悪役令嬢はヒロインと関わりたくない【完結】

あくの

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王妃様の心配事

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 王妃様と私は仲が良いと思います。少し年の離れたお友達、という感じ。彼女は祖国では『雷姫』と呼ばれていたらしいです。理由は雷魔法を使えるのと一瞬で行動してしまうから、と。

「正直、もて余されてました」

と王妃様は笑う。この頃王妃様は都度都度我が家にいらっしゃってます。それは王の従妹である母に会いに。母は最初から王族ではないのですが、…陛下がかなり執着してらしたのでそのけん制という意味もあるらしいです。なんせ公妾として召し上げる、という騒動が私と兄が子供の頃にあったのです。
 その時に母と王妃様は仲良くなったらしいです。そして王宮が堅苦しくて面倒だ、ということで我が家に来てお茶をしたり、商家のマダムのような恰好をして二人して街に下りたりしておられます。今日もそんな日だったらしく学園から帰ってきたら王妃様と母が待ち構えてました。

 二人に四阿に連れていかれます。まだ制服なんだけど…。

「聞きたい事があるのよ」

王妃様はサーブされたお茶の香りを楽しんでおられます。

「最近、下位貴族女子たちがうるさいってほんとう?」

…単刀直入ですね。

「アデライド先生によくつかまってますね」

直接に答えるのは避ける。

「アデライドか…、私苦手なのよ、あの人。堅苦しくて。でもそうね、あなたから聞くよりも情報量は多そうね」

と王妃様はおっしゃり、一人でなにか頷いている。

「うちの息子たちかね、最近下位貴族の女子達にまとわりつかれてて。第一王子ら第二王子、第三王子の三人は王子宮で一緒に暮らしてるじゃない?そこに下位貴族の娘さんたちが、親の仕事についてきて、メイドに袖の下渡して面会をセッティングさせようとしてるの。そこで名前が出てくるのが同じ女の子の名前で。何か情報がないかと思って」

王妃様のお言葉に浮かぶ顔は一つあるけど…。確証がないことは口にできない。

「第一王子様がよく知ってらっしゃるかと」

王妃様はにんまりと猫のように笑う。

「うちの子たちと同じ名前を言いそうね。あなたのお兄様ほ?」

私は兄が口にした言葉をぼかして伝える。母がコロコロと笑いながらほぼ正確に兄の言葉を補足した。

「あの子、ゴールドディガータイプ、大嫌いで」

と母は笑う。私に向かって

「シスコンてだけじゃないのよ、あの子があなたに構ってるの。妹を大事にしてる自分を蔑んだりしない相手を探してるの」

「はぁ……」

「第一王子の側近候補ということで、そのお母様と接触するうちに、色々思うところが、ね」

と母は力無く笑う。少しだけ聞いたことがある。妾妃様が母をライバルと見做し嫌がらせを受けていた、と。そう、アニエス嬢が演出しているようなことを本当にされていたそうだ。

 母からの忠告は

『信頼できる令嬢と一緒にいるか、フェルナンと一緒にいなさい』

であった。そしてまだ、仲良しの令嬢もおらず兄とくっついているのだ。兄は兄でシスコンを満喫してるようにしか見えない……。

「ともかく、令嬢の統制が取れてない事は……ブランシュの責任とされるかもしれない」

なんで!なんの飛び火?

「なぜでしょうか?」

「筆頭公爵家の娘だから」

と王妃様が簡潔に教えてくれる。

「一年の間は周りの評価も甘い。けど、来年までに令嬢を掌握できなければ貴女は無能の烙印を押されるわね」

私は言葉もなかった。

「まず、同じ公爵家の令嬢と同盟を組みなさい。これはいずれ貴女のためにもなる。まずは貴女の従姉のサラとお茶でもして学園の情報を手に入れるといいと思うの」

母が教えてくれる。従姉はは今年卒業したので懇意にしていた後輩を紹介してもらい仲良くなりなさいと。

「貴女が本を読む事が好きでお友達を作らずに来たの、もう少し早めに気にしてればよかったのだけど……」

私が令嬢と仲があまり良くないのは、お兄様がベッタリなのが一因なのですが、母も王妃様もそれには触れない。
 あと、王族の方が周りにいるのも。アニエス嬢のような方達以外の弁えた、というよりは危機察知能力がちゃんとある令嬢は王族と近しくするよりは敬して遠ざける傾向にある。
 ……私もできる事なら遠ざけたい。


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