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おっさん、綾華にコーディネートされる
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「若宮さんは若い頃に運動部でしたか?」
「運動部じゃないけど筋トレで身体は鍛えてたよ。今は全然やってないから見ての通りぜい肉だらけだけど」
「道理でバランスの取れた筋肉をされているわけだ」
「いや、ぜい肉だらけなんだけど?」
「表向きはぜい肉が多いですが、深層筋はしっかりなさっておいでです。一般的に言うインナーマッスルの事です。インナーマッスルがしっかりしている人は体幹も良いので、ダイエットの時に効率よく痩せれますよ」
そういや、昔に流行ったなインナーマッスル。
あの時は何の事かチンプンカンプンだったけど、とりあえず小さい頃に鍛えたのは無駄じゃなかったのか。
「じゃあ、気が向いたら久しぶりに筋トレしてみようかな。前と違って時間は沢山あるし。綾華さんも太っているより痩せている男の方がいいでしょ?」
「わたくしは、ふくよかな若宮様でも良いのですけれど」
綾華は顔を赤らめながら困った顔で微笑んできた。本気で俺が太っていようが構わない様だ。
うーん、なんか本当に「このままヒモ生活まっしぐらでも構いませんよ、私が養いますから」って感じだ。
多分、四条家の財力なら可能だろうけど、さすがにヒモになるのは嫌なんだよなぁ。
今の境遇は期限付きだから甘んじているだけで。
「効率よく鍛えて痩せたいのであれば、いつでもお声がけください。フィットネスクラブのインストラクター資格を持っておりまして、メタボに悩んでいる人たちを何人も担当させていただいて痩せることに成功させてますので」
さりげなく名刺まで渡してきてフィットネスの営業をしてくるあたり、店長も抜け目ない。
採寸が終わった後は、奥の方から色とりどりの布を持ち出してきた。
寒色から暖色まで揃っており、俺に好きな色を聞きながら布をいくつかのパターンに並べる。
「この中からピンとくる組み合わせはありますか?」
「んー、こういうの疎いからなぁ。綾華さん、分かる?」
「わたくしなら、こちらの三つでしょうか」
綾華が選んだ三つの組み合わせを見ながら、店長は顎を手に当てて俺と布を交互に見る。
机の上に置いてあったタブレットを手繰り寄せる何か操作をしながら頷いていた。
「若宮さん、少し試着してみましょうか。そこのバツ印の中心にお立ちください」
「試着室じゃなくて?」
「試着室だとわざわざ着替えなきゃいけなくて手間ですからね」
いや、手間だろうが何だろうが着替えるための試着室だろう。
釈然としないまま部屋にあるバツ印のところに立つと、店長が奥からた立ち鏡の様な物を持ってきた。
よくよく見れば立ち鏡じゃなくて細長い大きな液晶だった。俺の全身が映っている。
「これは液晶ですか???」
「えぇ、一般的には電子看板といわれてて、アパレル業界で使う時はハーフミラーと呼んでますね。これを使えば、着替えなしで試着できるバーチャル試着ができます。操作はこのタブレットで行います」
物は試しとばかりに店長がタブレットを操作すると、ハーフミラーに映った俺の洋服が変わった。
しかも、ファッション雑誌に載っている様な渋いおじさま向けの灰色系の服装だ。
意外にもしっくり似合っている様に感じてしまう。三段腹の肥満体型なのに不思議だ。
「まあ、よくお似合いですわ若宮様」
「やはり、ふくよかであってもバランスが良いのでファッション次第で良くなりますね。少し色合いも変えてみましょうか」
店長がタブレットを操作すると、今度は暖色系の服装に変わった。
上下同色ではなく若干の
おぉ、さっきまで渋い感じだったが、温かみのある雰囲気になったな。
「いいですねぇ、では綾華様好みの色に変えるとこうなります」
暖色系に若干のグレーを混ぜた色合いになると綾華が目を輝かせながら頷いている。
