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図書館の騒ぎ
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王妃様が情報収集にかかったようで、アデライド先生の下位貴族令嬢へのチェックが厳しくなった。
私は兄の授業が終わるまで図書館で時間をつぶす。この時間に宿題も終わらせることが多い。そしてこの世界は本は貴重品なのでお金のある我が家とはいえ、潤沢に(私が満足できるだけ)本があるとは言えないので図書館で本を借りるのは私の数少ない娯楽です。
あ、兄の出版社では庶民が読めるようにペイパーバック、というより文庫本っていう感じかな、でも出版するので薄利多売、と申しますか…。ローワンの作品、ペイパーバック版を買って読んだ庶民の方が頑張ってハードカバーの本を買う事が多いのです。で、売り上げは上がる一方、と。先日、兄に『ペイパーバック版より紙は上質で、でもハードカバーほど上質な紙ではない、そして表紙も紙の本とかどうか』と提案したら乗り気なのでもっと売れるかもしれません、ローワンの本。
そんな時間、隣の席には挨拶をする程度のフランソワ・フーシェ伯爵令息が座っています。哲学書を読んでいるようです。この方は本の趣味が面白い、というか完全乱読で見かけた時はいつも違うジャンルの本を読んでます。
「ちょっと、あんた」
げ、聞きたくない声が…。
「なんであんたが攻略対象をメロメロにしてるのよ!!!フェルナン様は『妹、妹』、アルベルト様は『特定の令嬢とお茶を飲んだり食事をしたりはしないんだ』、エリク様はこっちを見もしない。なんでよ、私、ヒロインなのよ」
えーと、とうとうご乱心?心の中の32歳バツイチOLが叫んでいる。
『この手の女性と絶対関わりたくねー』
よくわかります。…この方が何を言ってるのかわかるけどわかりたくない。どうも彼女が言うところの攻略対象、お兄様やアルベルト殿下やその周りの側近候補の方達を『攻略対象』とアニエス嬢は思ってる、と。
私は向こう、日本にいる時にはゲームはあまり嗜んでいないのでアニエス嬢のいう事の言葉の意味は分かっても真意がわからないので、判断に苦しみます。
「君は誰だい?」
フーシェ伯爵令息が静かに尋ねる。
「アニエス・エマーヌ男爵令嬢よ。あんたこそ誰?」
「フーシェ伯爵家のものだ。…君、公爵令嬢にいきなり君から話しかけてはいけないよ。そこは弁えないと。マナーの授業でやらなかったのかい?」
アニエス嬢は何故か鼻高々で答える。
「私はこの世界のヒロインよ。誰よりも偉いし『世界』に優先される存在なの」
…だめだ、この人やばすぎる。ここでそういう騒ぎ起こさないでほしい。なんていうか……浅はかだなぁ。
思わず憐みの視線になったのがアニエス嬢にわかったのか急にいきり立ちだした。
「なに、私の事バカにしてるの?あなたはただの公爵令嬢、私は『ヒロイン』なのよ。貴方は悪役令嬢で、私をいじめるの。そうじゃなきゃいけないのに。……貴方、なんでそんなさげすんだ目で見るの?そう、あなたは私が男爵令嬢だからって見下してるのね、ひどいわっ。ひどい。他人を身分で見下すなんて」
最後の方、男爵令嬢だから見下してると決めつけたセリフを大声で、ほぼ絶叫で図書館中に響かせるとアニエス嬢は走り去っていった。なんなんだろう、あれ…。私は唖然とするしかなかった。
「ブランシュ嬢、お話しても?」
フーシェ伯爵令息が尋ねる。私は唖然としたまま頷いた。
「私が証人になります、今回の事」
そして、かなり声を潜めて彼は言った。
「貴方には王家の影がついてるようなので、スキャンダルになるようでしたらその影に証明を頼むといいです。それと」
彼は少しおかしそうに笑う。
「この顛末、貴女の兄上には影から報告が行ってると思うので…、ご愁傷様です」
私は一瞬うっ、と詰まってしまったが、私が『ご愁傷様』なのかアニエス嬢が『ご愁傷様』なのか……、判断に困ってしまった。
