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五章 ルサールカ
一
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その日、エロトラップダンジョンの雑用係であるノーイは休日で、惰眠を貪り二度寝を繰り出し、勇者が襲ってくる夢を見て少しばかり魘されるなどしていた。
今思えば、それが予知夢と呼ばれる類いのものだったのだろう。
どぉん、と下層から響いた重低音。魔力が揺らぎ渦を巻き、フィールドエフェクトが様変わりする。どぉん、と今度は床が揺れて、必然ノーイは自室のベッドから転げ落ちた。
濃密な死の臭い、轟々と逆巻き荒ぶる魔力はこのダンジョンの主でありノーイの主人のそれ。びしびしとダンジョン全体を走り染める死色。今まで見たことがない、主人の赫怒。
「なになになに、なにがおきてんの!?」
人間の擬態も解け、真っ黒な人影の姿に戻ったノーイは取り乱す。慌てて自室を出て、ダンジョン内部を見るための水晶板を覗くも――何も映っていない。
これは、主人がこれにまで回す魔力がないか、或いはこれに回している魔力をも使わざるを得ない何かが起こったか。どちらにせよ異常事態ではあるため、ノーイは目を閉じ数秒だけ思考した。
ぱち、と目を開いたノーイ。黒い人影の中に爛々と輝く緑色。そこから放たれた魔力は荒れ狂う主人のそれを掻い潜り、ダンジョンの中に棲むモンスターたちに接触する。
数多の思念が高速で飛び交い、何となくではあるが状況が掴めてきた。どうやら、とんでもなく強い侵入者が現れ、主人自ら相手をしているらしい。らしいというのは、並大抵のモンスターでは現場に近づくことさえできないからだ。
逆に、モンスターたちが入れない場所こそ現場である。ノーイはモンスターたちに指示を与え、自身は現場へと急ぐ。今の状況で主人が死ぬと、ノーイも危険に晒されるからだ。
そうして辿り着いたのは低層から中層へと至る広間。普段は触手たちの群が蔓延っていて、対策なしで進めばたちまち媚薬漬けに快楽漬けに遭わされる場所なのだが――今や、そのフィールドエフェクトは殺意しかない死の領域に成り果てていた。
今思えば、それが予知夢と呼ばれる類いのものだったのだろう。
どぉん、と下層から響いた重低音。魔力が揺らぎ渦を巻き、フィールドエフェクトが様変わりする。どぉん、と今度は床が揺れて、必然ノーイは自室のベッドから転げ落ちた。
濃密な死の臭い、轟々と逆巻き荒ぶる魔力はこのダンジョンの主でありノーイの主人のそれ。びしびしとダンジョン全体を走り染める死色。今まで見たことがない、主人の赫怒。
「なになになに、なにがおきてんの!?」
人間の擬態も解け、真っ黒な人影の姿に戻ったノーイは取り乱す。慌てて自室を出て、ダンジョン内部を見るための水晶板を覗くも――何も映っていない。
これは、主人がこれにまで回す魔力がないか、或いはこれに回している魔力をも使わざるを得ない何かが起こったか。どちらにせよ異常事態ではあるため、ノーイは目を閉じ数秒だけ思考した。
ぱち、と目を開いたノーイ。黒い人影の中に爛々と輝く緑色。そこから放たれた魔力は荒れ狂う主人のそれを掻い潜り、ダンジョンの中に棲むモンスターたちに接触する。
数多の思念が高速で飛び交い、何となくではあるが状況が掴めてきた。どうやら、とんでもなく強い侵入者が現れ、主人自ら相手をしているらしい。らしいというのは、並大抵のモンスターでは現場に近づくことさえできないからだ。
逆に、モンスターたちが入れない場所こそ現場である。ノーイはモンスターたちに指示を与え、自身は現場へと急ぐ。今の状況で主人が死ぬと、ノーイも危険に晒されるからだ。
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