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きっかけの言葉
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「フェルナン様、お弁当ご一緒しましょう。私こう見えても料理得意ですの」
とアニエス嬢が兄と腕を組んで胸をこすりつけると
「…離してくれないか?そのあるかないかわからないものを私の腕に擦り付けないでくれ。それとこちらから声もかけてないのに話しかけてこないように。君はマナーの授業、落第してるのか?幼児でも知ってる事ができないなら犬の躾けでも受けないとな。ほら、『待て』。躾けられれば犬でもそれくらいできるだろ?」
と一気に言ったのです。我が兄ながら酷い男です。アニエス嬢は男性にも女性にもかなり気さくな方で自分の家よりも上位の貴族の方に物おじせずに『自分から』話しかけていくのです。下位貴族の女性としては割合と致命的に危ないと思うのですけど。
そして、アニエス嬢はそのフットワークの軽さで下位貴族中にその話を広めて、何故か私が『アニエスさんは私の犬』と言ったことにされてました。…あんな駄犬いらな…、やめときましょう、これじゃ彼女の思うつぼ。
寄付金の事もどこから広まったのか。ああ、面倒。
面倒といえば、アニエス嬢、…『お仲間』かもしれません。『ヒロインの私が』とか『攻略対象が』とか言ってるのを聞いた事がありまして。同じ転生者とバレるのは勘弁。もしあのタイプが部下にいたら…。
と、前世のひどい記憶を思い出しました。まさしく、あのタイプが居たのです。バイトの雑用で雇っていたフリーターの娘でした。一回り近く下の子で指示にないパソコン作業や書類作成をやりたがりその上で何一つ合ってない書類を作って他社に送りつけて…、それが原因で首を切りました。
「私は悪くないっ。そこのお局が私を妬んで濡れ衣着せたのよっ」
が私の前からいなくなった時の最後のセリフでした…。あの子のメールから燃え盛る現場は焦土と化して私の前世は終わりました。あのデスマーチは離婚騒ぎよりも消耗しましたね…。
と、嫌な記憶は蓋をしましょう。話聞かないその上話を盛って他人が悪いって言い続ける人は基本的に反省はしないし、会話する時間は無駄なので私は彼女と会いたくないのです。走ってきて目の前で転けて私に突き飛ばされたと騒ぐ…。私が3階の視聴覚室から帰ってる時に中庭の噴水に自分から突っ込んだのにいつのまにか私が突き飛ばしたことになってたり。
…脳の病気を疑う方が良いのかも。でも、なんだろう。あの方の話を信じる人が多いのは私の不徳です。もっと信じてもらわなければ。
帰宅すると、兄が今日1日のことを聞いてきます。
「お兄様、着替えたらすぐに伺いますから部屋から出てください」
兄は上機嫌で
「では、庭にお茶の用意をするので四阿まで出ておいで」
と言います。
「空の光がだんだん柔らかくなってくるね」
西を向いて兄が言います。東から太陽が登り、西に沈む。この当たり前さに私は幸せを感じます。反面、全く知らない配置の星座を見て、前世とは違う場所にいるのだ、と認知するので夜空は好きではないです。
「アニエス嬢が」
兄の言葉に私は動きを止めます。
「一学年下の経営科に移らせろって校長に直談判してるらしい」
何を考えているのか!と、素が出そうになる。
「カリキュラムが違いすぎますから…、流石に無理だと」
「学年下がればついていけるはずと息巻いてるらしいよ」
兄様がため息をつく。経営科はそれこそ、初等科の時からコントロールされたカリキュラムで進めています。今、私たち経営科が普通科や家政科に移動したとしても学んできたものが違い過ぎて各科で良い成績が取れるとは限らないのです。
そういう学科分けである事は生粋の学園生であれば知っています。経営科のカリキュラムの特殊さを嫌って、普通科に通うために寄付金を納めて直談判で普通科にいる成績の良い御令嬢もいらっしゃいます。…表には出せない話ですが。
私は卒業後に王太子妃になる予定ですがどうなるか分からないので父の持つ幾つかの爵位のうち伯爵の爵位と領地をいただく事が決まってます。兄はまずは子爵位をいただき、父の引退時に公爵位を、と家族会議で決まりました。
