リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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閑話 ジュリエット 2

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 聞けばマフィンはアランの手作りだそうだ。アランは領地での生活でなにか今までと違う清潔な感じの男になっている。今までのどろどろした色気ではなくジュスティーヌを慈しむ優し気な男になっていたのだ。

「ここの生活はどうですか?」

ニコルに尋ねられアランはにこやかに答える。

「人によっては退屈というでしょう。でもここには『生産』があふれている。街では消費するのみだった私が少しでも生産にかかわれるのは幸せです。晴耕雨読を実現した生活ですね。これもジュスティーヌのおかげです、結婚して良かった」

アランは臆面もなく言い切った。



 婦人会は叔父の家の一室で行われた。

「私たちは彼女を婦人会の代表とみとめません」

叔父の妻であるリリーがきっぱりとミレー準男爵に言い渡した。

「彼女とニコル様の結婚が決まった時にお嬢様の教育は済んでると言い切りましたよね?」

ユーグの従妹のレディも言う。彼女はマダムフルールの店の一番のお針子だ。そう、加護の力がなくても婦人会は参加できるのだ。一族の店であるマダムフルールの店代表ということで婦人会に参加している。

 ここではジュリエットとの婚姻を解消し、別の貴族としての義務を知っている人間を選ぶようにと迫られた。ニコルは前日と同じことを言うも、はねつけられる。

「そこまで私たちを待たせる理由は?」

「結婚して12年、一度も婦人会に顔を出しておられませんよ、ジュリエットさん」

どうも、こっちに来てからも教会でやらかしたらしい。礼拝の時に叔父一家の席、教会の中で上の席に勝手に座ってしまったり、そのあとのお針の会(これは婦人会の報告会も兼ねている)も無視。

「あの乳母から離さないと一生あのままでしょう」

叔父の妻リリーからはっきり言われる。

「ミレー様、あの乳母をジュリエットから離してもらますか?」

ジュリエットの父親ミレー氏は力なく答える。

「努…力する」

「は?」

女性たちが一斉に気色ばむ。

「なにそれ」

「それが通るならこっちもジュリエットさんとニコルさんの離婚要求をつきつけます。8家も動かして、ミレー家全体で領地奥に蟄居してもらいます」

叔父の妻が迫る。ジュリエットの家はジュリエットと嫡男のロメオの二人の子がいて、ロメオの婚約者はニコルの従妹であった。

「もちろん、婚約は解消します。あんな姉がいる人の家に娘を嫁がせるわけにはいきません。これは貴方の今の態度で決定しました」

ニコルはご婦人方の剣幕に驚いた。ジュリエットがどれだけ反感を買っているのか、考えるだけで頭が痛くなった。

 「ちょっと待ってください。義父上に話を聞きます。別室に移っても?」

ニコルの提案に女性たちはこそこそ話あっていた。

「わかりました」

ややあって義叔母が返事をし

「私たちが部屋を移ります。半時もしたら戻るのでその間話し合ってくださいませ」

「ありがとうございます」

ニコルはそう返事をし、ミレー氏はぺこり、と頭を下げただけだった。ニコルは『あ、今のでまた義父上にマイナスポイント着いたな』と思った。
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