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その日の午後の授業は魔法学で特別教室へとクラス全体が移動していた。今回は「人工魔石」つくりの授業だった。
「今回は人工魔石を作成します」
前の方で魔法学の講師が話している。要は魔力を核になる石に込める、という話でリリゼットの一族がいつもやっている事だった。素材や糸に己の魔力を注ぎ込み作品を作り上げるのだ。リリゼットの家系の人間は何かしらに魔力を込める、付与するということを学ぶことなく知っているのだ。いくつかの注意点や魔力暴走の兆しが見えたらすぐに止める事などが述べられたのち、手元にある核石、これ自体がうっすらと魔力を帯びているのをリリゼットは感じていた。幾度も練習に使われているようで何人もの魔力の残滓が残っている。
無意識にリリゼットはその残滓を削ぎ落した上で自分の魔力をその石に軽く注ぐ。最初なので自分が一番得意な魔法を核石に付与しろ、ということなのでリリゼットはいつも刺繍で使う力、守りの魔法をその石に付与する。
リリゼットの周りには金色と銀色の混ざった光が振りまかれ、美しい音が鳴り響く。リリゼットにしたら刺繍がとてもうまくいったときに遭遇する現象だったが周りの生徒はリリゼットから遠くに離れる。光をともなう魔法は爆破や炎上が多いので『祝福』が目の前で行われたことに一瞬気が付かなかった。リリゼットの家ではこういう現象は誰かしらが月に1~2度起こしていた。あの人として尊敬できない父親でさえ『祝福』の着いた革細工を作り上げている。
リリゼットの周りの光が収まるにつれざわざわと人の声が戻ってくる。リーゼがおずおずと尋ねる。
「いまのは?」
「細工物がうまくいったときに出てくる『祝福』の印ですね。この人工魔石守護の石のつもりだったのに守護と祝福の石になってしまいました」
リリゼットは課題が一発で作れなかったと残念そうだった。
終業時に講師から声がかかる
「あとで教官室に来てもらえるかな?」
魔法学の講師、ダンテス現公爵の弟で魔法省に属しつつ魔法騎士団、別名:魔術師隊の総指揮官であるエドアール・ダンテス子爵がリリゼットに声をかける。リリゼットも生徒も今日の事だろうなと思っていた。この講師は女生徒に圧倒的に人気のある講師で狙っている令嬢も多い。普段ならリリゼットが個人的に呼び出されたというだけで女子は大騒ぎだったろうが、今回の『祝福』現象のせいで皆、エドアールがリリゼットを呼び出すのはおかしくない、というか呼び出すだろうと予想する。この講師、別名を魔法狂と言われている人物で総指揮官をやっているのも実戦で魔法を使えるから、と公言してはばからない人物なのである。生徒たちは今回に限って言えば100%魔法がらみであると判断している、そんな人物だった。
「座ってくれる?」
エドアールに促されエドアールの対面にリリゼットはちょん、と座る。中肉中背、ルックスは赤毛がめだつけど派手ではないなとエドアールは思った。
「まず、この核石に守護以外の力はつけられるかな?」
「…たとえば?」
リリゼットは説教などではなく、いきなり授業みたいなことが始まって面食らっている。しかし口には出さずリリゼットはエドアールの指示に従おうとしている。
「んー、魔法防御、とか」
「結界的な感じならできるかも、です」
リリゼットはそういいながら授業で使う核石よりも大きいそれに力を込めていった。
「今回は人工魔石を作成します」
前の方で魔法学の講師が話している。要は魔力を核になる石に込める、という話でリリゼットの一族がいつもやっている事だった。素材や糸に己の魔力を注ぎ込み作品を作り上げるのだ。リリゼットの家系の人間は何かしらに魔力を込める、付与するということを学ぶことなく知っているのだ。いくつかの注意点や魔力暴走の兆しが見えたらすぐに止める事などが述べられたのち、手元にある核石、これ自体がうっすらと魔力を帯びているのをリリゼットは感じていた。幾度も練習に使われているようで何人もの魔力の残滓が残っている。
無意識にリリゼットはその残滓を削ぎ落した上で自分の魔力をその石に軽く注ぐ。最初なので自分が一番得意な魔法を核石に付与しろ、ということなのでリリゼットはいつも刺繍で使う力、守りの魔法をその石に付与する。
リリゼットの周りには金色と銀色の混ざった光が振りまかれ、美しい音が鳴り響く。リリゼットにしたら刺繍がとてもうまくいったときに遭遇する現象だったが周りの生徒はリリゼットから遠くに離れる。光をともなう魔法は爆破や炎上が多いので『祝福』が目の前で行われたことに一瞬気が付かなかった。リリゼットの家ではこういう現象は誰かしらが月に1~2度起こしていた。あの人として尊敬できない父親でさえ『祝福』の着いた革細工を作り上げている。
リリゼットの周りの光が収まるにつれざわざわと人の声が戻ってくる。リーゼがおずおずと尋ねる。
「いまのは?」
「細工物がうまくいったときに出てくる『祝福』の印ですね。この人工魔石守護の石のつもりだったのに守護と祝福の石になってしまいました」
リリゼットは課題が一発で作れなかったと残念そうだった。
終業時に講師から声がかかる
「あとで教官室に来てもらえるかな?」
魔法学の講師、ダンテス現公爵の弟で魔法省に属しつつ魔法騎士団、別名:魔術師隊の総指揮官であるエドアール・ダンテス子爵がリリゼットに声をかける。リリゼットも生徒も今日の事だろうなと思っていた。この講師は女生徒に圧倒的に人気のある講師で狙っている令嬢も多い。普段ならリリゼットが個人的に呼び出されたというだけで女子は大騒ぎだったろうが、今回の『祝福』現象のせいで皆、エドアールがリリゼットを呼び出すのはおかしくない、というか呼び出すだろうと予想する。この講師、別名を魔法狂と言われている人物で総指揮官をやっているのも実戦で魔法を使えるから、と公言してはばからない人物なのである。生徒たちは今回に限って言えば100%魔法がらみであると判断している、そんな人物だった。
「座ってくれる?」
エドアールに促されエドアールの対面にリリゼットはちょん、と座る。中肉中背、ルックスは赤毛がめだつけど派手ではないなとエドアールは思った。
「まず、この核石に守護以外の力はつけられるかな?」
「…たとえば?」
リリゼットは説教などではなく、いきなり授業みたいなことが始まって面食らっている。しかし口には出さずリリゼットはエドアールの指示に従おうとしている。
「んー、魔法防御、とか」
「結界的な感じならできるかも、です」
リリゼットはそういいながら授業で使う核石よりも大きいそれに力を込めていった。
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