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第三章
蝶の色
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「アルマン殿下がこちらにいらっしゃる間に魔の森に狩りにでると伺ったのでマドレーヌに頼んで私とネイサンも参加させて貰う予定だったんですよ」
ロクサーヌは声も喋り方も中性的だった。マドレーヌも女性としては低い声をしてるとアルは思った。
「マドレーヌとは仲がいいの?」
「もちろん。というか……私が仲が良い女性はマドレーヌくらいです」
ネイサンが口を挟む。
「マドレーヌもロクサーヌも崇拝者がすごくいるんだ」
そんなに男にもてるのか、とアルが思った途端ネイサンは続ける。
「国中の令嬢が二人に夢中で」
「はい?令嬢?」
アルの目が丸くなり、木の裏にいたロゼが素っ頓狂な声をあげた。
「し、失礼しました」
ロクサーヌはふふっと笑う。
「一時期変になってて、俺。……王太子だから側室をもたなきゃ、ロクサーヌに後宮に入ってもらうからロクサーヌの仲良しの子を側室にって思ってこちらのマドレーヌ嬢に付きまとってて。なんで俺、自分が王太子だと思い込んだのかわからなくて」
ネイサンがぼそぼそ告白する。その謝罪の為にここに来たんだという。
「グランジエの当主殿には謝罪は出来たんで嫡男のクロード殿に、と思って」
ロクサーヌは笑顔のままだった。
「マドレーヌは話したらというか夜に蝶の手紙でやり取りして私からネイサンの謝罪を伝えて水に流すと確約を貰いました」
ロクサーヌは言う。
「正直、蝶の手紙には興味ないというか、一方的に送りつけられて困ってたので……。好きじゃなかったんですよ。あと持ってる属性で色が変わるって初めて知りました。というか……送られてくる手紙というか蝶を初めてしっかり見まして」
そのきっかけがマドレーヌと同時に来た水属性の侯爵令嬢の蝶だったという。
「マドレーヌのは特別綺麗で。一緒に来た令嬢の水色の蝶も綺麗ではありましたが、マドレーヌのは透明で、ほんのり光る感じで紫がかってるんですよ。それは無属性の蝶の特性ではないかと魔法師団の人が。ただ無属性の人ってグランジエの方ぐらいなんで例が取れてなくて。マドレーヌにしたって、今回の狩りの事がなければめったに送って来ませんしね」
ネイサンが素早くつっこんだ。
「ロクサーヌだって出さないくせに」
「ははっ、全部に返事を出せないからには手を付けるべきではないからね」
「ああ、やり取りをするのはマドレーヌとだけなのか」
アルが訊ねてロクサーヌは頷いた。
そうやって会話をしているとアルに守護者が話した。
『終わった』
『なにやってたんですか』
『魔の森に出た人間を集めて森から追い出して。いや、それはフロランがやってくれてたんだけどな。全員追い出せたから神官が森の入口に結界をはったからそれを補強してた。魔力がなくなりそうだからそこの箱から食べ物と飲み物出してくれ』
『ロクサーヌ達がいますが?』
『大丈夫、ロクサーヌ嬢は見えてるしネイサンもなんとなくは感じてる。残念だがこの子は陛下の子供だな』
「あの、その綺麗な子は?」
「ああ、みえるのだな。……ま、この樹の精霊といったところかな?」
ロクサーヌの質問に答えたアルはネイサンに話を振ってみる・
「ネイサンはなにか見えてるか?」
ロクサーヌは声も喋り方も中性的だった。マドレーヌも女性としては低い声をしてるとアルは思った。
「マドレーヌとは仲がいいの?」
「もちろん。というか……私が仲が良い女性はマドレーヌくらいです」
ネイサンが口を挟む。
「マドレーヌもロクサーヌも崇拝者がすごくいるんだ」
そんなに男にもてるのか、とアルが思った途端ネイサンは続ける。
「国中の令嬢が二人に夢中で」
「はい?令嬢?」
アルの目が丸くなり、木の裏にいたロゼが素っ頓狂な声をあげた。
「し、失礼しました」
ロクサーヌはふふっと笑う。
「一時期変になってて、俺。……王太子だから側室をもたなきゃ、ロクサーヌに後宮に入ってもらうからロクサーヌの仲良しの子を側室にって思ってこちらのマドレーヌ嬢に付きまとってて。なんで俺、自分が王太子だと思い込んだのかわからなくて」
ネイサンがぼそぼそ告白する。その謝罪の為にここに来たんだという。
「グランジエの当主殿には謝罪は出来たんで嫡男のクロード殿に、と思って」
ロクサーヌは笑顔のままだった。
「マドレーヌは話したらというか夜に蝶の手紙でやり取りして私からネイサンの謝罪を伝えて水に流すと確約を貰いました」
ロクサーヌは言う。
「正直、蝶の手紙には興味ないというか、一方的に送りつけられて困ってたので……。好きじゃなかったんですよ。あと持ってる属性で色が変わるって初めて知りました。というか……送られてくる手紙というか蝶を初めてしっかり見まして」
そのきっかけがマドレーヌと同時に来た水属性の侯爵令嬢の蝶だったという。
「マドレーヌのは特別綺麗で。一緒に来た令嬢の水色の蝶も綺麗ではありましたが、マドレーヌのは透明で、ほんのり光る感じで紫がかってるんですよ。それは無属性の蝶の特性ではないかと魔法師団の人が。ただ無属性の人ってグランジエの方ぐらいなんで例が取れてなくて。マドレーヌにしたって、今回の狩りの事がなければめったに送って来ませんしね」
ネイサンが素早くつっこんだ。
「ロクサーヌだって出さないくせに」
「ははっ、全部に返事を出せないからには手を付けるべきではないからね」
「ああ、やり取りをするのはマドレーヌとだけなのか」
アルが訊ねてロクサーヌは頷いた。
そうやって会話をしているとアルに守護者が話した。
『終わった』
『なにやってたんですか』
『魔の森に出た人間を集めて森から追い出して。いや、それはフロランがやってくれてたんだけどな。全員追い出せたから神官が森の入口に結界をはったからそれを補強してた。魔力がなくなりそうだからそこの箱から食べ物と飲み物出してくれ』
『ロクサーヌ達がいますが?』
『大丈夫、ロクサーヌ嬢は見えてるしネイサンもなんとなくは感じてる。残念だがこの子は陛下の子供だな』
「あの、その綺麗な子は?」
「ああ、みえるのだな。……ま、この樹の精霊といったところかな?」
ロクサーヌの質問に答えたアルはネイサンに話を振ってみる・
「ネイサンはなにか見えてるか?」
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