助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、綾華の父親から任される

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 俺はお構いなくと言い、三人が部屋の外へ出ていくのを見届けた。
 とりあえず、自分の状況を確認しとこう。

 左足の太ももを見てみると包帯が巻かれていた。
 軽く動かそうとするとやはり痛い。
 しばらくは松葉杖か。

 一応、会社に電話しとくか。
 いくら何でもメールだけでクビってことは無いだろう。
 上司の気が変わってれば、四条総裁の頭痛の種も取れるわけだし。

 三回ほどのコール音の後に会社に繋がった。

「お疲れ様です。若宮です」

『ガチャッ、ツーツーツー』

 うわぁ、あからさまだな。こりゃ、マジでクビか。
 念のため、後輩にメールを送るとすぐに返事がきた。
 曰く、上司は怒り心頭で朝礼で俺はクビと周知したということ。
 既にデスクの私物も自宅のアパートに送られたらしい。

 無断欠勤二日だけでここまでするか普通。
 弁解したところでクビが取り消されることは無さそうだ。
 もし、取り消しされたとしても居づらいだけか。

 新卒で入社し、二十年間勤めた会社。
 毎日深夜に家について早朝出勤。
 辛さの中にやりがいを見出し、成長を実感できる時もあり嬉しさもあった。

 ブラック企業だったが、クビになると胸に穴が空いた様な虚しさがあるな。 
 いつの間にか立派な社畜になっていたらしい。

 ふぅ、タバコを吸いたい。
 いつもの癖で左胸に手を伸ばしたが、そこに胸ポケットはなく右手が空を切った。
 あぁ、そうか。バスローブ姿だったっけ。

 思わず、苦笑いが漏らしたタイミングで、部屋がノックされた。

「どうぞ」

 四条総裁が一人だけで入ってきた。
 他の二人が入ってこないということは、男二人っきりで話し合いたいということなんだろう。
 複雑な表情でベットの傍に立つと、言葉を選ぶ様に聞いてくる。

「若宮さん、先ほどは失礼した。少し伺いたいことがある。長くなるがよろしいか」
「構いません。というか、お座りください」

 先ほどまで彼女が座っていた椅子を勧めた。
 客の俺が、家の主に椅子を勧めるというのも変な感じだ。
 四条総裁は軽く礼を言いながら腰かけた。

「単刀直入に聞こう。君は綾華をどう思う?」
「綺麗なお嬢様だと思います。学校卒業後は、各業界の御曹司から沢山アプローチされそうですよね」
「いや、そういうことを聞いているんじゃない。君は男性として、綾華を好きかということだ」

 いや、いきなり好きかって言われても、彼女とは会って一時間も経っていないし会話も数回だ。
 確かに彼女は美少女で素敵だが、それはアイドルや女優を見て思うの一緒だし。
 さっき、抱き着かれてドキドキしたのは事実だが、美少女に抱き着かれれば、男なら恋愛感情なしにドキドキするだろう多分。

「待ってください。綾華さんとは会って一時間も経ってませんし、性格もよく知りません。その状態で好きになるとかあり得ません。第一、年も離れすぎですし、こんなおっさんが恋愛対象になるはずがないでしょう」
「意識を無くしてしまっていた君にとっては一時間かもしれないな。だが、綾華は二日間、君に付きっきりだった。食事と寝る以外は君を看ると言って聞かなかった」
「今日、金曜日ですよね? 食事と寝る以外って学校はどうされたんですか?」
「……休んだ。普段なら許さないのだが、言っても聞かなくてね。こんな事は初めてだよ」
「……それは、なんというかすいません」

 俺が謝ることでもないのだが、自然と謝ってしまうのは日本人の悲しい習性だろうか。
 だが、四条総裁と話して状況が分かってきた。
 多分、俺は彼女に好意を持たれている。
 その対応に苦慮しているということだろう。

「なんとなく、状況は分かりました。ですが、理由が分かりません。なんで私なんですか」
「年端もいかない女の子が、体を張って守ってくれた男性に恋をする。ありがちなパターンだが、今回の様な事態なら尚更じゃないかね」
「そういうもんですか。それで私は綾華さんを傷つけない様に遠ざかればいいんですね?」
「いや、逆だ。君にはこのまま綾華を支えて欲しい」
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