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王族専用書類庫の秘密
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「あのファイルに入ると」
「受理となります」
シャルルはのんびりと答える。見慣れたヴィクトリアのサインに少し懐かしさを感じながら、ダニエルかぁ。あの子ならトリアを任せてもいいや、とも思っていた。
王弟殿下はシャルルの下に付いている人間を見る。敵が半分、味方が半分というところか、と見ている。何を考えてるのか、シャルルにはバレたようでシャルルは笑って頷いた。
「ここで働くのはどうだ?」
優しい叔父の顔で王弟殿下はシャルルに訊ねる。
「悪くないですよ。……それなりに」
と文官の中の一人をちらりと見る。自分の下の子爵家の三男がいた。
「ふむ、ちょっと調べものがあるので書類を見てもいいか?」
「王弟殿下自身の物ならこちらです」
柔らかそうな丸い体が立ち上がる。ここのすべての書類を見ることができるのはシャルルと王その人だけだった。王弟殿下の棚の前に立ち二人で探し物をしている風を装う。
「影を着けたほうがいいのだな?」
「ええ、あの子爵家は王太子殿下に浸食されたようです」
「……切り捨てだな。深度にもよるが」
「公爵夫人もお気をつけて。王妃様とべったりになってますよ」
王弟殿下は眉間を揉んだ。王妃と妻がべったりなのは知っていたしそれが公爵家の問題である、と思っている。
子爵家三男は二人の方をかなり気にしてるようだった。
「叔父様、じゃなくて公爵閣下、それは公文書庫のほうじゃないかと」
シャルルが軽くジャブを打つ。
「そうだな……、禁書の方に混じったかもしれんな。シャルル、手伝え」
「えー。わかりましたよぅ」
シャルルが叔父に連れていかれる体で仕事部屋を離れる。思った通り子爵三男が部屋を出て後ろを着けてくる。その後ろを王弟殿下に着いている影の護衛が着けてくる形になった。
そのままシャルルと王弟殿下は第三妃の庭園に出る。ここは王弟殿下とユーロ侯爵家で作り上げたからくり庭園で、わかっている人間はそれを利用できる。王弟殿下に着いてる影はそれを知り尽くした人間だったのだが今回はからくりを利用することなく子爵家三男を捕縛した。
「それを確保したうえで子爵家の調査を」
シャルルはふーと息を吐いた。
「いろいろな棚の書類を改変しようとしてるのでその辺の聞き取りもお願いします。クロエ妃殿下の横領の捏造などもされてますから」
陛下の元を通っていない書類はファイルするとそのファイルがわかる仕掛けをされていてそれは偽造された書類なら一目瞭然であった。そんなシステムになっている事は陛下とその腹心、そして書類の保管庫の責任者しか知らない事であった。王太子も王妃もそれは知らない。シャルルがこの任に着く前は王の家庭教師だった男がこの部屋の管理者であった。その頃は王太子も王妃も書類の偽造はしていなかった。
しかし、シャルルがこの任についたとたん、王太子も王妃もやりたい放題になった。プロスペールは王家の古い書類を読み、この部屋のシステムを理解している。王もプロスペールがこのシステムに気が付いている事に気が付いている。
王妃のクロエに対する費用の横領もこの部屋に書類ベースで溜まっているし王太子と第二王子の歳費の水増しも溜まっている。プロスペールはそろそろ仕掛けるつもりであった。
「受理となります」
シャルルはのんびりと答える。見慣れたヴィクトリアのサインに少し懐かしさを感じながら、ダニエルかぁ。あの子ならトリアを任せてもいいや、とも思っていた。
王弟殿下はシャルルの下に付いている人間を見る。敵が半分、味方が半分というところか、と見ている。何を考えてるのか、シャルルにはバレたようでシャルルは笑って頷いた。
「ここで働くのはどうだ?」
優しい叔父の顔で王弟殿下はシャルルに訊ねる。
「悪くないですよ。……それなりに」
と文官の中の一人をちらりと見る。自分の下の子爵家の三男がいた。
「ふむ、ちょっと調べものがあるので書類を見てもいいか?」
「王弟殿下自身の物ならこちらです」
柔らかそうな丸い体が立ち上がる。ここのすべての書類を見ることができるのはシャルルと王その人だけだった。王弟殿下の棚の前に立ち二人で探し物をしている風を装う。
「影を着けたほうがいいのだな?」
「ええ、あの子爵家は王太子殿下に浸食されたようです」
「……切り捨てだな。深度にもよるが」
「公爵夫人もお気をつけて。王妃様とべったりになってますよ」
王弟殿下は眉間を揉んだ。王妃と妻がべったりなのは知っていたしそれが公爵家の問題である、と思っている。
子爵家三男は二人の方をかなり気にしてるようだった。
「叔父様、じゃなくて公爵閣下、それは公文書庫のほうじゃないかと」
シャルルが軽くジャブを打つ。
「そうだな……、禁書の方に混じったかもしれんな。シャルル、手伝え」
「えー。わかりましたよぅ」
シャルルが叔父に連れていかれる体で仕事部屋を離れる。思った通り子爵三男が部屋を出て後ろを着けてくる。その後ろを王弟殿下に着いている影の護衛が着けてくる形になった。
そのままシャルルと王弟殿下は第三妃の庭園に出る。ここは王弟殿下とユーロ侯爵家で作り上げたからくり庭園で、わかっている人間はそれを利用できる。王弟殿下に着いてる影はそれを知り尽くした人間だったのだが今回はからくりを利用することなく子爵家三男を捕縛した。
「それを確保したうえで子爵家の調査を」
シャルルはふーと息を吐いた。
「いろいろな棚の書類を改変しようとしてるのでその辺の聞き取りもお願いします。クロエ妃殿下の横領の捏造などもされてますから」
陛下の元を通っていない書類はファイルするとそのファイルがわかる仕掛けをされていてそれは偽造された書類なら一目瞭然であった。そんなシステムになっている事は陛下とその腹心、そして書類の保管庫の責任者しか知らない事であった。王太子も王妃もそれは知らない。シャルルがこの任に着く前は王の家庭教師だった男がこの部屋の管理者であった。その頃は王太子も王妃も書類の偽造はしていなかった。
しかし、シャルルがこの任についたとたん、王太子も王妃もやりたい放題になった。プロスペールは王家の古い書類を読み、この部屋のシステムを理解している。王もプロスペールがこのシステムに気が付いている事に気が付いている。
王妃のクロエに対する費用の横領もこの部屋に書類ベースで溜まっているし王太子と第二王子の歳費の水増しも溜まっている。プロスペールはそろそろ仕掛けるつもりであった。
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