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後編
part10「黄色の目」
しおりを挟むどうして吹奏楽、辞めちゃったの?
この花火大会に日枯 と来ることが決まった時、れにゃは必ず、彼に聞こうと決心した。
そして、彼の真意を確かめたかった。
彼がフルートそのものを辞めてしまったのかを、彼の前で確認しようと、心を決めた。
でも、時々、夜空を見上げる彼の顔は毅然としていて、どこか、遠い目をしていた。
暗い夏空の下でも、彼の目はふと、太陽のように黄色の光を放つ。
日本人では、比較的珍しい、明るい黄色の目。
背は少し伸びて、声も心持ち大人になったように聞こえるけれど、日枯 の黄色の目は、ずっと変わらないまま。
彼と目が合ってしまうと、心を見透かされてしまう。
そんな「おそれ」からか、れにゃは日枯 の目を真っ直ぐに見つめられない。
そして、心の中で何度もループする疑問の言葉を、彼に放つことが出来ない。
「人、増えてきたね」
日枯 の言葉に「そうだね。熱気もすごいね」と同意する。
「夏らしくて、こういうの嫌いじゃない」
「そうなの?」
日枯 君って、普段あまり感情見えないから、なんだか意外な言葉だね。
れにゃの言葉に、「そんなに奥底見えない?」と彼は目を丸くして笑う。
あそこ、人が少ないし、ちょっと涼しそう。
日枯 が指を差した先は、小さな木が生えているためか、たしかに少しだけ、人が少なかった。
「ちょっと花火見えにくいかもしれないけど、穴場かも」
れにゃと日枯 の足が人混みを避けて、涼しい木陰に自然と足が進む。
草木の香りはまさに夏そのもの。
ぱっと花火の一発目が空に浮かび、黄色の光が日枯 の顔を照らした。
思わず降り注ぐ光に、れにゃも見惚れてしまう。
そのときだった。
「ごめん」
れにゃの顔を見ないまま、日枯 がつぶやくように言った。
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