とアニエス嬢が兄と腕を組んで胸をこすりつけると
「…離してくれないか?そのあるかないかわからないものを私の腕に擦り付けないでくれ。それとこちらから声もかけてないのに話しかけてこないように。君はマナーの授業、落第してるのか?幼児でも知ってる事ができないなら犬の躾けでも受けないとな。ほら、『待て』。躾けられれば犬でもそれくらいできるだろ?」
と一気に言ったのです。我が兄ながら酷い男です。アニエス嬢は男性にも女性にもかなり気さくな方で自分の家よりも上位の貴族の方に物おじせずに『自分から』話しかけていくのです。下位貴族の女性としては割合と致命的に危ないと思うのですけど。
そして、アニエス嬢はそのフットワークの軽さで下位貴族中にその話を広めて、何故か私が『アニエスさんは私の犬』と言ったことにされてました。…あんな駄犬いらな…、やめときましょう、これじゃ彼女の思うつぼ。
寄付金の事もどこから広まったのか。ああ、面倒。
面倒といえば、アニエス嬢、…『お仲間』かもしれません。『ヒロインの私が』とか『攻略対象が』とか言ってるのを聞いた事がありまして。同じ転生者とバレるのは勘弁。もしあのタイプが部下にいたら…。
と、前世のひどい記憶を思い出しました。まさしく、あのタイプが居たのです。バイトの雑用で雇っていたフリーターの娘でした。一回り近く下の子で指示にないパソコン作業や書類作成をやりたがりその上で何一つ合ってない書類を作って他社に送りつけて…、それが原因で首を切りました。
「私は悪くないっ。そこのお局が私を妬んで濡れ衣着せたのよっ」
が私の前からいなくなった時の最後のセリフでした…。あの子のメールから燃え盛る現場は焦土と化して私の前世は終わりました。あのデスマーチは離婚騒ぎよりも消耗しましたね…。
と、嫌な記憶は蓋をしましょう。話聞かないその上話を盛って他人が悪いって言い続ける人は基本的に反省はしないし、会話する時間は無駄なので私は彼女と会いたくないのです。走ってきて目の前で転けて私に突き飛ばされたと騒ぐ…。私が3階の視聴覚室から帰ってる時に中庭の噴水に自分から突っ込んだのにいつのまにか私が突き飛ばしたことになってたり。
…脳の病気を疑う方が良いのかも。でも、なんだろう。あの方の話を信じる人が多いのは私の不徳です。もっと信じてもらわなければ。
帰宅すると、兄が今日1日のことを聞いてきます。
「お兄様、着替えたらすぐに伺いますから部屋から出てください」
兄は上機嫌で
「では、庭にお茶の用意をするので四阿まで出ておいで」
と言います。
「空の光がだんだん柔らかくなってくるね」
西を向いて兄が言います。東から太陽が登り、西に沈む。この当たり前さに私は幸せを感じます。反面、全く知らない配置の星座を見て、前世とは違う場所にいるのだ、と認知するので夜空は好きではないです。
「アニエス嬢が」
兄の言葉に私は動きを止めます。
「一学年下の経営科に移らせろって校長に直談判してるらしい」
何を考えているのか!と、素が出そうになる。
「カリキュラムが違いすぎますから…、流石に無理だと」
「学年下がればついていけるはずと息巻いてるらしいよ」
兄様がため息をつく。経営科はそれこそ、初等科の時からコントロールされたカリキュラムで進めています。今、私たち経営科が普通科や家政科に移動したとしても学んできたものが違い過ぎて各科で良い成績が取れるとは限らないのです。
そういう学科分けである事は生粋の学園生であれば知っています。経営科のカリキュラムの特殊さを嫌って、普通科に通うために寄付金を納めて直談判で普通科にいる成績の良い御令嬢もいらっしゃいます。…表には出せない話ですが。
私は卒業後に王太子妃になる予定ですがどうなるか分からないので父の持つ幾つかの爵位のうち伯爵の爵位と領地をいただく事が決まってます。兄はまずは子爵位をいただき、父の引退時に公爵位を、と家族会議で決まりました。
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