13 / 116
二章 シェムハザ
四
しおりを挟む
シェムハザは死に魅了された少年だった。孤児であり、施設に入るだけの寄付金も持たなかった彼の周りには死が溢れていた。昨日話した友達が、盗みの代償にと腕を切り落とされて死体となった。今日親切にしてくれた大人が、街の浄化のためにと火をつけられて死体となった。
シェムハザは考えた。どうして人間は死んでしまうのだろう、どうして人間は生き続けていられないのだろう。そうして死に魅入られた少年は、塔の門を叩いた。何らかの魔法に適性があり、それを極めようとする者ならば、塔は受け入れてくれると聞いたからだ。
シェムハザはこうして魂魔法を学び、研究することとなった。本当は死魔法を極めたかったのだが、それを教えられる者が塔にはいなかったのだ。故に、死魔法に近い魂魔法をシェムハザは選んだ。
シェムハザは、生きていたかっただけだ。生き続けていたかっただけだ。
だというのに、神はシェムハザを選んだ。低級神魔法である神託――神からの御告げにより、シェムハザは自身の神魔法適性を知り、また教会もシェムハザの存在に気づいた。神魔法に適性を持つ者は、強制的に教会所属の神官或いは聖女とされる。それは、塔にいる者も然り。
神官は、モンスター討伐のためのあらゆる技能を、魔法を、当人の限界を迎えるまで仕込まれる。それ以外のことは許されず、神の尖兵として生きることを強制される。だから、シェムハザの目標は、教皇になることとなった。
シェムハザは、高位の神官が賭博場から出てくる所を、娼婦と共に連れ込み宿に入る所を、その目で見たことがあった。つまり、権力さえあれば、神官であろうと自由にやれる。それならば、教皇になって、死にまつわる研究の続きをやろうと思ったのだ。
一度そうと決めれば、後は早かった。シェムハザは、彼を教会へ連れてきた聖女が引くくらい、熱心に修行に取り組んだ。神魔法は言わずもがな、光魔法、聖魔法、神官技能、それら全てを貪欲に身につけていった。
そうしてとんとん拍子に権力を手にし、大神官と呼ばれるようになった頃――魔王が、発生した。魔王が生まれたならば、勇者も降りてくる。教会は、勇者パーティーの一員として大神官或いは大聖女を供出することで様々な特権を得ている。となれば、結論は一つ。
シェムハザは、当代の大神官として、勇者パーティーの一員となった。今代の勇者は小柄で、まだ声変わりもしていないような子ども。シェムハザは大神官として勇者たちを導き、癒し、魔王討伐の旅を進めることとなったのだ。
シェムハザは考えた。どうして人間は死んでしまうのだろう、どうして人間は生き続けていられないのだろう。そうして死に魅入られた少年は、塔の門を叩いた。何らかの魔法に適性があり、それを極めようとする者ならば、塔は受け入れてくれると聞いたからだ。
シェムハザはこうして魂魔法を学び、研究することとなった。本当は死魔法を極めたかったのだが、それを教えられる者が塔にはいなかったのだ。故に、死魔法に近い魂魔法をシェムハザは選んだ。
シェムハザは、生きていたかっただけだ。生き続けていたかっただけだ。
だというのに、神はシェムハザを選んだ。低級神魔法である神託――神からの御告げにより、シェムハザは自身の神魔法適性を知り、また教会もシェムハザの存在に気づいた。神魔法に適性を持つ者は、強制的に教会所属の神官或いは聖女とされる。それは、塔にいる者も然り。
神官は、モンスター討伐のためのあらゆる技能を、魔法を、当人の限界を迎えるまで仕込まれる。それ以外のことは許されず、神の尖兵として生きることを強制される。だから、シェムハザの目標は、教皇になることとなった。
シェムハザは、高位の神官が賭博場から出てくる所を、娼婦と共に連れ込み宿に入る所を、その目で見たことがあった。つまり、権力さえあれば、神官であろうと自由にやれる。それならば、教皇になって、死にまつわる研究の続きをやろうと思ったのだ。
一度そうと決めれば、後は早かった。シェムハザは、彼を教会へ連れてきた聖女が引くくらい、熱心に修行に取り組んだ。神魔法は言わずもがな、光魔法、聖魔法、神官技能、それら全てを貪欲に身につけていった。
そうしてとんとん拍子に権力を手にし、大神官と呼ばれるようになった頃――魔王が、発生した。魔王が生まれたならば、勇者も降りてくる。教会は、勇者パーティーの一員として大神官或いは大聖女を供出することで様々な特権を得ている。となれば、結論は一つ。
シェムハザは、当代の大神官として、勇者パーティーの一員となった。今代の勇者は小柄で、まだ声変わりもしていないような子ども。シェムハザは大神官として勇者たちを導き、癒し、魔王討伐の旅を進めることとなったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話
トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる