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1章 私が王妃候補ですわ!
今日から始まる王妃候補生活
しおりを挟む件の王子訪問から1週間後のこと、王宮からの使者がやってきた。知らせのない訪問であったために大急ぎで父と私が出迎える。
(王宮からの使者なんて…もしかして何かまずいことでも言ったのかしら…)
そんなことを考えて青ざめていたが、使者からはでたのは思いもよらぬ言葉であった。
「スターチス家の令嬢、プラナ・スターチス様が王妃候補に選ばれました。よろしければお受けいだたけませんか?」
…屋敷中が静まりかえり、ちょうど2秒後に屋敷中に叫び声が響いた。
「うちの娘が王妃候補だって!?」
「お嬢様が!?」
「奥様!?奥様にお知らせしなければ!!」
「ええー!?」
「そんなぁ!?そんな光栄なことが!?」
「娘を嫁にやる日がこんなに早いなんて…」
「お嬢様!!おめでとうございます!!」
「パーティー!今夜はパーティーよぉ!!」
正に阿鼻叫喚。
けれど王妃候補になることがどれくらい貴重なことなのかは私にもわかる。王政などなくなりつつある現代でも素晴らしいことなのだ。王国が機能しているこの世界ではそれ以上のものなのだろう。
(これは…快適に暮らすための最大のチャンスなのでは…?)
転生してからの体感であるがこの世界は17世紀程度の発達具合であるようだった。正直不便だ。科学が現代程発達しておらず、電気もない。そしてそれを補う魔術なんてものも無いらしい。
(私…この先の発明を知ってる…!つまりこの国の文明を発展させれば現代並みの生活ができる!!資金と普及についての問題は王妃だったら関係がない!)
私は喜ぶ父や使用人を尻目に全く違うベクトルで歓喜に震えていた。
「もちろん!見に余る光栄ですわっ!!」
ーーーこうして私は王妃候補となったのだ。
それからの毎日は将来の王妃としての教養を養うため日々努力する毎日だった。あくまで王妃「候補」であるために他の令嬢より秀でた人物でなければならないのだ。
(絶対に王妃になってみせる!!)
誰よりも大きな(方向性の違う)野心を抱えて、厳しい競争に勝ち抜くために血の滲むような努力を重ねた。
そして弱冠11歳にして王子の婚約者という立場を勝ち取ったのである。
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