興奮しているせいか頬を赤らめて目を細めてにこやかだ。
いくら自分好みの服装になったからといって、俺の様なおっさんにこういう反応をされるとは意外。
恋愛フィルターって怖い。
「少し歩かれても大丈夫ですよ。女性の方々は動く時の様子も気になさいますからな。この部屋にはバツ印周辺をカバーするようにカメラが設置されてますので、若宮様が動かれても追従します。あ、後ろ姿も撮れますし、後で録画で見直すことも可能ですよ」
すげぇなぁ、今どきのファッションってこういう風に選ぶのか。
これなら洋服を着替える手間も省けるし、大切な商品が試着で汚されることもない。
多分、将来的にこういうのが当たり前になるんだろうなぁ。
店長セレクトの洋服に綾華セレクトの色合いで、色々な組み合わせが決まっていく。
ファッションセンスが全くない俺は二人に任せっぱなし。
下手に口を出すよりマネキンになった方が万事うまくいくだろう。
「では、計5着ほどでよろしいですね。お届けまで二週間ほどかかりますがよろしいですか?」
「えぇ、構いませんわ。ホント、楽しみですわ」
綾華はウキウキしながら財布からブラックカードを取り出し店長に渡した。
奥で決済処理をした店長が綾華に渡した領収書の金額を見て固まる。
……前職の年収三年分だ。
三年前の俺、これからお前が稼ぐ三年間分の金額を一括払いで払うセレブが目の前におるぞ。
「あ、綾華さん、本当にいいのか?」
「えぇ、もちろんですわ。他ならぬ若宮様のご洋服ですもの。本当ならもう少し買いたいのですけど、それはまたの機会にいたしましょう」
これ以上、買われたら金銭感覚麻痺しそうなんで勘弁してください。
「何かお礼しないとな。何でもするよ」
「では、今度一緒に学校に行ってくださいませんか? 殿方と一緒に登下校するって夢でしたの」
「いいぜ、白菊女学園って登下校は車の送迎なんだろ? 運転手でもすればいいのかな」
「いいえ、電車で通っている方々もいますのよ。ですので、わたくしも今日の様に若宮様と電車で通いたいですわ」
……マジで?
制服姿の綾華と四十のおっさんが電車で?
マジで?
「運動部じゃないけど筋トレで身体は鍛えてたよ。今は全然やってないから見ての通りぜい肉だらけだけど」
「道理でバランスの取れた筋肉をされているわけだ」
「いや、ぜい肉だらけなんだけど?」
「表向きはぜい肉が多いですが、深層筋はしっかりなさっておいでです。一般的に言うインナーマッスルの事です。インナーマッスルがしっかりしている人は体幹も良いので、ダイエットの時に効率よく痩せれますよ」
そういや、昔に流行ったなインナーマッスル。
あの時は何の事かチンプンカンプンだったけど、とりあえず小さい頃に鍛えたのは無駄じゃなかったのか。
「じゃあ、気が向いたら久しぶりに筋トレしてみようかな。前と違って時間は沢山あるし。綾華さんも太っているより痩せている男の方がいいでしょ?」
「わたくしは、ふくよかな若宮様でも良いのですけれど」
綾華は顔を赤らめながら困った顔で微笑んできた。本気で俺が太っていようが構わない様だ。
うーん、なんか本当に「このままヒモ生活まっしぐらでも構いませんよ、私が養いますから」って感じだ。
多分、四条家の財力なら可能だろうけど、さすがにヒモになるのは嫌なんだよなぁ。
今の境遇は期限付きだから甘んじているだけで。
「効率よく鍛えて痩せたいのであれば、いつでもお声がけください。フィットネスクラブのインストラクター資格を持っておりまして、メタボに悩んでいる人たちを何人も担当させていただいて痩せることに成功させてますので」
さりげなく名刺まで渡してきてフィットネスの営業をしてくるあたり、店長も抜け目ない。
採寸が終わった後は、奥の方から色とりどりの布を持ち出してきた。
寒色から暖色まで揃っており、俺に好きな色を聞きながら布をいくつかのパターンに並べる。
「この中からピンとくる組み合わせはありますか?」
「んー、こういうの疎いからなぁ。綾華さん、分かる?」
「わたくしなら、こちらの三つでしょうか」
綾華が選んだ三つの組み合わせを見ながら、店長は顎を手に当てて俺と布を交互に見る。
机の上に置いてあったタブレットを手繰り寄せる何か操作をしながら頷いていた。
「若宮さん、少し試着してみましょうか。そこのバツ印の中心にお立ちください」
「試着室じゃなくて?」
「試着室だとわざわざ着替えなきゃいけなくて手間ですからね」
いや、手間だろうが何だろうが着替えるための試着室だろう。
釈然としないまま部屋にあるバツ印のところに立つと、店長が奥からた立ち鏡の様な物を持ってきた。
よくよく見れば立ち鏡じゃなくて細長い大きな液晶だった。俺の全身が映っている。
「これは液晶ですか???」
「えぇ、一般的には電子看板といわれてて、アパレル業界で使う時はハーフミラーと呼んでますね。これを使えば、着替えなしで試着できるバーチャル試着ができます。操作はこのタブレットで行います」
物は試しとばかりに店長がタブレットを操作すると、ハーフミラーに映った俺の洋服が変わった。
しかも、ファッション雑誌に載っている様な渋いおじさま向けの灰色系の服装だ。
意外にもしっくり似合っている様に感じてしまう。三段腹の肥満体型なのに不思議だ。
「まあ、よくお似合いですわ若宮様」
「やはり、ふくよかであってもバランスが良いのでファッション次第で良くなりますね。少し色合いも変えてみましょうか」
店長がタブレットを操作すると、今度は暖色系の服装に変わった。
上下同色ではなく若干の
おぉ、さっきまで渋い感じだったが、温かみのある雰囲気になったな。
「いいですねぇ、では綾華様好みの色に変えるとこうなります」
暖色系に若干のグレーを混ぜた色合いになると綾華が目を輝かせながら頷いている。
興奮しているせいか頬を赤らめて目を細めてにこやかだ。
いくら自分好みの服装になったからといって、俺の様なおっさんにこういう反応をされるとは意外。
恋愛フィルターって怖い。
「少し歩かれても大丈夫ですよ。女性の方々は動く時の様子も気になさいますからな。この部屋にはバツ印周辺をカバーするようにカメラが設置されてますので、若宮様が動かれても追従します。あ、後ろ姿も撮れますし、後で録画で見直すことも可能ですよ」
すげぇなぁ、今どきのファッションってこういう風に選ぶのか。
これなら洋服を着替える手間も省けるし、大切な商品が試着で汚されることもない。
多分、将来的にこういうのが当たり前になるんだろうなぁ。
店長セレクトの洋服に綾華セレクトの色合いで、色々な組み合わせが決まっていく。
ファッションセンスが全くない俺は二人に任せっぱなし。
下手に口を出すよりマネキンになった方が万事うまくいくだろう。
「では、計5着ほどでよろしいですね。お届けまで二週間ほどかかりますがよろしいですか?」
「えぇ、構いませんわ。ホント、楽しみですわ」
綾華はウキウキしながら財布からブラックカードを取り出し店長に渡した。
奥で決済処理をした店長が綾華に渡した領収書の金額を見て固まる。
……前職の年収三年分だ。
三年前の俺、これからお前が稼ぐ三年間分の金額を一括払いで払うセレブが目の前におるぞ。
「あ、綾華さん、本当にいいのか?」
「えぇ、もちろんですわ。他ならぬ若宮様のご洋服ですもの。本当ならもう少し買いたいのですけど、それはまたの機会にいたしましょう」
これ以上、買われたら金銭感覚麻痺しそうなんで勘弁してください。
「何かお礼しないとな。何でもするよ」
「では、今度一緒に学校に行ってくださいませんか? 殿方と一緒に登下校するって夢でしたの」
「いいぜ、白菊女学園って登下校は車の送迎なんだろ? 運転手でもすればいいのかな」
「いいえ、電車で通っている方々もいますのよ。ですので、わたくしも今日の様に若宮様と電車で通いたいですわ」
……マジで?
制服姿の綾華と四十のおっさんが電車で?
マジで?
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