王国公認ホストクラブ 【完結】

あくの

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5.レイ

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 「まず。レイ、重要書類はぎりぎり流出を免れた。ただしお父上はかなりの出費をしたらしいがこちらに上がっては来ていない」

ジョフロアは皆の名前を書いた書類袋をレイに渡す。

「これが各個人の借金だ。あいつらをちゃんと監督してもらう為にも君には別に給料が出る。その使い道は自由だし、使わないのもいい。衣食住は最初の一月は保障するが、来月からはなんにしても金がかかる。一覧表を渡しておく」

ジョフロアが一枚ぺらりと紙を渡す。

「侍従を雇えるようになるといいな、メンバーが」

ジョフロアの後ろでステファニーが次の書類を用意している。レイは一覧表を見る。例えばメイドにお茶を入れてもらう事や掃除、洗濯など当たり前にメイドや侍従にやってもらっていた事が全て料金がかかる。

「来月からの食事だ。ランクは5つ。一番下のランクは無料だ。水とスープとパン。命はつなげるし一応栄養のバランスも考えてある。ランクが上がれば料金もあがる。ただし一週間に1食分、最高品質の食事が無料で提供される。これをどう使うか、はレイの自由だ。君が食べてもいいし、彼奴らのモチベーションのコントロールに使うもいい」

ジョフロアは軍人らしからぬ美しい指でこつこつと机を叩いた。

「もちろん、君もメイドを使ったりすれば料金は貰う」

レイは小首を傾げる。年齢の割に幼い容姿のレイには良く似合う。

「それは判りました。ある程度の人を雇ったりの自由はありますか?最初はメイドと侍従を一人ずつ。これは僕の子供の時からの腹心です。あとは父の商会からメンバーに二人、3か月後に」

ジョフロアは鷹揚に頷いた。

「そこまではこちらで持とう。それ以降の人員の給与は店から、という事になる」

レイも同意する。

「わかりました」

「このあと連れてこられる3人は隣国のホストクラブ所属のトップクラス3人だ。こちらにはメンバーの指導に来る。それと……色恋沙汰でちょっと国を離れろ、という事でこちらに協力してくれる」

ジョフロアは椅子にゆったり腰を掛け、両方の指先を合わせている。

「ステファニーはここでの儲けや商売には関わらない。彼らの普段の素行をチェックする為に居る。なのでメンバーがステファニーに絡んでも無体な事をしない限り放置でいい。彼女は彼女でミッションがあるのだ」

レイはじっとステファニーを見る。

「……アンドレの真実を見極めるのですか?」

レイの元にはアンドレが本気でノアイユに捨てられて今の借金の清算が出来ないのではという噂が届いていた。アンドレの母方の、裕福な子爵、ベル=イルが債権を買い取ったというので最初アンドレがこの場所に来た事を不思議に思っていた。

「あの男はノアイユには必要ない、と私は思っている。ベル=イルの娘の息子、という価値しかないのにベル=イルから切られてはその価値もない。ベル=イルが債権を買ったのはここに入れて借金を返させるためだけだ。もう期限がぎりぎりでな。悠長な事も言ってられなかったからな」

「……なにやってんだか」

レイの苦笑いにジョフロアはふふと笑う。

「なんせ君の所の裏から借りててな。……ノアイユから金を引っ張って倍にして返す約束でな」

レイは溜息をつき頭を抱えた。裏、母の親戚が貴族の坊ちゃんがバカやっててその婚約者のところからがっぽり引き抜いてやろうと計画しているのは知っていた。利息は通常の10倍っていて、活動資金が潤沢になると機嫌よく父親と話している。

「金額をみればわかるか、第二王子は国庫から、アンドレはノアイユの名前からの借金でこの二人がかなり酷い。ディオンの借金はディオンの母親、側妃と王妃が実家から補填している。……それこそ国庫からだから酷い金額になってるぞ」

レイが疑問を口にした。

「僕が会っていたアリシアはそういう金の使わせ方をする子じゃなかったんです。……何があったのか」

ジョフロアはレイを見た。

「私としては君があのあばずれと仲良くなったのが不思議でならんよ」
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