ETDの雑用係

とりい とうか

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二章 シェムハザ

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 そんなこんなでエロトラップダンジョンの主人から通行手形をもらった大神官、もといシェムハザは、足繁くこのダンジョンに通うようになった。ノーイは強く反対したが、ダンジョンの主が是としているのだ。雑用係でしかないノーイの意見は通らなかった。
 シェムハザは、死と魂について研究していたが、神官にさせられたことで自身の夢を諦めなければならなかったらしい。ノーイがダンジョンで気絶している冒険者の治療をしている時に、その横で延々と語っていた話を要約するとそのようだった(ぶっちゃけると忙しくてろくろく聞いてなかった)。

「お邪魔します、洗濯中ですか?」
「邪魔するなら帰って、邪魔しなくても帰って。大神官って暇なの? 手伝う気があるなら光魔法で浄化とかして」
「どちらにせよ帰れと望まれているので居座りますね。権力があると忙しくても忙しくなくできるんですよ……はい、終わりました」
「人の話を聞いて理解してんのに実践はしてくれねぇんだよなぁ……え? 権力があるとだらけられるの? オレも権力ってヤツを獲りにいこっかな……うわっ怖いくらいキレイになってる」
「元魔王軍第二位が何を言っているのやら」
「や、魔王の右腕とか本当に望んでなかったからな? 大迷惑の極み……勇者には狙われてたし弱っちいモンスターからはすがりつかれるし……あ、こっちも浄化して」
「はい、どうぞ」
「本当に引くくらいキレイになる……手伝ってくれてありがとな?」
「いえいえ、こちらは安全地帯で寝ている冒険者の方々の物なんですか?」

 まぁ下心満載で手伝われているのでノーイもある意味気楽である。浄化された防具は、冒険者の体液と触手の粘液でべたべただった痕跡など跡形もなく新品同然に輝いていた。

「そ、中階層手前まで辿り着いてたけどそこでモンスターに襲われてって感じの」
「あの辺りには……」
「触手の群れとか肉壁とか、低級のと罠を組み合わせてる所だな。中階層はもうちょっと知能が高いのとか……罠も二段構えとかな。何だったか、実験対象の格を厳選するとか何とか……」
「まぁ私は技能があるんで全然平気ですけど」
「毎回それで来られると罠の仕掛け直しとかでオレが過剰労働するはめになるから手形出されてただろ」
「便利ですよね」

 シェムハザが掲げたのは、青い宝石が嵌め込まれた腕輪。通称、通行手形と呼ばれるアーティファクトで、ダンジョン内の指定箇所に回数制限なく転移できるものだ。

「さて、これ返しに行ったら今日の仕事は終わりだな」

 ガチャガチャと防具をまとめて担ぐノーイ。さらっとついていこうとしたシェムハザは、ノーイが突き出した手によって阻まれる。

「いやあいつらが起きてた時にアンタの顔見たらうわーってなるだろ、帰らないなら研究室で待ってろよ」
「お仕事見学を……」
「アンタはアンタが思ってる以上に有名なの!! わかれ!! はい研究室まで転移!!」

 割と真面目に叱られたシェムハザは、名残惜しそうにノーイの背を見送ってから通行手形を起動させる。浮遊感、最上階に転移したシェムハザの目に映るのは、甲斐甲斐しく冒険者たちの世話を焼くノーイの姿が映る水晶板で――何だかんだ、変わらないのだなぁ、と嬉しく思った。
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