でっっかいイモムシかわいいね!!

ぺーる

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メシ問題人間版、解決

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「そうだ! 晩御飯まだですよねぇ、出前でも取りますか? なんでもいいですよぉ」
「……ピザと、天丼、どっちがいいですか」
「どっちも頼みましょう!」

 四十路手前の胃袋じゃねぇってこの人。

「ゴチになります!!」

 俺は二十代だから全然食うけどな。イモムシの食いっぷり見てたら腹減った。

「じゃあ、ピザLと天丼特盛でいきますよ」

 スマホ取り出して注文アプリを立ち上げると、横から教授が画面を覗き込んできた。

「いいですねぇ、チーズ増量も忘れずにぃ。あと天丼は、お味噌汁つけてくださいねぇ」

「……はいはい」

 健啖家がすぎる。注文確定してから、ちらと段ボール箱を覗く。イモムシはまた一枚の葉っぱを半分ほど食い終えて、新しい葉先に頭をもに、と寄せていた。葉脈の透け具合が、食痕の新しさを物語ってる。いい食いっぷりだ……こっちまで腹が鳴るわけだよな。

 隣で教授はのっそり座布団に座り込み、ゆったりした姿勢でイモムシの食事風景を眺めていた。

「いやぁ、ほんと癒やされますねぇ……あぁ、ボクこういうのに囲まれて生きていきたいなぁ。巨大種はいいですよぉ、ちゃんと意思のやり取りもできるし、情も通じるし。あっ、花畑くんも名前つけたくなってるでしょぉ?」
「まだつけません。仮だから」
「ふふふ、そうやってるうちに、もう“おうちの子”になりますよぉ」

 ふと見れば、イモムシがまたこっちに黒い目を向けていた。きょとんとした顔で、角ぴこぴこ……くそ、あざといな。人慣れがすぎんだろ。拾った相手が俺じゃなかったら、ほんとにどうなってたか。

 しばらく二人して虫の食事を見守っていたところに、出前が届いた。ピザと天丼、どちらもなかなかのボリュームだ。ちゃぶ台に紙皿並べて、準備万端。教授はさっそくピザの箱を開けて、顔をほころばせた。

「いただきまぁす!」
「……いただきます」

 イモムシのしゃりしゃりに合わせて、俺もピザを一切れ頬張る。チーズとトマトの濃厚な味が胃に染みる。天丼もすぐに箸を伸ばした。サクサクの衣に甘辛いタレ、飯が進む。うまい。イモムシもさっきより勢いがついてきたのか、さらに葉を抱えてもにもにしている。人間二人と一匹、黙々と食うこの光景、なんかもう変な満足感すらある。

「いいですねぇ、食べるって、生きるってことですからねぇ」
「……たしかに」

 うん、腹が満たされてくると、変に納得してしまう。俺もこの子も教授も、食って生きてんだ。拾った時はぐったりしてたこいつが、今はこんなに元気に食べてんだから、そりゃあ、悪くねぇ気分になるさ。

 天丼の器を置きながら、俺はそっと、段ボールの中のイモムシに目をやった。きっと、こいつを羽化するまで世話する。教授が嬉しそうにピザの箱に手を伸ばすのを横目に、俺はちょっとだけ、笑った。
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みんなの感想(1件)

真幸
2025.06.21 真幸
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