助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、綾華と密着する

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「わ、若宮様、この電車に乗らなければいけませんの?」

 綾華は朝の通勤ラッシュ特有の超満員電車を目にして身体をこわばらせていた。
 前回の買い物で乗ったような日曜の空いている電車とはまるで違う。
 初めから最後尾の車両のところに並んだのだが混雑差は他の車両とさほど変わらない。

「うん、これが綾華の学校の最寄り駅に着く電車だからな。俺みたいなおじさん連中と密着したくなければ女性専用車両ってのがあるけどどうする?」
「それですと、若宮様と一緒に乗れないのではなくて?」
「うん、そりゃあ女性専用だからなぁ、俺が乗ったら変質者扱い決定だ」
「若宮様と離れるなんて嫌ですわ。他の殿方に触れるのは良い気がしませんが、若宮様が一緒なら大丈夫ですわ」

 触れるっていうか不特定多数と密着するんだけど分かってないよなぁ、このお嬢様に耐えられるかね。
 時々、おっさんリーマンたちの加齢臭やオーデコロンの臭いのせいで気持ち悪くなって途中下車する学生さんたちよく見るし。
 ましてや、綾華は超満員電車は初体験。不安しかない、他にも不安要素はあるんだけど、それは俺がにらみを利かせてればいいか。

 それに、今さら四条家に戻って車に乗り換えてる時間なんて無いしな。

「じゃ、乗るか。電車に乗ってて気分悪くなったらすぐに言うんだぞ」

 さすがに今回は安心させるために最初から手を握ってあげた。
 綾華は驚いた顔で見てきたが、嬉しそうに握り返してくる。
 名門お嬢様校の制服を着た和風超美少女が、四十歳の三段原薄ハゲ親父の手を握る。
 既に周りから奇異の目を向けられているが、気にしたら負けなので気にしない。

 車掌のアナウンスとともに入ってきた電車は相変わらずの満員状態だった。
 電車の扉が開いても降りる人数はあまりいない。
 ホームに並んでいた人たちと一緒に、既に電車に乗っている人たちを押し込みながら乗り込む。

 綾華が後続に押されない様に俺の前に来させて庇うような立ったため、意図せず綾華のすぐ後ろに俺が密着する形になってしまった。
 綾華の柔らかな感触が直に伝わってくるしし、綾華の髪の毛が目の前にあるからシャンプーのよい匂いがする。

 ……これはヤバイ、ヤバすぎる。
 この状況で反応しない男なんていないわけがない。
 アカン、アカン、何か他の事を考えなければ。

 そうだ、こういう時は円周率だ。
 サンテンイチヨン、サンテンイチヨン、イチヨンの次なんだっけ?
 迷った瞬間に綾華の柔らかさを意識してしまう。

 思わず反応してしまいそうになり腰を引いたが、満員電車のため後ろの人に腰を押し返されて綾華に余計に密着してしまう。
 リーマン時代ならビジネスバックを相手と自分の間に割り込ませてセーフだったのだが、今回は付き添いのためカバンなんて持ってきていない。

 後ろでもぞもぞする俺を訝しんだのか、身動きがとりずらい中、綾華が強引に反転してきた。
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