助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、綾華のご両親と話す

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 はい? それはどういう意味でしょうか。

 まるで、出来ちゃった婚の責任を取る男の台詞。
 思わずあっけにとられる俺を尻目に彼女は一人で納得している。
 どう突っ込んでいいか迷っていると、ドアがノックされた。

「お入りになって」

 彼女が返事をすると、高そうなスーツと和服を着た中年の男女が入ってきた。
 スーツ姿の男性の方には見覚えがある。TVで時々みる四条総裁だ。
 と、言うことは隣の和服の女性は四条総裁の奥さんだろう。
 思わず、姿勢を正そうとしたが左足の太ももが傷んだ。チャラ男に刺された箇所だ。

「あぁ、そのままの姿勢でいてください」

 男性が微笑みながら少し低めのダンディな声で止めてきた。
 四条グループの総裁というから威圧感のある人かと思ったが全然違う。
 相手を包み込むかのような雰囲気で安心感がある。

「この度は、娘を救ってくれてありがとうございます。怪我をさせてしまって本当に申し訳ない。治療費や足のリハビリ代などは、当家が責任をもって負担します」

 そう言い、俺なんかに向かって深々と頭を下げてきた。奥さんと彼女あやかも同じ様に下げてきた。
 日本有数のグループ企業の社長家族に揃って、こういう態度を取られると逆に居心地が悪い。

「頭を上げてください。俺は大したことしていません。むしろ、こちらこそ、お世話になってしまい申し訳ありません」
「いや、娘から経緯は聞いています。周りの大人たちが見知らぬフリで去っていく中、君だけが助けてくれたと。それにナイフを持った相手に怯むことなく、娘をかばってくれたと。君が居なければ、娘がどうなっていたことか。本当に感謝していている」

 ……なんだろう、若干良心がいたむ。
 でも、さすがにあの場面で彼女を見捨てたら人間として終わる気がしたし。

「娘に聞いたところ、会社をクビになってしまったとか。再就職先も責任を持って紹介しましょう。どこか希望の会社はありますか」
「お父様、それについてはわたくしに考えがありますの」

 彼女が笑顔で四条総裁へ話しかけた。
 待て、さっきの台詞を言うつもりか?

「わたくし、若宮様の人生をお世話差し上げたいの」

 先程より具体性のある発言に、四条総裁が固まった。

 そりゃ、そうだろう。大事な高校生の娘がいきなり妻になりますとも取れる言葉を口にしたんだ。
 相手は恩人とは言え、素性の知らない男。

 いや、太ももを治療して家に泊めている以上、俺の素性はとっくに調べられているかもしれない。
 病院で治療したなら健康保険証が必要だったろうし。
 四条グループの力をもってすれば、大した経歴のない俺なんてすぐに分かるだろう。

 もし、仮に素性に問題ないと判断されても、父親として娘の発言を平然としては受け止められないだろう。
 しかも、相手がこんな禿散らかし気味で肥満体型の四十歳のおっさんだ。
 奥さんはどうなのだろうとみてみると、何やら目をキラキラさせていた。あらあらまあまあ、という顔だ。

 いや、そこは総裁と一緒に心配すべきでしょう奥さん。
 四条総裁は引きつり笑顔のまま彼女へ向き直る。

「綾華、ちょっと部屋の外で話そうか。すまない、ちょっと待っててくれるかな」
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