8 / 23
マーカスの部屋
ジャック1
しおりを挟むオレの名前はジャック。オーストラリアの北東にある島から来ている留学生だ。
故郷の島は海しかないような田舎だったんだが、オレが子どもの頃、急に観光地として発展した。外国人がたくさん来るようになり、いきなりちょっとした都会になったんだ。
それまで仕事なんかなかった島にも求人が溢れるようになった。だが、割りの良い仕事には英語以外の外国語を話せないとありつけない。
そこで外国への留学が奨励されるようになった。中でも日本は人気の国で、成績優秀な者しか留学枠に入れない。
オレは頑張ってその枠を勝ち取ったんだ。
どうして日本に来たかったのかというと、日本の旅行会社のツアーの組み方に興味があったから。事細かくスケジュールを組むスタイルは、ゆっくりとした時間が流れる島で育ったオレには新鮮だった。単に何でそんなに目一杯スケジュールを詰め込むのか不思議だったってのもある。
後、島に来る観光客の中で一番好みのタイプが多かったのが、日本の男の子だったから。これは従兄弟のティムもそうなんじゃないかな。
オレもティムも日本人にはかなりモテた。女の子も寄って来たけどオレもティムもゲイだったからな。
ティムはよっぽど気に入った子しか抱かなかったが、オレはそれなりに気に入れば気軽に手を出した。だって相手も一夜の恋を楽しむ気満々なんだよ?相手にしてあげないと可哀想じゃない?
そんな中、ティムが先に日本の高校に留学した。一年間の語学留学。ティムは昔から早く日本語を身につけ、島でそれを生かした仕事に就きたい、と言っていたからな。
そして日本でエナと出会い、お互いに一目惚れ。根が真面目なティムはエナと将来結婚をすると決め(オーストラリアでは同性婚が認められている)、両親に紹介する為に一度島に連れて帰って来たんだ。
その時にオレもエナに会って・・かなり好みだったから即口説いたんだが、もちろん玉砕。ティムを激怒させてしまった。
あんな可愛くて優しい、清楚な美人がいるなんて・・それからだな、本気で日本に行こうと決意したのは。
オレが選んだのは大学留学。これだとガッツリ三年間留学出来る。K大の観光学科でしっかりと学ぶ決意をし、出来ればエナのような美人と付き合いたいとワクワクしながら日本に来たんだ。
そしてホームステイ先の月影家でルイに会い、凛とした中に時々見えるあどけない可愛さに惚れかけた。すごい美少年だったしな。
だが、ルイにはショウがいた。ショウのオレへの威嚇は凄まじかったよ。マジで殺されるかと思った。
オレは早々と身を引き、ルイには絶対に手を出さないとショウに誓った。まだ、そこまで惚れていたわけじゃないし、この二人の間に入るのは無理だって分かったからね。
次にいいなと思ったのがリン。ルイの兄だ。すでに家を出ていたので会うのが遅れたんだが、何と言うか迫力のクールビューティ。凛としたと言う表現をルイに使ったが、それはリンの為にある言葉だったんだと理解。
だが、これまたリンにはコウがいた。何とコウはエナの兄らしい。日本も狭いんだな。そして、そのコウはリンの事が好きで好きで堪らないワンコ系。この二人の間に入るのも無理だと諦めた矢先に、オレはマーカスに出会ったんだ。
ライブハウスでルイにマーカスを紹介された時、マジでこれが運命だと思った。今まで惚れかけた子に相手がいた事に感謝したくらい。
自分だけの呼び名が欲しくて、勝手にマーカスって付けたけど、喜んでくれてめちゃくちゃ嬉しかった。
それくらい、どストライクだった。
オレは、美人だがある程度男らしいルックスが一番好みだ。
マーカスは、キリッとした涼しげな目元に薄めの唇。決して濃くはないが、精悍な顔つきをしている。かなりの美人だが、はっきりと男だと分かる。背も百七十三センチくらいはあり、ドラムをやっているからか、それなりに筋肉もついている。
まず、見た目が100%と言っていいほど好みだった。
そして飲みに行って喋ってみると、ちょっとバカで可愛い。K大生だし頭は悪くないようだが、何と言うかチョロい。
ナンパしてヤレる女の子とすぐにヤッて、その子に甘やかして欲しいなんてバカすぎる。
だが、オレが甘やかすのはありだな。
そう思ってホテルに連れ込んだんだが、流されやすい性格なのかこれまたチョロくて心配になった。オレに会うまで他の男に食われてなかった事に心底感謝したよ。
ティムがエナに惚れて良かった。
マーカスがノンケで良かった。
そして体の相性も抜群。
イヤだ無理だと言いながらあそこまで感じてくれて、ついつい本気でがっついてしまい反省。だが結果、体から堕とせて付き合えたから良しとしよう。
何度も言うが、本当ぉぉぉぉぉぉぉに最高に体の相性がいい。
好きだからというのももちろんあるが、あんなにピッタリと体が合う相手は初めてだ。
もう一生離したくない。
オレはティムとは違い、故郷に帰ろうとは思っていなかった。どちらかというと日本で故郷の為に働きたいんだが、日本では同性婚は認められていないからな。
マーカスが了承してくれるなら、連れて帰って結婚するのもありだと思う。
あぁ、日本に来て本当に良かった。
オレは無宗教者だが、こればかりは神に感謝します。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕
めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、
その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。
「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。
最初から、選ばされてなどいなかったことを。
αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、
彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。
「愛してるよ」
「君は、僕たちのもの」
※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる