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135. テオが決めなければいけない事
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「あの髪飾り、誰からだろう」
レイラは服と同じ色のリボンとラピスラズリの髪飾りで髪を結い上げている。ペールはその見事さに感心している。
「あれは親父と教皇と宰相が贈ったやつだ」
クリストフが苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「デザインはエルシノア様ですね」
エドワードが情報を追加する。
「母上も関わってるから俺も止められなかった」
クリストフがふっと笑う。
「俺達は報われると思う?」
ペール、ロラン、エドワードはふっと遠い目になる。
「レイラを待っていてその間に断れない縁談が来たりする未来もあるよね」
クリストフの状況を知ってるロランがクリストフを見て言う。
「おれの猶予は半年、だな」
クリストフがはっきり言う。
今クリストフ達はある魔道具を試している。おなじ石の指輪を着けているのだがその指輪をしてるものがいると話が外に漏れないという遮音の指輪をエミールが作ったのでそれを使っているのだ。周りには意味のないおしゃべりをしているように聞こえるらしい。
「で、この情報が漏れるかどうかってところだな?」
ロランの言葉にクリストフは頷いた。またこの集団だと身分の上下もなくざっくばらんに会話をしているのでそういうのも外に漏れないのは気楽であった。
ペール、ロラン、ジュリオ、クリストフ、エドワード、メルヴィンがおなじ石、同じデザインの指輪をしているので一部の女子は顔を赤らめて見つめている。この男性達が一緒に居る所を見てあらぬ妄想をしているのだ。多少は内訳を知っているシャルロットが引く程度の妄想が一部女子達の中で流れていた。
ルシアとレイラは華奢なブレスレットをお揃いでつけていてこれが遮音の腕輪であった。今日のレイラのエスコートはルシアでこれはこれで一部女子と一部男子が妄想を先走らせている。金の聖女と白金の乙女、とざわざわとざわめかれているのを二人は知らなかった。ペールたちは他の男がエスコートしているのを見るよりはいいと思っていた。そのエスコートが教皇様であれ、というより教皇がエスコートじゃなくて本当によかったと言うのは少年たちの偽らざる本音であった。
テオは来賓席に陛下と並んで座っている。レイラの保護者として座っているのだ。その横にはライン公爵とヴィヴィアンヌがいた。陛下は自分が魅了耐性が高いが故の魅了に対する嫌悪感があるので公爵一家が苦手なのだと知って随分ライン公爵に対しての気持ちが落ち着いた。後はライン公爵の妻、マリアに対する少々の罪悪感をどうにかせねばと思っていた。数度、元正妃達との乱交でマリアを抱いた記憶は消してしまいたかった。
下級貴族の妻になった元正妃の取り巻き女性とは逢うことはまずなかったがマリアだけはエルシーのサロン友達としても見かける事が多く忘れることは出来なかった。
テオは実は頭を抱えていた。聖女のうちのどちらかと結婚して子供を作れと言われたのだ。どうしたもんかと悩んでいるうちにチャドとリリスがリリスの猛攻で結ばれレイラに結婚を申し込むか否かと悩むことになった。正直、今生きている女性で一番愛おしいのはレイラだとはっきり言えるがこの気持ちでレイラを手に入れていいものか、というのがテオの正直な気持ちであった。そしてある意味レイラはテオとジル、アルバートの娘でもあった。三人ともがほのかに持っていたシルヴィへの気持ちの結晶がレイラだったのだ。
「あらあら」
マリアの声がした。ダンスフロアを見ているようなので目をやるとそこではドレス姿のルシアとレイラがファーストダンスを踊っていた。
「なんだよ、クリストフもエドワードもロランもペールもファーストダンス取れなかったのか」
テオのぼやきに陛下は答える。
「クリストフとエドワードは無理だろうねぇ。取れたとしたらテオくらいだろ。……この場合ルシアて良かったんじゃないかな。あの4人が何も言えない人材だよ」
陛下は続ける。
「ロランとペールは優柔不……優しすぎだな。時には強引さが必要なんだが……。四人ともフェアでいたいっていう気持ちもわからなくはないけども」
陛下は遠い昔に友人だったレイラの母親を思い出す。エルシーを手に入れる前に『側妃になれ』と命令して酷い目にあったのはテオとジルにも内緒だった。……知っているような気はするが。あの右ストレートは効いたな、と思い出す。怒り泣きをしながらシルヴィは言った。『私のライバルだったアルバートを返して。あんたがエルシーの婚約者だなんて』
そういってシルヴィは陛下に右ストレートを叩き込んだのだ。
「じゃ、私はレイラを誘って2ndダンスをしてきますよ」
ジルがにやりと笑って陛下とテオにひらひらと手を振った。
「じゃ、陛下はレイラの3rdダンスを奪って、俺がルシアの2ndダンスを貰ってこよう。少年たちは指をくわえてみてるがいいさ」
