っているから。
それが麻実の目にはどう映ったのか、キッと圭を睨みつけると「ちょっときて」と腕を引っ張られる。
圭は飼い主についていく犬のように、喜んで麻実の後をついて行った。
そうして勇んで教室から出たものの、今日初めてきた特進クラスの校舎。
麻実の足は自然と挙動不審となる。圭が「人のいないところがいい?」と伺うように聞けば「わかってるなら最初からそこに連れて行きなさいよ!」と怒られた。相当テンパってるらしい。圭は「ごめんね」と謝るとそのまま麻実の手を引いて廊下を歩きだす。その顔はやっぱり嬉しそうだった。
********
まるで学校とは思えない宮殿のような煌びやかな廊下を、思考停止状態のわたしは圭に手を引っ張られるままに歩いていた。
ああ…こんなことになるならやっぱり学校来なければよかった…
朝、我が家に物騒なものが仕掛けられていると知ったわたしは、もちろんすぐに撤去するよう指示した。
なぜかごねる圭とのやり取りで疲労困憊し、半分投げやりな気持ちでそのまま登校することに。
宮森に刺されそうになったら圭を盾に使ってやるつもりだった。
で、初めて見た特進クラスの校舎は学校とは思えないほど豪華絢爛な造りとなっており、正直ドン引きした。
とりあえず職員室に挨拶に行き、圭に案内されながら恐る恐る3年の教室に足を踏み入れれば、広い教室にはたった5人しか生徒がおらずかなり拍子抜けしたのである。もちろん宮森もいない。
そんな生徒たちの反応も、圭の存在には驚きはするもののわたしの事は0.001秒視界に入れてスルー。
あまりのスルーっぷりに自分で自分の頬をつねり己の存在を確認したほどだ。
聞けば生徒の半分はほとんど学校には来ておらず、残りの半分が揃うのも3時限目ごろとのこと。
そんな出席率だからか授業もほぼ自習らしい。
ただでさえ高い青葉学園の、さらに数倍もする特進クラスなのにこの放置さ加減。
庶民の感覚で言えば授業料詐欺に等しい。
わたしは借金を背負ってここに学びに来てるのだ、冗談じゃない。
特に問題もなく授業が進み、2限目が終わる頃には緊張が解け、むしろ普通クラスよりも快適なんじゃ、とすら思っていた。
が、3時限目になると状況が一変した。
ぽつぽつと登校し始めた生徒たちは、教室にいる圭に驚き(圭も普段教室にいないらしい)、次に隣に座る見たことも無い地味な女の存在に気付きつつも道端の石ころを見るかのようにスルーし、しかし圭が嬉しそうにわたしに話しかける姿に驚愕しわたしの存在を認知する、という一連のパターンが繰り返されたのである。
そうしてざわめき始めた教室に宮森が登場。
宮森はすぐにわたしに詰め寄り「広瀬さん、これはどういうことですの?」と笑顔を引きつらせながら聞いてきた。
それに答えたのは圭である。
「今日から広瀬さん…麻実も特進クラスになったんだ。僕がずっと昔から大好きな、大切な女の子だよ」
そう言って甘い笑顔を向けてくる男が、麻美には悪夢に出てくる怪物にしか見えなかった。
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