勇者パーティーを追い出されたけど、別に追い出された勇者(美少女)とパーティー組んだら地味に強い

夕凪渚

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勇者同士の出会い

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『パーティー募集中です!こんな哀れな俺をよろしくお願いします!』

  アレグレッグから突然パーティーを追い出された翌日、フェリックはシャトロワの森から王都ギルテリッジにたどり着いていた。今は冒険者ギルドに来ていて、このような可哀想な張り紙を張っている。

  今のフェリックの装備は、アレグレッグのパーティーのルールに沿った装備である。そのルールとは、自分の狩ったモンスターの討伐料や、素材を利用して装備を作るというルールだ。
  つまり、モンスターを一体も討伐できていないフェリックは、貧弱な装備しか装備できていないのである。
  他のメンバーは、Sランク程の魔獣を協力して討伐し、報酬などを山分けしていたが、フェリックはただ突っ立って見ていることしかできなかったのだ。

「誰か来てくれ⋯⋯。今俺は金がないんだよ⋯⋯」

  そう。装備もない上、フェリックは金もない一文無しだったのだ。数年かけて買った今つけている装備を売ればいくらか金にはなるだろうが、そんなことをしたらこの先モンスター討伐なんて出来なくなってしまう。
  
  しかし、今フェリックに一番必要なのは、宿に泊まる金である。それを確保できればとりあえず数日は大丈夫だが、今はその金もない。どこかで稼げる場所があればいいのだが⋯⋯。

「あ、そういえば!」

  と、そこでフェリックは思い出した。
  以前いたパーティー――アレグレッグの率いるパーティーにいたときに、リーダーのアレグレッグが言っていたことがある。それは、この王都ギルテリッジの近くに初級程度の魔獣が出るところがあるということだ。それは"ファステルの丘"と呼ばれる場所だ。そこに行けば宿に泊まれる程の金を稼ぐことができる。そこからさらに行くと、"トアイトンの迷宮"と呼ばれる迷宮があり、そこには中級者から上級者向けの魔獣が出てくるという。

「だけど、ここから離れるわけにもいかないしな⋯⋯」

  そう。フェリックはの今の一番の目的はパーティーに入れてもらうことだ。いくら初級の魔獣といったって魔獣は魔獣。フェリックにとったら強いのかもしれない。

「よし。しばらくここにいて待ってみよう!    そうすれば誰か来るだろうから!」

  そうしてフェリックはしばらく待つことにした。

  それから数十分後。

「⋯⋯やっぱりこない」

  大きなため息を吐きながらそう言う。
  フェリックはしばらく待ったが、パーティーの勧誘は来なかった。

――一組くらい目に止まったっていいじゃないか!――

  それが今のフェリックの思いだった。冒険者は盾代わりに使ったり、噛ませ犬役を任せたりするため、冒険者ギルドに来て使えそうなやつを採用することがよくあるのだが、フェリックはそういう人たちの目にも止まらなかったのだ。とことん哀れである。

「⋯⋯やっぱ俺は恵まれてないんだな。このままここにいても精神がすり減るだけだ。こうなったらファステルの丘に行って荒稼ぎしてやる!」

  フェリックがそう言ってファステルの丘に向かって走り出そうとしたときだった。

「これを見ろ、『哀れな俺をよろしくお願いします』、だと。ふふっ、なかなか面白い張り紙じゃないか」

「ほ、ほんとですね!    こんな張り紙見たことありません」

「そうだねー!    哀れな俺って、一体何があったんだろうー?」

「面白い張り紙なのだ!」

  後ろから聞こえてきた声に思わずフェリックは振り返る。
  そこにいたのは女性4人組だった。それぞれかなり上位の装備を纏っている。しかも、美少女だった。

「あのあの、この張り紙をしている人はどこにいるんでしょう?」

「そうだな、たしかに見当たらない。こんな張り紙をする者はきっと面白いやつだろう。ぜひともパーティーに入れたいのだが――」

  その言葉を聞いたとき、フェリックは地面を力強く蹴って飛び出していた。

「あの!!」

  その言葉に、女性4人組はその声の方向に振り返る。

「その張り紙したの、お、俺です!!」

  フェリックがそう言うと、4人組の中から1人の女性が出てきて、フェリックの顔を覗き込む。褐色肌に、白髪。フェリックは思わず唾を飲み下した。そして。

「はっはっはっ!    お前がこの張り紙をしたのか!    名前はなんという?」

  その女性はフェリックの肩を何度も叩き、名を訊ねてきた。

「フェ、フェリックです。あなたたちは⋯⋯」

  フェリックがそう言うと、白髪の女性はこう言った。

「私たちか?     私たちは、魔王討伐に成功した者たちだ」
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