公爵令嬢姉妹の対照的な日々 【完結】

あくの

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水鏡

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 陛下はテーブルの上に通信の水鏡を置く。慣れた手つきで回線を繋ぎ返答をまった。

 ポールが部屋に着き挨拶を終わらせて座った頃に通信がつながる。

「父上、とポール?」

「ああ。今日一気にあった。詳しくはお前が来てからだが王妃と第二王子フィルの身柄は確保。ライザと王太子エドはバイユ公爵家に居るらしいから確保に向かわせた」

「なんでうち?」

ポールが思わずつぶやくと陛下がこめかみを両手で揉みながら答えてくれる。

「どうも、強引な手段でヴィクトリア嬢を手に入れようとしてたみたいでな」

プロスペールが呆れた顔になる。

「エド兄上の腕力でヴィクトリア抑え込めないと思うよ。あの人まともに鍛錬したことないし」

「え?」

陛下から声が上がる。

「父上は遠目で見てエド兄上だと思ったみたいだけど。エドとフィルは姿寄せの魔法で似た影を鍛錬に出してたからねぇ。……父上だってそうしてたんでしょ?」

陛下はずけずけと告げられる言葉に何も言えなかった。

「僕はバイユ公爵家で色々教えてもらったし鍛錬に出てたからね?僕が出ようとしたら兄上達は邪魔してたから、僕は遊びに行った先で鍛錬していたんだ」

プロスペールは今更ながらの種明かしをする。

「あの当時はまだ父上は王妃の影響下から抜けてませんでしたよね」

プロスペールが考える。

「抜けたのはこの十年、というところですかね」

陛下は頷く。

「そうだな。ヴィクトリア嬢の言うところの香りの違和感、が強くなってきて徐々にな。最初の違和感は子供が生まれた頃だな」

母となった妻が着ける香りにしては娘っぽさが強かったのだ、と陛下は言う。

「ただ、彼女を無理に手に入れた頃に好きだった香りだから彼女は香水を変えないのだろうと、私に対する愛情だと思っていたのだよ」

プロスペールはあきれ顔だ。

「それはそうとして、そっちに来いって事ですよね?」

「ああ」

陛下の答えにプロスペールは頷いた。次の瞬間、プロスペール自身が応接室に現れる。

「いつ見ても心臓に悪いんですが」

ポールが言うとプロスペールがおおらかな笑顔で答える。プロスペールはこの世界でもほとんど使える人のいない転移魔法が使える。

「王妃の書類や日記、どんな古いものでもいいので手に入れてくれました?」

プロスペールの言葉に陛下は頷く。

「ではちょっと検分したいんですが」

「第一近衛騎士団の所にある」

「わかりました。ポール、行くぞ。……陛下をちゃんとおまもりしてよ?」

プロスペールは部屋に潜む影に声をかけるとなにかの魔道具を机に仕込んでいた隠しから取り出し、新しい同じ道具をそこに設置した。

「……お前、私の私的な部屋に何を仕込んでるんだ」

「陛下がここをしょっちゅう使うわけではないからこの部屋、悪事の相談によく使われてますよ?」

陛下はプロスペールの指摘に顎が外れそうになっているようだ。

「王妃一派の資金の動きがおかしいから要所要所にこういう、会話を蓄積する魔道具を仕掛けさせてもらってます。そのあたりはアルチュールとアルベルトに協力してもらってますから」

陛下は軽くため息をついた。
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