【完結】綺麗なお姉さんをお持ち帰りするはずが綺麗なお兄さんにお持ち帰りされてしまった俺の話

ルコ

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レヴェルリー〜ラブホテル

マーカス1

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 「へぇ?お姉さんMAGのファンなんだ。シブい趣味してるね?」


 俺の名前は望月 雅一(もちづき まさかず)、二十歳の大学生。
俺は今、老舗のライブハウス、レヴェルリーに来ている。高校で所属していた軽音部の後輩ショウが、双子の妹カグラと二人で組んだというユニットの初ライブを見に来たんだ。

そのユニット「神生類」(しんしょうるい)は、今日、大ベテランバンドMAGの前座を務める。

 今はまだ開演前。近くにいた綺麗なお姉さんに声をかけるとなかなかの好感触だったので、色々話をしてるってわけ。

そのお姉さんはMAGのファンらしい。

MAGっていうのはかなり年季の入ったおっさんバンドだが、今でも一部の層に熱狂的なファンがいる。決してメジャーな音ではないが、パンクやらエレクトロやらをごちゃ混ぜにしたオルタナティブな音楽スタイルは、海外でも評価されているらしい。

そしてMAGと言えば、ボーカルのジュンさんの人外じみた完璧な美貌と圧倒的な存在感。もう五十を超えたおっさんなのに、滲み出る色気は年々増している。

イケオジの極みじゃねぇかな?

で、実はショウとカグラはこのジュンさんの孫なんだ。更に、MAGのもう一つの看板、爆音ギターのカイさんの子どもでもある。ジュンさんの娘のカグヤさんとカイさんの子どもってわけだ。

そして俺はドラムのナオさんの甥。

だが、お姉さんにそんな事は言わない。MAGをエサにナンパするなんてカッコ悪いだろ?そんな事しなくても俺はそこそこ顔もスタイルも良いし、充分に女の子を満足させる自信もある。

「お姉さん、友達と来てるんだろ?ライブ後の予定はあるの?」

「う~ん、まだ決めてないけど、たいがいは飲みに行ったりするかなぁ?」

「じゃあ俺と飲みに行こうよ。奢るよ?」

持っている缶ビールを飲みながら俺は言う。お姉さんの手にはカクテルのプラカップ。半分以上減ってるし、いける口と見た。

「ふふ、ライブ終わってからの気分次第かな。君はカッコいいしなかなか好みだけど・・・まっ、後でまた声かけてよ。」

そう言ってお姉さんは友達の所へ戻った。

マジで好感触じゃね?!

これはお持ち帰り出来るかもしれない。

そう思って心の中でニヤニヤしていると、声をかけられた。

「マサカズ先輩?顔がだらしなくなってますよ?」

「ん?ルイか。久しぶりだな!」

そこには涼しげな顔立ちなのにどこか可愛らしい雰囲気の美少年、ルイがいた。

ルイはショウと付き合っている。
元々幼馴染で、本当かどうかは眉唾物だがショウ曰く「生まれた翌日に恋に落ちた」仲らしい。
なのにルイへの思いを拗らせまくったショウがルイに対して素直になれたのは二年程前。それからのショウは見ているこっちが恥ずかしくなるほど、ルイを溺愛している。
 
俺の母校は昔からの伝統で同性愛に理解がある。周りもこの二人を温かく見守っている感じだ。まぁ、どこから見ても完璧な美少年二人のカップリングに、そうそう横槍を入れるヤツはいないだろう。

ショウとカグラのユニット名「神生類」も、神楽の「神」、翔弥の漢字違いで「生」、瑠依の漢字違いで「類」なんだそう。

ルイはメンバーではないけど、神生類の作詞をしているらしい。本人は嫌がったようだけどユニット名にもガッツリ入れられた模様。

それにしても「神生類」って?!

中二病かよっ??!

ショウはともかく、カグラもそれでいいのか??

「で、どんな感じに仕上がってるんだ?神生類は。」

「カッコ良いですよ。ほとんどカグラがパソコンとシンセでプログラミングした曲に、ショウがギターをかき鳴らすって感じですけど、妙にそれがハマってます。
元々カグラがソロでやるつもりだったのに、ショウのギターを入れてみたら思った以上にしっくり来たからユニットを組んだみたいです。カグラは不承不承ですけどね。」

「そうなのか。まぁ、ショウのギターはカイさんと同じで他の音を食うからなぁ。MAGみたいに他のパートがしっかりしてないと一緒にはやれないだろ。軽音部では組めるバンドがなかったし、ショウとしては嬉しかっただろうな。例えカグラが相方でも。」

「まぁ、あの二人だからお互いに負けないんですよね。他の人が入っても霞むだけじゃないですか?」


 「ルイ?オレにはその素敵な彼を紹介してくれないのか?」

へっ?素敵な彼って・・・俺??

男に言われた???

「あぁ、ジャック。紹介するけど当たり前のように口説かないでよね?
マサカズ先輩、この人はジャックっていって、今僕の家でホームステイしてるK大の留学生なんです。オーストラリアにある島から来てるんですけど・・前にウチの高校にイアン、ミランの双子とティムっていう留学生がいたでしょ?あの子たちと同郷でティムとは従兄弟なんですって。」

そこにはしっかりと日焼けした彫りの深い顔立ちの美丈夫がいた。何と言うか、綺麗な男だ。彫刻みたい。

「へぇ?ティムとは同じクラスで結構仲良かったよ?しかもK大って、俺と同じ大学じゃん!俺はマサカズ。よろしくなジャック。」

うん、従兄弟だけあってティムに似てるな。ティムもかなりのイケメンだった。けどジャックの方がちょっとチャラい感じ。より日本に馴染んでいるように見える。

「・・まぁーしゃかすぅ?」

ぷっ!可愛い!!ティムも日本語は流暢に喋るのに、人の名前の発音は苦手だったな。

「あぁ、マサカズって言いにくいよな?マサでもなんでもいいよ?ティムもマサって呼んでたし。」

「まーしゃ・・まー、まーかす・・・マーカスって呼んでもいい?」

「ははっ!マーカスか。昭和な響きの雅一より断然カッコ良いじゃん。気に入った。ジャック、俺はマーカス、よろしく!!」


 その時の俺は、ジャックの目が獲物を狙う大型爬虫類みたいになっているのに、全く気付いていなかったんだ・・・



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