何故かテオが挑戦的になっている。ライン公爵はルシアの3回目はジュリオと踊れるといいな、とダンスフロアを眺めていた。
レイラは服と同じ色のリボンとラピスラズリの髪飾りで髪を結い上げている。ペールはその見事さに感心している。
「あれは親父と教皇と宰相が贈ったやつだ」
クリストフが苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
「デザインはエルシノア様ですね」
エドワードが情報を追加する。
「母上も関わってるから俺も止められなかった」
クリストフがふっと笑う。
「俺達は報われると思う?」
ペール、ロラン、エドワードはふっと遠い目になる。
「レイラを待っていてその間に断れない縁談が来たりする未来もあるよね」
クリストフの状況を知ってるロランがクリストフを見て言う。
「おれの猶予は半年、だな」
クリストフがはっきり言う。
今クリストフ達はある魔道具を試している。おなじ石の指輪を着けているのだがその指輪をしてるものがいると話が外に漏れないという遮音の指輪をエミールが作ったのでそれを使っているのだ。周りには意味のないおしゃべりをしているように聞こえるらしい。
「で、この情報が漏れるかどうかってところだな?」
ロランの言葉にクリストフは頷いた。またこの集団だと身分の上下もなくざっくばらんに会話をしているのでそういうのも外に漏れないのは気楽であった。
ペール、ロラン、ジュリオ、クリストフ、エドワード、メルヴィンがおなじ石、同じデザインの指輪をしているので一部の女子は顔を赤らめて見つめている。この男性達が一緒に居る所を見てあらぬ妄想をしているのだ。多少は内訳を知っているシャルロットが引く程度の妄想が一部女子達の中で流れていた。
ルシアとレイラは華奢なブレスレットをお揃いでつけていてこれが遮音の腕輪であった。今日のレイラのエスコートはルシアでこれはこれで一部女子と一部男子が妄想を先走らせている。金の聖女と白金の乙女、とざわざわとざわめかれているのを二人は知らなかった。ペールたちは他の男がエスコートしているのを見るよりはいいと思っていた。そのエスコートが教皇様であれ、というより教皇がエスコートじゃなくて本当によかったと言うのは少年たちの偽らざる本音であった。
テオは来賓席に陛下と並んで座っている。レイラの保護者として座っているのだ。その横にはライン公爵とヴィヴィアンヌがいた。陛下は自分が魅了耐性が高いが故の魅了に対する嫌悪感があるので公爵一家が苦手なのだと知って随分ライン公爵に対しての気持ちが落ち着いた。後はライン公爵の妻、マリアに対する少々の罪悪感をどうにかせねばと思っていた。数度、元正妃達との乱交でマリアを抱いた記憶は消してしまいたかった。
下級貴族の妻になった元正妃の取り巻き女性とは逢うことはまずなかったがマリアだけはエルシーのサロン友達としても見かける事が多く忘れることは出来なかった。
テオは実は頭を抱えていた。聖女のうちのどちらかと結婚して子供を作れと言われたのだ。どうしたもんかと悩んでいるうちにチャドとリリスがリリスの猛攻で結ばれレイラに結婚を申し込むか否かと悩むことになった。正直、今生きている女性で一番愛おしいのはレイラだとはっきり言えるがこの気持ちでレイラを手に入れていいものか、というのがテオの正直な気持ちであった。そしてある意味レイラはテオとジル、アルバートの娘でもあった。三人ともがほのかに持っていたシルヴィへの気持ちの結晶がレイラだったのだ。
「あらあら」
マリアの声がした。ダンスフロアを見ているようなので目をやるとそこではドレス姿のルシアとレイラがファーストダンスを踊っていた。
「なんだよ、クリストフもエドワードもロランもペールもファーストダンス取れなかったのか」
テオのぼやきに陛下は答える。
「クリストフとエドワードは無理だろうねぇ。取れたとしたらテオくらいだろ。……この場合ルシアて良かったんじゃないかな。あの4人が何も言えない人材だよ」
陛下は続ける。
「ロランとペールは優柔不……優しすぎだな。時には強引さが必要なんだが……。四人ともフェアでいたいっていう気持ちもわからなくはないけども」
陛下は遠い昔に友人だったレイラの母親を思い出す。エルシーを手に入れる前に『側妃になれ』と命令して酷い目にあったのはテオとジルにも内緒だった。……知っているような気はするが。あの右ストレートは効いたな、と思い出す。怒り泣きをしながらシルヴィは言った。『私のライバルだったアルバートを返して。あんたがエルシーの婚約者だなんて』
そういってシルヴィは陛下に右ストレートを叩き込んだのだ。
「じゃ、私はレイラを誘って2ndダンスをしてきますよ」
ジルがにやりと笑って陛下とテオにひらひらと手を振った。
「じゃ、陛下はレイラの3rdダンスを奪って、俺がルシアの2ndダンスを貰ってこよう。少年たちは指をくわえてみてるがいいさ」
何故かテオが挑戦的になっている。ライン公爵はルシアの3回目はジュリオと踊れるといいな、とダンスフロアを眺めていた。
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