18 / 116
三章 ペイン
二
しおりを挟む
低層には知能の低いモンスターしかいないので、必然的にノーイもそれ相応の対応をするしかない。とはいえ、不定形の存在でノーイに逆らえるものなんて、数える程しかいないので――少しばかり正体をはみ出させておくだけでいい。
しかし、飢えている場合は正体を見せようが何をしようが本能のまま向かってくるため、魔除けの霧吹きが必須である。つまり何が言いたいのかというと、
「こら! 帰れ! 戻れ!」
全身鎧にそぐわない素早さで、しゅっしゅと魔除けの霧吹きを連射しながら触手壁の間を進んでいくノーイ。現在の低層四番通路(勤勉な性質の主は、ダンジョンの構造を定期的に一新している)は、煉瓦壁に擬態した触手壁の巣。みちみちと触手を伸ばして迫り来る壁たちは魔除けの効果を持つ水をかけられて逃げていき、後に残るは伝言にあった障害物らしきもの。
「……何だこれ?」
触手壁が滑らかに動けるように作られた溝の中に、きらきらと光る鉱石めいた塊。なるほど、これがあるから触手壁たちは触手を伸ばして無理矢理迫ってきていたらしい。再び伸びてきた触手に魔除けの霧吹きを向けて発射したノーイは、その塊を拾い上げ、鎧の隙間から口の中に放り込んだ。
「ん、んんー……? あれか、粘液と何かが妙な反応してるな……?」
体内で塊を分解し、解析する。大部分は触手自身が発している粘液のようだが、それが固体化する作用を持つ何かが混ざっているようだ。ノーイは粘液とそれを分離させ、口から吐き出した。
「石化の瞳……?」
レアアイテムでもあり、アーティファクトでもある。見た目は蛇の目のような宝石で、効果は名前の通り、その輝きに魅入られたものを石化させるというもの。
どこからみても瞳孔のような筋が光る宝石を、ノーイは物珍しそうに検分する。これは基本的に、肉体変化系の呪魔法なのでノーイには効かないし、そもそもノーイは宝石に魅了されるような感性がない。花束より串焼きである。
「お前らこれで石になったっけ? ていうか、お前らこれ食べちゃったの? どこで?」
勿論、宝石を美しいと思う知性のない触手にも効果はない、はずだ。とはいえ、触手に対して石化の瞳を使った事例は少なく、石化の瞳を取り込んだ触手壁の事例に至っては皆無であるため、絶対にないとは言い切れない。ノーイはその宝石を自身のインベントリに収納してから帰路についた。
しかし、飢えている場合は正体を見せようが何をしようが本能のまま向かってくるため、魔除けの霧吹きが必須である。つまり何が言いたいのかというと、
「こら! 帰れ! 戻れ!」
全身鎧にそぐわない素早さで、しゅっしゅと魔除けの霧吹きを連射しながら触手壁の間を進んでいくノーイ。現在の低層四番通路(勤勉な性質の主は、ダンジョンの構造を定期的に一新している)は、煉瓦壁に擬態した触手壁の巣。みちみちと触手を伸ばして迫り来る壁たちは魔除けの効果を持つ水をかけられて逃げていき、後に残るは伝言にあった障害物らしきもの。
「……何だこれ?」
触手壁が滑らかに動けるように作られた溝の中に、きらきらと光る鉱石めいた塊。なるほど、これがあるから触手壁たちは触手を伸ばして無理矢理迫ってきていたらしい。再び伸びてきた触手に魔除けの霧吹きを向けて発射したノーイは、その塊を拾い上げ、鎧の隙間から口の中に放り込んだ。
「ん、んんー……? あれか、粘液と何かが妙な反応してるな……?」
体内で塊を分解し、解析する。大部分は触手自身が発している粘液のようだが、それが固体化する作用を持つ何かが混ざっているようだ。ノーイは粘液とそれを分離させ、口から吐き出した。
「石化の瞳……?」
レアアイテムでもあり、アーティファクトでもある。見た目は蛇の目のような宝石で、効果は名前の通り、その輝きに魅入られたものを石化させるというもの。
どこからみても瞳孔のような筋が光る宝石を、ノーイは物珍しそうに検分する。これは基本的に、肉体変化系の呪魔法なのでノーイには効かないし、そもそもノーイは宝石に魅了されるような感性がない。花束より串焼きである。
「お前らこれで石になったっけ? ていうか、お前らこれ食べちゃったの? どこで?」
勿論、宝石を美しいと思う知性のない触手にも効果はない、はずだ。とはいえ、触手に対して石化の瞳を使った事例は少なく、石化の瞳を取り込んだ触手壁の事例に至っては皆無であるため、絶対にないとは言い切れない。ノーイはその宝石を自身のインベントリに収納してから帰路についた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる