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アスpart3

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 電車に乗って二駅、降りてから徒歩十分でパーティー会場の公園に着く。

 海が一面に見渡せるとにかく広い公園だ。
子どもが遊ぶ遊具も充実している。ミニアスレチックみたいになってて楽しいんだよ。
俺も小さい頃キョウと一緒によくここに連れて来てもらったな。

 パーティーが開催されてるのはだだっ広い芝生の一角だ。
そこまで大きなフェスではないので、こじんまりとフリマや、飲食の屋台が出ている。
それでも三十か四十店舗くらいはあるんじゃないかな?なかなか楽しめそうでテンションも上がる。

キョロキョロしている俺にキョウが声をかける。

「あっちのスタッフテントに親父が居るんじゃないかな?行ってみる?」

「うん、行く行く!ジュンさんに会いたい!」

ステージとDJブースに近い所にある屋根だけのテントの下で、椅子に座ってビールを飲んでるジュンさんが居た。

「ジュンさん!お久しぶりです。」

「おぅ!アスラちゃん。バカ息子が長い間すまなかったな。ムカつくだろうがコイツも本気みたいだし、まぁ考えるだけでもよろしく頼むわ。」

「あっ、はい・・・」

六年ぶりにきちんと会うジュンさん。
相変わらず若いしカッコいいなぁ・・・
んっ?隣に居る美人な男の人は誰?

「ふふっ、アスラちゃん初めまして。ジュンさんの専属PAやってるレンといいます。噂は聞いてるよ。キョウくんが唯一心を開く相手なんだって。」

はいぃ?何その情報??

「あ~おれの相方っちゅーか、恋人なんだわ。」

!!!ジュンさんからの爆弾発言!!恋人?男の人だよな?えぇっ~!

「アスラちゃん、何か困った事があったら連絡して?少しは力になれると思うから・・」

俺がびっくりして固まっていると、レンさんに電話番号を書いた紙を渡された。

「あっ、じゃあ俺も・・」

「ダメだよアスラちゃん。初対面の人間に連絡先なんか渡しちゃ。どうしようもなくなってからでいいから。その番号でSMSメッセージも送れるからね。」
「この親子の被害者の先輩として頼ってね。」

「ちょっとレンさん、何言ってるの?アスに余計なこと吹き込まないでよ。」

ムッとしてるキョウ。
あ~ダメだわ俺。情報量が多すぎて処理出来ない。

「行くよ、アス。」

「おっ、アスラちゃん楽しんでくれよなっ!」

笑顔のジュンさんと手を振るレンさん。
俺はキョウに引きずられてその場から退場した。

「ア~ス、あれだけ言ってもオレに携帯番号教えてくれなかったのに、初対面のレンさんに何ですぐに教えてようとするかなぁ?」

うっ、魔王様が怖い。

「はい、スマホ出して。トークアプリの交換するよ。」

流石に断れなくてトークアプリの登録と電話番号の交換をした。

「なぁキョウ、ジュンさんとレンさんが恋人って・・・」

「あぁ、親父はバイなんだよ。バイセクシャルで男でも女でも愛せるの。レンさんはノンケだったはずなんだけどねぇ。いつの間にか親父の毒牙にかかってたみたいだね。」

怖っ!秋月魔王親子怖っ!
まぁ、ジュンさんだしなぁ・・あの人に迫られて落ちない人いる?
それを言うならキョウもだけど。大丈夫か?俺?
早くもレンさんに相談したくなって来たぞ。

 その後、機嫌が治ったキョウとフリマを見てまわる。おっ!古本もあるじゃん。
ゆっくりと吟味して、文庫本を三冊だけ買った。これくらいなら肩からかけているショルダーバッグに入るしな。
隣の店で服を眺めていたキョウは結局何も買わなかったようだ。
他の店もひとつひとつ見てまわってたら結構時間が過ぎた。

 ジュースを買って飲みながら飲食の屋台も見てまわる。
ジュンさんのライブは六時からみたいだ。
小腹が空いて来たので、ライブ前に軽く飯を食う。俺はガパオライスで、キョウはサテ付きのナシゴレン。
こういうフェスってアジア飯多いよね。好きだから嬉しい。

 そうこうしているうちにジュンさんのライブの時間になった。

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