兄は既にアニエス嬢に関してかなり頭に来ていて(私に対する事だけではなく自分に関する事も含めて)次にアニエス嬢がやらかしたらつぶす、と言い出している。私はどうするべきなんだろう。
私は兄の授業が終わるまで図書館で時間をつぶす。この時間に宿題も終わらせることが多い。そしてこの世界は本は貴重品なのでお金のある我が家とはいえ、潤沢に(私が満足できるだけ)本があるとは言えないので図書館で本を借りるのは私の数少ない娯楽です。
あ、兄の出版社では庶民が読めるようにペイパーバック、というより文庫本っていう感じかな、でも出版するので薄利多売、と申しますか…。ローワンの作品、ペイパーバック版を買って読んだ庶民の方が頑張ってハードカバーの本を買う事が多いのです。で、売り上げは上がる一方、と。先日、兄に『ペイパーバック版より紙は上質で、でもハードカバーほど上質な紙ではない、そして表紙も紙の本とかどうか』と提案したら乗り気なのでもっと売れるかもしれません、ローワンの本。
そんな時間、隣の席には挨拶をする程度のフランソワ・フーシェ伯爵令息が座っています。哲学書を読んでいるようです。この方は本の趣味が面白い、というか完全乱読で見かけた時はいつも違うジャンルの本を読んでます。
「ちょっと、あんた」
げ、聞きたくない声が…。
「なんであんたが攻略対象をメロメロにしてるのよ!!!フェルナン様は『妹、妹』、アルベルト様は『特定の令嬢とお茶を飲んだり食事をしたりはしないんだ』、エリク様はこっちを見もしない。なんでよ、私、ヒロインなのよ」
えーと、とうとうご乱心?心の中の32歳バツイチOLが叫んでいる。
『この手の女性と絶対関わりたくねー』
よくわかります。…この方が何を言ってるのかわかるけどわかりたくない。どうも彼女が言うところの攻略対象、お兄様やアルベルト殿下やその周りの側近候補の方達を『攻略対象』とアニエス嬢は思ってる、と。
私は向こう、日本にいる時にはゲームはあまり嗜んでいないのでアニエス嬢のいう事の言葉の意味は分かっても真意がわからないので、判断に苦しみます。
「君は誰だい?」
フーシェ伯爵令息が静かに尋ねる。
「アニエス・エマーヌ男爵令嬢よ。あんたこそ誰?」
「フーシェ伯爵家のものだ。…君、公爵令嬢にいきなり君から話しかけてはいけないよ。そこは弁えないと。マナーの授業でやらなかったのかい?」
アニエス嬢は何故か鼻高々で答える。
「私はこの世界のヒロインよ。誰よりも偉いし『世界』に優先される存在なの」
…だめだ、この人やばすぎる。ここでそういう騒ぎ起こさないでほしい。なんていうか……浅はかだなぁ。
思わず憐みの視線になったのがアニエス嬢にわかったのか急にいきり立ちだした。
「なに、私の事バカにしてるの?あなたはただの公爵令嬢、私は『ヒロイン』なのよ。貴方は悪役令嬢で、私をいじめるの。そうじゃなきゃいけないのに。……貴方、なんでそんなさげすんだ目で見るの?そう、あなたは私が男爵令嬢だからって見下してるのね、ひどいわっ。ひどい。他人を身分で見下すなんて」
最後の方、男爵令嬢だから見下してると決めつけたセリフを大声で、ほぼ絶叫で図書館中に響かせるとアニエス嬢は走り去っていった。なんなんだろう、あれ…。私は唖然とするしかなかった。
「ブランシュ嬢、お話しても?」
フーシェ伯爵令息が尋ねる。私は唖然としたまま頷いた。
「私が証人になります、今回の事」
そして、かなり声を潜めて彼は言った。
「貴方には王家の影がついてるようなので、スキャンダルになるようでしたらその影に証明を頼むといいです。それと」
彼は少しおかしそうに笑う。
「この顛末、貴女の兄上には影から報告が行ってると思うので…、ご愁傷様です」
私は一瞬うっ、と詰まってしまったが、私が『ご愁傷様』なのかアニエス嬢が『ご愁傷様』なのか……、判断に困ってしまった。
兄は既にアニエス嬢に関してかなり頭に来ていて(私に対する事だけではなく自分に関する事も含めて)次にアニエス嬢がやらかしたらつぶす、と言い出している。私はどうするべきなんだろう。
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