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6.レイ 2

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 「君とノエルの前のアリシアは普通の……平民の娘に近い感じだったようだな。一緒に街を歩いて、カフェでお茶をして、そういう宿でやる事をたっぷりやって帰宅。王子達とはまず宝石店、そしてドレスを作らせて最高級の美容院、それから馬車でやる事やって送らせて。君たちのデートとは全く違う。同じ女かどうか悩むくらいだ」

ジョフロアはそこで話を切った。

「まずはノエルを手伝ってやってくれ。ノエルの借金が終わったらノエルにいう前にこちらに知らせて欲しい。悪い様にはしない」

レイはジョフロアを見る。

「つまり、ノエルと僕は借金を返す以外に何かミッションがある、と?」

「そのミッションを頼むに足りる人間かを見たい」

ジョフロアは正直にレイに告げる。

「巻き込むに足りる能力がなければそのまま、この店を黒字にしてもらう、それだけだよ」

ジョフロアはかなり面白そうにしている。

「ここが成功すれば鉱山奴隷以外の男の使い道もでてくるからな」

ジョフロアがステファニーを見ると、ステファニーはそっと外に出た。

「で、だ。アリシアの現状だ。彼女は今中級の娼館にいる」

レイはそのままジョフロアの言葉を待つ。

「彼女は多分、一生でられまい。ノエル達全員分を一人で返す事になってるからな。ただ、あの娘はお前達と違って援助を受けても良い事になっている。ここで誰が援助をするか、で面白い事になるかもな」

ジョフロアはふふん、と笑った。

「……彼女は釣り餌ですか」

「そうかもな。ま、君らには悪い様にはせんよ。ただ、メンバーにアリシアが接触して金を完全にむしり取らないようにだけは気をつけてやってくれ。杞憂ではあるがな。今までの様に金を引っ張れないと分かれば彼女の方から離れるだろうしな。……君とノエル以外な」

静かに侍従が入ってきてそっと二人にお茶と軽食を出す。

「これは金はかからんからな?私の専属の付き人の一人だ」

ジョフロアの言葉にレイはその付き人はどちらかというと軍人のようだなと判断する。

「ま、とりあえずは明日は貸し切りだ。メイソン侯爵夫人とラブノー侯爵夫人、ノアイユ侯爵夫人などがいらっしゃる。……レイとノエルは婚約者はいなかったが、他のメンバーはいたのでな。まずは婚約者の母親や親戚がストレス解消にいらっしゃる。君とノエルの所は姉上がいらっしゃるようだよ。……ステファニーと仲が良い姉上だそうだ」

レイは肩を竦める。

「僕は姉の交友関係はわかりませんが、ディオン様を殴りつけたって昨日言ってました」

「あれは、愉快だったな。ディオンがユーリとフェルナンをひきつれて、アリシアの腰を抱いてな、婚約者のミレイ嬢に婚約破棄を突きつけてな……。君の姉は王太子妃殿下の客として来ていたんだが、つかつかとディオンに寄っていった挙句拳で頭頂部からスコーン、と。見ものだったよ。……素人とは思えぬ身のこなしだな」

レイは一瞬ひやっとした。レイの姉は商会の暗部のNo.2なのだ。そして王太子妃の懐刀であった。

「君の姉上はディオンを追い込む気まんまんだな。君の姉上とミレイ・メイソン侯爵令嬢と王太子妃殿下は学生時代3人1組と言われるくらい仲が良かったようだよ。メイソン侯爵令嬢はディオンとの婚約をかなり嫌がったとか。それを無理に婚約したあげくアリシアを妻にするためにと衆人環視の中での婚約破棄。この騒動が庶民のニュースになるのを防ぐためにとりあえずは金で黙らせたんだが……。ま、近々新聞社から取材の依頼が来るからよしなに捌いてくれ」

レイは苦笑いをする。これは絶対自分の父親もかなり計画に協力してるのだなと悟る。



 「明日からプレオープンですよ」

レイは、ディオン、ユーリ、ノエル、フェルナン、アンドレをメンバー用の食堂兼居間に集めて説明を開始した。
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