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紅茶の香りと決意
6話 やさしい陽だまりと見送り
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ルシアンは少し緊張しながら、朝からお茶会の支度をしていた。
ユリウスはというと、楽しみで仕方がないのか、いつも以上にソワソワしている。
「お母様、早く行こうよ!」
手を引きながら、ユリウスは嬉しそうに笑った。
ルシアンは微笑みつつ、小さなバッグの留め金を整える。
「もう少し待ってね、ユリウス。今日は失敗しないように、しっかり準備してから出かけたいの」
そのとき、ユリルクも帽子をかぶり、小さなバッグを握りしめてトコトコと近づいてきた。
どうやら、一緒に行くつもりらしい。
ハンナはその姿に思わず笑いながら声をかけた。
「ユリルク様、今日はお出かけしませんよ」
「え?」
ユリルクはキョトンとした顔をし、次の瞬間、ユリウスの袖をぎゅっと掴んだ。
ユリウスはしゃがみ込み、弟の目線に合わせて優しく言う。
「ユリルク、今日はお母様と僕だけなんだ。ごめんね。すぐ帰ってくるから!」
ルシアンも少し困ったように微笑む。
「ユリルク、いい子で待っててね……?」
けれどユリルクは首を振り、「イヤなのー! いくのー!」と小さな声でイヤイヤを始めた。
ルシアンは途方に暮れ、ため息をつく。
「どうしよう……ユリルクを連れて行きたいけど、子どもはまだデビューの年でもないし……」
そこへ、セバスが控えめに声をかけた。
「ルシアン様、そろそろお時間です」
ハンナが抱き上げようとするも、ユリルクはユリウスにしがみついて離れない。
ルシアンはうーんと唸り、ほんの少し焦りを滲ませた。
━━━
そのときだった。
玄関の扉が静かに開き、出かけたはずのレオニスが戻ってきた。
「……レオニス様!? 忘れ物ですか?」
驚いたルシアンに、レオニスは穏やかな笑みを浮かべた。
「いや、忘れ物ではないよ。今日はお茶会だろう? 君が少し緊張していたから、心配で……」
そう言うと、ユリルクのもとへ歩み寄り、ひょいと抱き上げた。
「ユリルク、今日はパパと一緒にいようか」
「えっ……! あの、仕事は……?」
ルシアンが目を丸くすると、レオニスは何でもないように答える。
「うん? ユリルクも連れて行くよ。大丈夫だ」
セバスを見ると、彼もにこやかに頷いた。
「旦那様がいらっしゃれば、問題ございません」
「……仕事場に、子どもを?」
ルシアンがまだ半信半疑のまま尋ねると、レオニスは肩をすくめて笑った。
「少しくらいなら構わないさ。ユリルクも、父と過ごすのは久しぶりだろう?」
ユリルクは嬉しそうに「パーパー!」と声をあげ、レオニスの首にぎゅっと腕を回す。
頬をすり寄せ、にこにこと笑うその姿に、ルシアンの頬も自然と緩んだ。
それでも、胸の奥にはほんのわずかな不安が残る。
──本当に大丈夫だろうか。
けれど、レオニスが「任せておけ」と言うのなら、きっと大丈夫なのだろう。
「……それでは、ユリルクのこと、どうかよろしくお願いします」
ルシアンがおずおずと頭を下げると、レオニスは穏やかな笑みで頷いた。
「任せておけ。気をつけて行っておいで」
その言葉に背を押され、ルシアンはユリウスとともに馬車へ乗り込む。
馬車がゆっくりと動き出すと、ユリウスは外の景色を眺めながら嬉しそうに言った。
「お母様、今日は絶対に楽しい日になるね!」
ルシアンは頬を緩め、窓の外に見えるレオニスへ手を振る。
「ええ、そうね。きっといい一日になるわ」
レオニスは小さく手を振り返し、ユリルクを抱いたまま穏やかに微笑んでいた。
朝の陽光が、四人のそれぞれの一日をやさしく照らしていた。
ユリウスはというと、楽しみで仕方がないのか、いつも以上にソワソワしている。
「お母様、早く行こうよ!」
手を引きながら、ユリウスは嬉しそうに笑った。
ルシアンは微笑みつつ、小さなバッグの留め金を整える。
「もう少し待ってね、ユリウス。今日は失敗しないように、しっかり準備してから出かけたいの」
そのとき、ユリルクも帽子をかぶり、小さなバッグを握りしめてトコトコと近づいてきた。
どうやら、一緒に行くつもりらしい。
ハンナはその姿に思わず笑いながら声をかけた。
「ユリルク様、今日はお出かけしませんよ」
「え?」
ユリルクはキョトンとした顔をし、次の瞬間、ユリウスの袖をぎゅっと掴んだ。
ユリウスはしゃがみ込み、弟の目線に合わせて優しく言う。
「ユリルク、今日はお母様と僕だけなんだ。ごめんね。すぐ帰ってくるから!」
ルシアンも少し困ったように微笑む。
「ユリルク、いい子で待っててね……?」
けれどユリルクは首を振り、「イヤなのー! いくのー!」と小さな声でイヤイヤを始めた。
ルシアンは途方に暮れ、ため息をつく。
「どうしよう……ユリルクを連れて行きたいけど、子どもはまだデビューの年でもないし……」
そこへ、セバスが控えめに声をかけた。
「ルシアン様、そろそろお時間です」
ハンナが抱き上げようとするも、ユリルクはユリウスにしがみついて離れない。
ルシアンはうーんと唸り、ほんの少し焦りを滲ませた。
━━━
そのときだった。
玄関の扉が静かに開き、出かけたはずのレオニスが戻ってきた。
「……レオニス様!? 忘れ物ですか?」
驚いたルシアンに、レオニスは穏やかな笑みを浮かべた。
「いや、忘れ物ではないよ。今日はお茶会だろう? 君が少し緊張していたから、心配で……」
そう言うと、ユリルクのもとへ歩み寄り、ひょいと抱き上げた。
「ユリルク、今日はパパと一緒にいようか」
「えっ……! あの、仕事は……?」
ルシアンが目を丸くすると、レオニスは何でもないように答える。
「うん? ユリルクも連れて行くよ。大丈夫だ」
セバスを見ると、彼もにこやかに頷いた。
「旦那様がいらっしゃれば、問題ございません」
「……仕事場に、子どもを?」
ルシアンがまだ半信半疑のまま尋ねると、レオニスは肩をすくめて笑った。
「少しくらいなら構わないさ。ユリルクも、父と過ごすのは久しぶりだろう?」
ユリルクは嬉しそうに「パーパー!」と声をあげ、レオニスの首にぎゅっと腕を回す。
頬をすり寄せ、にこにこと笑うその姿に、ルシアンの頬も自然と緩んだ。
それでも、胸の奥にはほんのわずかな不安が残る。
──本当に大丈夫だろうか。
けれど、レオニスが「任せておけ」と言うのなら、きっと大丈夫なのだろう。
「……それでは、ユリルクのこと、どうかよろしくお願いします」
ルシアンがおずおずと頭を下げると、レオニスは穏やかな笑みで頷いた。
「任せておけ。気をつけて行っておいで」
その言葉に背を押され、ルシアンはユリウスとともに馬車へ乗り込む。
馬車がゆっくりと動き出すと、ユリウスは外の景色を眺めながら嬉しそうに言った。
「お母様、今日は絶対に楽しい日になるね!」
ルシアンは頬を緩め、窓の外に見えるレオニスへ手を振る。
「ええ、そうね。きっといい一日になるわ」
レオニスは小さく手を振り返し、ユリルクを抱いたまま穏やかに微笑んでいた。
朝の陽光が、四人のそれぞれの一日をやさしく照らしていた。
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