公爵令嬢姉妹の対照的な日々 【完結】

あくの

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 「婚約、する前にクロエ様とお会いする機会作れますか?」

「姉様と?」

ダニエルはヴィクトリアの意外な申し出に驚いた。

「理由はありますか?」

ヴィクトリアは頷いた。

「ええ。クロエ様とは花嫁学校で同級生でした。あの方は卒業したら王太子妃になると決まっていたので試験を受けなかったようですが、受けたら学園の方に来てたでしょうね。彼女とは図書室でよく会い、お昼もご一緒する程度に仲のいい友達でした」

そう言ってヴィクトリアは紅茶で喉を湿らす。うっすらと甘い紅茶はヴィクトリアの喉を潤す。

「その当時の彼女と今外に聞こえてくる評判が違いすぎます。それを確認したいのです」

 ダニエルには意外な話だったが、クロエが花嫁学校に行ってる3年間、会う事もなかったから彼女の学生時代の顔を知らないのは当たり前か、と考える。
 父親はあまり子供に目を向けない、母親は次男以外に興味がないという環境で兄弟お互いの交流もほぼなかったのだ。母親はお友達とお茶会か兄と街を散策したり観劇に行ったりという生活だったが兄と母の密着はあまり噂になっていない。それどころか父親の仕事人間ぶりが噂に高く、母は同情されていた。
 また連れ歩いているのが次男というのが良かったのだろうとダニエルは分析している。権力に関係ない位置の子供だからだ。嫡男は家を背負うし、クロエは王太子妃だ。そしてダニエルは観劇など夜の付き合いに連れてくるには子供だったからだ。

「クロエ様とお話できるなら、……それもそうですね、ここでお話できるならあなたと婚約しましょう。私、好きな人や結婚を考えてる相手はおりませんし」

ヴィクトリアの提案にダニエルは乗った。



 それからダニエルはプロスペールに話をする。それは隣国の魔道具で水があれば連絡を取れるという道具だった。
 プロスペールとダニエルは定期的に連絡を取っていた。ダニエルはプロスペールが複数人とこういう定期連絡を取っているであろうから忙しい人だな、と思っている。

「ふぅん、じゃ、クロエ嬢を宿下がりするように持っていけばいいのだね?トリアとの秘密のお茶会のた為に」

水盤の向こうでプロスペールが言うのでダニエルは同意した。

「クロエ嬢には来週の金曜日から実家に帰るように話をつける。王太子は喜んで帰らせるだろ。ライザは動けないようにしておく。……トリアは何を気にしてるんだろうな?」

プロスペールの問いにダニエルが答える。ダニエルはプロスペールに対して隠し事もしないし嘘も言わない。

「姉様が自分の知ってる姉様と違いすぎるので、と」

「ふぅん。なにがでるかな。少し楽しみだ」

プロスペールはそういうと、ニヤリと笑って通信を切った。ダニエルはしばらく水盤で遊んでいるふりをする。
 水盤に鉱石をいくつか沈めて眺めながら考え事をしている。



 「ダニエル様、こんなところにいらっしゃいましたか」

最近雇ったメイドだ。今のところ尻尾は掴んでいないが、ダニエルはこの娘は王太子のところの刺客だと思っていた。

「ああ、部屋に戻る」

ダニエルは水盤を片づけ箱に入れる。この四阿は使用人は入ってはいけない場所であったので、水を入れた水差しと水盤を入れた箱を両手に持って使用人に背を向ける。ダニエルの無防備な首に後ろから毒針を指の間に挟んだ手が伸びた。

「ひっ」

メイドは後ろから大きな男に首を絞められ吊り下げられた。ダニエルを陰で守っていた護衛だった。

「一応殺すなよ。落としても良いしからね。情報は取っておいてね」

後ろも見ずにダニエルは荷物を持ったまま自室へと戻っていった。
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