340 / 446
DAY7
29
しおりを挟む
リクエストを受けたのは電気シェーバーだけだったが、スマホが使えない相手の気晴らしになればと携帯式の音楽プレイヤーも持ってきていた。
もっとも、高校時代に使っていた中古品で、プレイリストも自分のものだ。
水元がティッシュで鼻をかみ終えた頃にその話をしてみると、彼は興味を持ったのか「聴かせて」と言ってきた。涙が止まっているのにホッとしながら、響野は手のひらに収まるサイズの音楽プレイヤーを渡す。
イヤホンをはめた水元は、しばらく黙って聞いたあと、ふいに口元をほころばせた。
「これ、昔作ったリスト?」
響野は、水元がしているイヤホンを片方取って自分の耳にはめる。
コールドプレイの『Viva la Vida』のあとに、マルーン5の『Won't Go Home Without You』が流れはじめた。
「高校のはじめの頃だな」と答えると、「そんな感じがする」と水元も相づちを打つ。
「俺も同じ曲を聴いてたよ」
当時を思い出しているような声音に、彼と共有できなかった時間のことを考えた。
どんな高校生活をすごしていたのだろう。父親の実家にはすぐになじめたのだろうか?
ちゃんと友達はいたか? ……好きな相手は?
聞くことでお互いの空白を埋めたい気もするし、相手の過去を知るのが怖い気もする。
もっとも、高校時代に使っていた中古品で、プレイリストも自分のものだ。
水元がティッシュで鼻をかみ終えた頃にその話をしてみると、彼は興味を持ったのか「聴かせて」と言ってきた。涙が止まっているのにホッとしながら、響野は手のひらに収まるサイズの音楽プレイヤーを渡す。
イヤホンをはめた水元は、しばらく黙って聞いたあと、ふいに口元をほころばせた。
「これ、昔作ったリスト?」
響野は、水元がしているイヤホンを片方取って自分の耳にはめる。
コールドプレイの『Viva la Vida』のあとに、マルーン5の『Won't Go Home Without You』が流れはじめた。
「高校のはじめの頃だな」と答えると、「そんな感じがする」と水元も相づちを打つ。
「俺も同じ曲を聴いてたよ」
当時を思い出しているような声音に、彼と共有できなかった時間のことを考えた。
どんな高校生活をすごしていたのだろう。父親の実家にはすぐになじめたのだろうか?
ちゃんと友達はいたか? ……好きな相手は?
聞くことでお互いの空白を埋めたい気もするし、相手の過去を知るのが怖い気もする。
1
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【完結】ずっと一緒にいたいから
隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。
J庭57のために書き下ろしたお話。
同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!
イロ、芽吹く
たがわリウ
BL
組の若頭×ワケあり美青年
借金を払わずに逃げた父に代わり、みつきは、ある組の若頭の世話をするよう命じられる。
若頭は冷たい雰囲気だが、誰にも媚びず、カリスマ性のある男だった。
ぎこちなかったふたりは、次第にお互いに気持ちを膨らませていく。
若頭として抱えた大きな仕事の日、妨害する他の組にみつきが拐われてしまい──。
受が女性のフリをしています。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
下っ端公務員の俺は派遣のαに恋してる【完結済】
tii
BL
市役所勤めの野々宮は、どこにでもいる平凡なβ。
仕事は無難、恋愛は停滞、毎夜の癒しはゲームとストゼロだけ。
そんな日々に現れたのは、派遣職員として配属された青年――朝比奈。
背が高く、音大卒で、いっけん冷たそうに見えるが、
話せば驚くほど穏やかで優しい。
ただひとつ、彼は自己紹介のときに言った。
「僕、αなんです。迷惑をかけるかもしれませんが……」
軽く流されたその言葉が、
野々宮の中でじわりと残り続ける。
残業続きの夜、偶然居酒屋でふたりきりになり――
その指先が触れた瞬間、世界が音を立てて軋んだ。
「……野々宮さんって、本当にβなんですか?」
揺らぎ始めた日常、
“立場”と“本能”の境界が、静かに崩れていく。
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
【第13回BL小説大賞】にエントリーさせて頂きました!
まこxゆず の応援 ぜひよろしくお願いします!
☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。
【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕
hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。
それは容姿にも性格にも表れていた。
なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。
一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。
僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか?
★BL&R18です。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる