61 / 61
おっさん、大吟醸が美味い
しおりを挟む
大浴場から部屋に戻ると食事が三人分用意されていた。
少しバツの悪そうな綾華の隣には上機嫌の亜紀。
「おい、なんでお前がここにいるんだよ」
「いやぁ、お風呂場で綾華ちゃんと意気投合しちゃってさ。ご飯も一緒に食べてくれるって」
語尾にハートマークでも付けてそうな口調でテヘペロしてくる亜紀。
部屋主である俺が許可したわけでもないのに三人分用意されている時点で、親父たちの了承が入っている。
これで問答無用で亜紀を追い出そうものなら、後で説教の嵐だろう。
「ハァ、まあいいか。食うか」
「はぁ~い、いっただきまーす」
亜紀はお客様用のご飯が食べれるのでウキウキである。
従業員用のまかない飯はそれなりに美味いのだが、やはりお客様用の飯はまた別格である。
「ハイ、叔父さん。大好きな大吟醸を用意しておいたよ。ビールより大吟醸でしょ?」
「英二様、そうなのですか?」
「あぁ、まあな」
綾華は少し拗ねたよう表情で聞いてきた。多分、昨日、ビールを薦めてきた事を軽く後悔しているのだろう。
「大吟醸が好きなら遠慮なく言ってくだされば良かったのに」という表情である。
「ちなみに、この大吟醸は旅館の奢りか?」
「そんな訳ないじゃん。きちんとお客様である叔父さんの宿泊費に合算するよ。公私混同はしちゃいけませんなぁ、叔父さん」
部屋主に断りなく三人分の料理を用意したのは公私混同に入らないんですかね、この野郎。
てか、帰省して来た身内に対して宿泊費を請求する家族ってどうなんよ。
客室を利用しているだろって言われれば何も言い返せないが。
久々に飲む地元酒の大吟醸は旨い。適度に高い度数の酒の喉越し、胃に染み渡る熱さ。旨い。
女子トークに盛り上がる亜紀たちを肴に呑む酒も悪くない。
風呂で亜紀がどういう手品を使ったかは知らんが、すっかりと綾華と打ち解けていた。
社交界にしがらみのない同年代の亜紀と仲良くなれた事は綾華にとって貴重だろう。
黙々と食べつつ飲みつつ良い気分の俺にニヤけながら亜紀が言ってきた。
「ねえ、叔父さん。綾華ちゃんってスンごいスタイルいいよ。知ってた?」
「ちょっと、亜紀さん!?」
亜紀の口を真っ赤な顔で両手で塞ごうとする綾華。
モガモガと更に何か言おうとする亜紀。
いいねぇ、こういう年相応のじゃれ合い。多分、綾華には無い経験だ。
結構な酔いも手伝い、つい俺も身内同士のノリで答えてしまう。
「あぁ、知ってる」
「英二様!?」
綾華の顔が茹でダコの様に赤くなり涙目になる。
上品な社交界ではまずあり得ないやり取り。綾華のキャパをオーバーしたようだ。
顔を両手で覆い、肩を震わせてしまう。
「あー、叔父さんセクハラだよぉ? 可愛い綾華ちゃんが泣いちゃったじゃん」
それを振ってきたお前がどの口で言う。
亜紀が綾華を抱きしめ、頭を撫でて慰める。
不本意ではあるが、とりあえずキチンと詫びねば綾華の心に傷を残す。
「すまん、綾華。言葉が不適切でした。嫌な気分にさせちゃったよな」
綾華は頭を振りながら、顔から手を離し顔を真っ赤にしながら俺を見る。
「他の殿方ならともかく、英二様からなら嫌じゃありませんわ。ただ、恥ずかしいだけですわ……」
あぁ、さいですか……。この答えにはどう返していいものやら。
少しバツの悪そうな綾華の隣には上機嫌の亜紀。
「おい、なんでお前がここにいるんだよ」
「いやぁ、お風呂場で綾華ちゃんと意気投合しちゃってさ。ご飯も一緒に食べてくれるって」
語尾にハートマークでも付けてそうな口調でテヘペロしてくる亜紀。
部屋主である俺が許可したわけでもないのに三人分用意されている時点で、親父たちの了承が入っている。
これで問答無用で亜紀を追い出そうものなら、後で説教の嵐だろう。
「ハァ、まあいいか。食うか」
「はぁ~い、いっただきまーす」
亜紀はお客様用のご飯が食べれるのでウキウキである。
従業員用のまかない飯はそれなりに美味いのだが、やはりお客様用の飯はまた別格である。
「ハイ、叔父さん。大好きな大吟醸を用意しておいたよ。ビールより大吟醸でしょ?」
「英二様、そうなのですか?」
「あぁ、まあな」
綾華は少し拗ねたよう表情で聞いてきた。多分、昨日、ビールを薦めてきた事を軽く後悔しているのだろう。
「大吟醸が好きなら遠慮なく言ってくだされば良かったのに」という表情である。
「ちなみに、この大吟醸は旅館の奢りか?」
「そんな訳ないじゃん。きちんとお客様である叔父さんの宿泊費に合算するよ。公私混同はしちゃいけませんなぁ、叔父さん」
部屋主に断りなく三人分の料理を用意したのは公私混同に入らないんですかね、この野郎。
てか、帰省して来た身内に対して宿泊費を請求する家族ってどうなんよ。
客室を利用しているだろって言われれば何も言い返せないが。
久々に飲む地元酒の大吟醸は旨い。適度に高い度数の酒の喉越し、胃に染み渡る熱さ。旨い。
女子トークに盛り上がる亜紀たちを肴に呑む酒も悪くない。
風呂で亜紀がどういう手品を使ったかは知らんが、すっかりと綾華と打ち解けていた。
社交界にしがらみのない同年代の亜紀と仲良くなれた事は綾華にとって貴重だろう。
黙々と食べつつ飲みつつ良い気分の俺にニヤけながら亜紀が言ってきた。
「ねえ、叔父さん。綾華ちゃんってスンごいスタイルいいよ。知ってた?」
「ちょっと、亜紀さん!?」
亜紀の口を真っ赤な顔で両手で塞ごうとする綾華。
モガモガと更に何か言おうとする亜紀。
いいねぇ、こういう年相応のじゃれ合い。多分、綾華には無い経験だ。
結構な酔いも手伝い、つい俺も身内同士のノリで答えてしまう。
「あぁ、知ってる」
「英二様!?」
綾華の顔が茹でダコの様に赤くなり涙目になる。
上品な社交界ではまずあり得ないやり取り。綾華のキャパをオーバーしたようだ。
顔を両手で覆い、肩を震わせてしまう。
「あー、叔父さんセクハラだよぉ? 可愛い綾華ちゃんが泣いちゃったじゃん」
それを振ってきたお前がどの口で言う。
亜紀が綾華を抱きしめ、頭を撫でて慰める。
不本意ではあるが、とりあえずキチンと詫びねば綾華の心に傷を残す。
「すまん、綾華。言葉が不適切でした。嫌な気分にさせちゃったよな」
綾華は頭を振りながら、顔から手を離し顔を真っ赤にしながら俺を見る。
「他の殿方ならともかく、英二様からなら嫌じゃありませんわ。ただ、恥ずかしいだけですわ……」
あぁ、さいですか……。この答えにはどう返していいものやら。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる