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内緒話 3
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「ジェローム殿は問題外としても、王弟殿下のとこの三男だっけ、今12歳の坊やからも縁談が来てる」
ポールの発言に王子たちはピタリと止まる。
「プロスペール兄上のコピーって言われてるやつだ」
アルベールが言う。
「正直、兄上と同等の高スペックな子だよ。そして自分の容姿をよくわかってる」
「つまりあざとい。ライザ姉上がメロメロに可愛がってる」
アルチュールの言葉でポールもどの子供がわかった。
「何度かあってるけど……あんまり話さない子供でおとなしいっていう印象しかなかった。ダミアンだっけ?」
「あー、あってるのDだけだよ、ダニエルだよ。長男がA、次男がB、長女がC、三男がD、三男と双子の次女がE、で始まる名前をつけてるんだ、叔父上。孫はFから始めるって張り切ってる」
さすがに叔父のヴォロティーヌ家との付き合いが濃いのでアルベールもアルチュールも命名規則を知っていたらしい。ポールはそう説明されて面々の名前を思い浮かべて納得する。王弟ヴィヴィアン・ヴォロティーヌは自分の名前も家名も『V』で始まるのが気に入らないということで子供のイニシャルには色々つけたくなった、と。
「王弟殿下、……お茶目ってことにしとくか」
「そうしておいてくれるとありがたい」
ダニエル・ヴォロティーヌがポールの元にやってきた。ライザは王宮でお茶会という事でトリアも顔を出さされてかなり迷惑だ、と表情に張り付けて寮から帰宅して王宮に呼ばれていった。
「お時間を取らせてすみません」
いつもの愛らしいだけの態度ではなく年齢不相応の落ち着いて理知的な態度であった。
「まずはこちらを読んでください」
それはプロスペールの手紙だった。内容はこの少年に協力してやってくれ、という内容でありそれはトリアとダニエルの婚約が成立する、という事であった。
「トリアは君より5歳上だよ?同年配の姫たちもいるだろう?」
「バイユ家の後ろ盾を得られる令嬢はヴィクトリア様だけです」
「君には王家の後ろ盾があるだろう?」
少年はピラミッド型の魔道具を取り出しスイッチを入れるとポールの座っているソファの横にピッタリ座る。
「これは音声阻害の魔道具です。……僕は王家に狙われてます。よくてプロスペール殿下の様に外国へ出させられる、最悪消されます。だからバイユ家も僕の後ろにいるって風を取りたいのです」
ダニエルは愛らしい顔で笑った。何も知らない人間は新しく縁者になる年上の男に甘える少年に見えている。
「最初はライザ姉上の伝手を使うつもりでしたが……今のライザ姉上は僕の敵と手を組んでますから間に挟むのはまずいと判断しました。……せめて2年の間、バイユ家の力をかりられませんか?」
ポールは少年をじっとみる。
「それはプロスペール殿下がトリアを連れて行くまでは、って事だな?」
ダニエルは我が意を得たり、と頷く。
「やはり貴方は話が早い」
「まだるっこしいのは嫌いだ。この週末君の所の嫡男とトリアの見合いだぞ。そっちが成立するとどうなる?俺はトリアが気に入ったならその婚約を進めるぞ?」
ダニエルはとても愛らしいのにとても邪悪な笑顔を浮かべる。
「兄上は明日、緊急に婚約者が決まって廃嫡されます。平民の子を妊娠させてますから。兄上はそれを隠して婚約しようとしてましたけどね。で次男のベルナール兄様が嫡男になりますが、彼は婚約者がいて結婚も兄上が結婚したら次に、と決まってますしベルナール兄様は既に婚約者の為に何年もかけてマリエ作ってますからね。……だから週末にヴィクトリア嬢と会うのは僕、となります」
ポールはダニエルがどこまで真実を語っているかは分からなかった。
「トリアがいいといえば、だな」
ダニエルはじっとポールを見て返事をした。
「了解しました。ヴィクトリア嬢の了解をとります」
ポールの発言に王子たちはピタリと止まる。
「プロスペール兄上のコピーって言われてるやつだ」
アルベールが言う。
「正直、兄上と同等の高スペックな子だよ。そして自分の容姿をよくわかってる」
「つまりあざとい。ライザ姉上がメロメロに可愛がってる」
アルチュールの言葉でポールもどの子供がわかった。
「何度かあってるけど……あんまり話さない子供でおとなしいっていう印象しかなかった。ダミアンだっけ?」
「あー、あってるのDだけだよ、ダニエルだよ。長男がA、次男がB、長女がC、三男がD、三男と双子の次女がE、で始まる名前をつけてるんだ、叔父上。孫はFから始めるって張り切ってる」
さすがに叔父のヴォロティーヌ家との付き合いが濃いのでアルベールもアルチュールも命名規則を知っていたらしい。ポールはそう説明されて面々の名前を思い浮かべて納得する。王弟ヴィヴィアン・ヴォロティーヌは自分の名前も家名も『V』で始まるのが気に入らないということで子供のイニシャルには色々つけたくなった、と。
「王弟殿下、……お茶目ってことにしとくか」
「そうしておいてくれるとありがたい」
ダニエル・ヴォロティーヌがポールの元にやってきた。ライザは王宮でお茶会という事でトリアも顔を出さされてかなり迷惑だ、と表情に張り付けて寮から帰宅して王宮に呼ばれていった。
「お時間を取らせてすみません」
いつもの愛らしいだけの態度ではなく年齢不相応の落ち着いて理知的な態度であった。
「まずはこちらを読んでください」
それはプロスペールの手紙だった。内容はこの少年に協力してやってくれ、という内容でありそれはトリアとダニエルの婚約が成立する、という事であった。
「トリアは君より5歳上だよ?同年配の姫たちもいるだろう?」
「バイユ家の後ろ盾を得られる令嬢はヴィクトリア様だけです」
「君には王家の後ろ盾があるだろう?」
少年はピラミッド型の魔道具を取り出しスイッチを入れるとポールの座っているソファの横にピッタリ座る。
「これは音声阻害の魔道具です。……僕は王家に狙われてます。よくてプロスペール殿下の様に外国へ出させられる、最悪消されます。だからバイユ家も僕の後ろにいるって風を取りたいのです」
ダニエルは愛らしい顔で笑った。何も知らない人間は新しく縁者になる年上の男に甘える少年に見えている。
「最初はライザ姉上の伝手を使うつもりでしたが……今のライザ姉上は僕の敵と手を組んでますから間に挟むのはまずいと判断しました。……せめて2年の間、バイユ家の力をかりられませんか?」
ポールは少年をじっとみる。
「それはプロスペール殿下がトリアを連れて行くまでは、って事だな?」
ダニエルは我が意を得たり、と頷く。
「やはり貴方は話が早い」
「まだるっこしいのは嫌いだ。この週末君の所の嫡男とトリアの見合いだぞ。そっちが成立するとどうなる?俺はトリアが気に入ったならその婚約を進めるぞ?」
ダニエルはとても愛らしいのにとても邪悪な笑顔を浮かべる。
「兄上は明日、緊急に婚約者が決まって廃嫡されます。平民の子を妊娠させてますから。兄上はそれを隠して婚約しようとしてましたけどね。で次男のベルナール兄様が嫡男になりますが、彼は婚約者がいて結婚も兄上が結婚したら次に、と決まってますしベルナール兄様は既に婚約者の為に何年もかけてマリエ作ってますからね。……だから週末にヴィクトリア嬢と会うのは僕、となります」
ポールはダニエルがどこまで真実を語っているかは分からなかった。
「トリアがいいといえば、だな」
ダニエルはじっとポールを見て返事をした。
「了解しました。ヴィクトリア嬢の了解をとります」
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