ポケットのなかの空

三尾

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DAY7

29

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 リクエストを受けたのは電気シェーバーだけだったが、スマホが使えない相手の気晴らしになればと携帯式の音楽プレイヤーも持ってきていた。
 もっとも、高校時代に使っていた中古品で、プレイリストも自分のものだ。
 水元がティッシュで鼻をかみ終えた頃にその話をしてみると、彼は興味を持ったのか「聴かせて」と言ってきた。涙が止まっているのにホッとしながら、響野は手のひらに収まるサイズの音楽プレイヤーを渡す。
 イヤホンをはめた水元は、しばらく黙って聞いたあと、ふいに口元をほころばせた。
「これ、昔作ったリスト?」
 響野は、水元がしているイヤホンを片方取って自分の耳にはめる。
 コールドプレイの『Viva la Vida美しき生命』のあとに、マルーンファイブの『Won'tウォント Go・ゴー Home・ホーム Without・ウィズアウト You・ユー』が流れはじめた。
「高校のはじめの頃だな」と答えると、「そんな感じがする」と水元も相づちを打つ。
「俺も同じ曲を聴いてたよ」
 当時を思い出しているような声音に、彼と共有できなかった時間のことを考えた。
 どんな高校生活をすごしていたのだろう。父親の実家にはすぐになじめたのだろうか?
 ちゃんと友達はいたか? ……好きな相手は?
 聞くことでお互いの空白を埋めたい気もするし、相手の過去を知るのが怖い気もする。


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感想 1

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