ポケットのなかの空

三尾

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DAY5

98 ※

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「や……まだ……」
 待ってほしい、という頼みは言葉にならなかった。身震いするようなわずかな相手の動きも苦しくて、怖い。
「大丈夫?」
 いったん動きを止めて水元がたずねた。息は上がっているが、声はやさしい。動きも、こちらのおびえを感じ取ったように抑制が効いていた。
 ただ、苦しそうだ。
 水元はやさしい。そのやさしさの代償はいつだって水元自身がすべて引き受けている。まるでやさしいことは罪だとでもいうように。
「大丈夫だ」と響野は答えた。
「……本当に?」
「ああ」
「息してる?」
「してるよ……」
 普段と変わらない調子で言葉を交わし、少しほっとする。
「力を抜いて」と言われると、自分の身体はその通りにゆるんで、きつく締まっていたはずの隘路あいろに余裕を作った。
 前後に揺れる腰の動きが少しずつ大きくなる。熱い昂りに何度も行き来されるうちに、苦しさは別の感覚を帯びていった。
 ほぐす際にふれられた内側のしこりを水元の硬直で擦り上げられると、視界が白み、押し留めようもない声が漏れる。
「ああ……ああ……あっ……」
 響野の腰を両手でしっかりとつかんで、水元が自らを打ちつけてきた。肉体同士がぶつかり合うみだらな音に欲情をかき立てられ、夢中で腰を振る。
 ……ドライブレコーダー。〈終活ファイル〉。祝儀袋。
「顔、見たい」


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