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ヴォロディーヌ家との見合い

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  ヴィクトリアは新品のワンピースを着せられていつもの本屋に向かった。本屋にヴォロディーヌ家の嫡男がいて見合いをして来いとポールに言われたからだ。

「とりあえず部屋を取ってあるからミリエルと行ってくると良い。……気に入らなきゃ良い返事をしなくて良いからな」

ポールはそう言ってトリアを見送った。




ジェロワーム、本名ベルナール•ジェローム•ヴォロディーヌは今日はポールの前に座っている

「何年もかけてマリエ作ってるんだって?」

「あれが似合うのはヴィクトリア嬢だけなんだ」

「何を戯言を」

ジェロームは真剣にポールの目を見る。

「ヴィクトリア嬢は僕の理想なんだ」

「外見が、だろう?」

ジェロームは目を逸らして頷いた。

「今の婚約者嬢、黒髪のリゼット嬢も美しい人だろ」

「でも、あの子はあのマリエには合わない」

ポールが呆れて言う。

「リゼット嬢に似合うマリエを作ればいい。それこそ手間ひまかけて。趣味のレースあみでヴェールを作れば良いのでは?」

ポールはダニエルから漏らされた情報を使う。ジェロームはレース狂で、レースあみの腕はかなり良いようだ、と。

 その言葉はなにかジェロームの中で刺さったらしく、カッと目を見開いてから迷走タイムに入ったらしくぶつぶつ言い始めた。

「そういえば」

ポールがジェロームに質問する。

「なんで君だけミドルネームを名乗ってるの?ていうか、ミドルネームついてるのきみだけだよね?」

ポールが訊くとジェロームがクスリとわらう。

「長男の名前つけたのは父で、私の名前は母が考えたのです。……その時好きだったロマンス小説の主人公の名前をくっつけてついたのがこの名前ですね。妹のクロエは父が、ダニエルは母がつけたそうですよ。ダニエルの時には好きな俳優からつけたとか」

 ポールはトリアが絡まなきゃ、まぁ、普通の男だよなと思った。ただダニエルからの情報ではジェロームは子供の頃、というか家ではお人形が好きで自分で服を作って着せ替えたりしていると聞いていた。
 ジェロームとリゼット嬢が並ぶと美男美女で見ものだな、とポールは思った。
 ジェロームは呟いた。

「ダニエル、どうなってるんでしょうね」





 「はじめまして、ヴィクトリア嬢」

ヴィクトリアは面食らっていた。そこにいたのは少年、自分よりもかなり小さな子だったからだ。

「あの?」

「僕が見合いの相手です。ダニエル•ヴォロディーヌ、12歳ですが来年、学園に入学するつもりです」

ヴィクトリアは促され席についた。何が起こっているのか、冷静に見極めなければ、とヴィクトリアは呼吸を整えて目の前の少年が何を言い出すかを待った。
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