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64. ドゥエスタンの森
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「ドゥエスタン、この学年ではもて余すか?」
「次の進級では高等部に移動した方がいいやもしれんですな」
アルフォンスと学年主任の会話を校長が聞いている。
「そんなに成績、良いんですか?」
校長が訊ねる。
「いい。テストは全部満点、実技を含めて。あと既にペール・フィールズと二人、エミール師に師事してる」
「ふーむ」
「ペールも飛び級させてもいいと思う」
学年主任が厳かに告げる。
「そうだな。ドゥエスタン嬢はすぐに高等部に行ってもいいが、この1年は学校生活に慣れてもらう期間にした方がいいかと思う」
校長がレイラの資料を見ながら決定した。
「ヴィヴィアンヌ様に許可を取らなくても?」
校長がきっぱりという。
「ここの校長は私です。彼女に来てもらってますが学園運営には彼女は口を挟みません。そう言う人ではありませんから」
第一学年のテスト結果でルシアは飛び級候補にはいる。第一学年の魔法制御科はまだ皆ふあんていでとびぬけた人員はいない。ルシアは既に父親の事業を手伝っている分、他の生徒よりも現実的に商業の事がわかっているようだった。
「貴族科として望ましい人物ですね」
「2年から魔法科に転科するという手も」
アルフォンスの提案に学年主任が乗っかる。
「転科したうえで1楽器様子見て飛び級、というのもあるかと」
「どちらにしても様子ですかねぇ」
校長も反対というわけではなさそうだった。
レイラとルシア、リチャード、ペール、皆より少し年上の土の聖女候補メルヴィンとペールの叔父の副教皇が元のヴィヴィアンヌの小屋にいる。もちろんヴィヴィアンヌもそこにいる。
「ベリーも野草も集まったね」
「俺も角ウサギを何匹か手に入れた」
メルヴィンが言う。
「捌けるか?」
副教皇の言葉にリチャードが手を上げる。
「俺捌けるんで」
「わかった、じゃリチャードは捌いて、メルヴィンは肉を串にさしてくれ。ヴィヴィアンヌは手を出さないで」
煮詰めているベリーをヴィヴィアンヌはうずうずとして見ていた。
「お嬢ちゃんたち」
副教皇はレイラとルシアに忠告する。
「ヴィヴィアンヌはいい女だ。それは認めよう。だがな、ヴィヴィアンヌの料理の腕は残念なんだ。見習わない方がいい。喰えないものは作らないんだが……美味な物は作れないんだ」
副教皇はふーと溜息をついた。そうして副教皇はとうとうと流れるように冒険者時代の彼が被ったヴィヴィヴァンヌからの被害を話始めたのであった。
「お、串焼きはどうなってるかな?」
と逃げようとするヴィヴィアンヌの首根っこを副教皇はがしっとつかまえる。
「今日は全部聞いてもらう。動くな」
遠慮もなにもない。その程度には親しいのだなとレイラは思った。そしてルシアとレイラは逃げるヴィヴィアンヌを見て『……これはやらかしてるな』と思った。
「次の進級では高等部に移動した方がいいやもしれんですな」
アルフォンスと学年主任の会話を校長が聞いている。
「そんなに成績、良いんですか?」
校長が訊ねる。
「いい。テストは全部満点、実技を含めて。あと既にペール・フィールズと二人、エミール師に師事してる」
「ふーむ」
「ペールも飛び級させてもいいと思う」
学年主任が厳かに告げる。
「そうだな。ドゥエスタン嬢はすぐに高等部に行ってもいいが、この1年は学校生活に慣れてもらう期間にした方がいいかと思う」
校長がレイラの資料を見ながら決定した。
「ヴィヴィアンヌ様に許可を取らなくても?」
校長がきっぱりという。
「ここの校長は私です。彼女に来てもらってますが学園運営には彼女は口を挟みません。そう言う人ではありませんから」
第一学年のテスト結果でルシアは飛び級候補にはいる。第一学年の魔法制御科はまだ皆ふあんていでとびぬけた人員はいない。ルシアは既に父親の事業を手伝っている分、他の生徒よりも現実的に商業の事がわかっているようだった。
「貴族科として望ましい人物ですね」
「2年から魔法科に転科するという手も」
アルフォンスの提案に学年主任が乗っかる。
「転科したうえで1楽器様子見て飛び級、というのもあるかと」
「どちらにしても様子ですかねぇ」
校長も反対というわけではなさそうだった。
レイラとルシア、リチャード、ペール、皆より少し年上の土の聖女候補メルヴィンとペールの叔父の副教皇が元のヴィヴィアンヌの小屋にいる。もちろんヴィヴィアンヌもそこにいる。
「ベリーも野草も集まったね」
「俺も角ウサギを何匹か手に入れた」
メルヴィンが言う。
「捌けるか?」
副教皇の言葉にリチャードが手を上げる。
「俺捌けるんで」
「わかった、じゃリチャードは捌いて、メルヴィンは肉を串にさしてくれ。ヴィヴィアンヌは手を出さないで」
煮詰めているベリーをヴィヴィアンヌはうずうずとして見ていた。
「お嬢ちゃんたち」
副教皇はレイラとルシアに忠告する。
「ヴィヴィアンヌはいい女だ。それは認めよう。だがな、ヴィヴィアンヌの料理の腕は残念なんだ。見習わない方がいい。喰えないものは作らないんだが……美味な物は作れないんだ」
副教皇はふーと溜息をついた。そうして副教皇はとうとうと流れるように冒険者時代の彼が被ったヴィヴィヴァンヌからの被害を話始めたのであった。
「お、串焼きはどうなってるかな?」
と逃げようとするヴィヴィアンヌの首根っこを副教皇はがしっとつかまえる。
「今日は全部聞いてもらう。動くな」
遠慮もなにもない。その程度には親しいのだなとレイラは思った。そしてルシアとレイラは逃げるヴィヴィアンヌを見て『……これはやらかしてるな』と思った。
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