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ご主人様の憂鬱
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「いい加減鬱陶しい…」
エルヴィンはしおしおと萎れた主人の後ろ姿を見て、情けないとばかりに叱咤する。
「そんなに落ち込まずとも、あと数日もすれば彼は戻ります。その間、そんなにお寂しいのであれば別の子と遊んでお待ちになればいいじゃないですか」
「誰と遊べって言うんだ?リーリエがベッタリはりついてるっていうのに」
「…そうでしたね。ではリーリエ嬢とお遊びになっては?」
「彼女と深い仲になるくらいなら、リュウのウンコを食った方がマシだ」
「…………(マジかよコイツという顔)」
「…………(大真面目だという顔)」
この場合、龍之介に対する愛を称賛すべきか、それともリーリエへの徹底した嫌悪感をフィーチャーすべきなのか普通に悩ましくなるエルヴィンであった。
(ま、大分他人の気持ちがわかるようにはなってきたかな)
レイノルドは優秀で才気溢れる主人だが、他者の気持ちがわからない。
そこが、唯一にして最大の欠点であると前任の執事が言っていた。
まあそれは、エルヴィンの父親のことなのだけれど
(私は、人の上に立つ者はそれでもいいと思っていた。他者の気持ちがわかったところで切り捨てるしかないことはある。なら端からわからなければ無用に傷つくこともない、と)
そんなふうに考えるくらいには、この年下の主人のことをエルヴィンは気に入っていたし、大事に想っていたのだと思う。
でも、今は
「心配せずとも、彼は帰ってきますよ」
「……私を、恨んでいるだろうか?」
「殺しかけたんですから、それくらいは覚悟しておいた方がよろしいかと」
「なんで嘘でもそんなことありませんよって言わないんだ…?」
「嘘をついてもしょうがないでしょう。彼の気持ちは彼にしかわからないし、私は私の意見を言ったまでです」
「………………つらい…」
リュウに会えないのは、つらい
レイノルドはそう言うと、書類の束の上に顔を伏せてしまった。
「存外可愛いことを言いますね」
「馬鹿にしているだろう…」
「まあ…でもそういうのは、本人に言うのがいいですよ。あれで彼は情に脆いところがありますから、効果覿面かもしれないですよ」
「そう…かなあ…」
そうだといいな…と、レイノルドは顔を横向きにしてエルヴィンを上目遣いに見つめる。
その気になればどんな立場の男も女も魅了出来そうなほど、端正な顔立ちをしているというのにこの人は…
(宝の持ち腐れだなあ)
と、エルヴィンはレイノルドの顔を見下ろしながらそう思う。
よりにもよって人間の性奴隷に恋をした主を不憫と断じながらも、まあこれはこれでよかったのかもしれないなとエルヴィンは考える。
その心は?
見ていてとても、面白いからである。
エルヴィンはしおしおと萎れた主人の後ろ姿を見て、情けないとばかりに叱咤する。
「そんなに落ち込まずとも、あと数日もすれば彼は戻ります。その間、そんなにお寂しいのであれば別の子と遊んでお待ちになればいいじゃないですか」
「誰と遊べって言うんだ?リーリエがベッタリはりついてるっていうのに」
「…そうでしたね。ではリーリエ嬢とお遊びになっては?」
「彼女と深い仲になるくらいなら、リュウのウンコを食った方がマシだ」
「…………(マジかよコイツという顔)」
「…………(大真面目だという顔)」
この場合、龍之介に対する愛を称賛すべきか、それともリーリエへの徹底した嫌悪感をフィーチャーすべきなのか普通に悩ましくなるエルヴィンであった。
(ま、大分他人の気持ちがわかるようにはなってきたかな)
レイノルドは優秀で才気溢れる主人だが、他者の気持ちがわからない。
そこが、唯一にして最大の欠点であると前任の執事が言っていた。
まあそれは、エルヴィンの父親のことなのだけれど
(私は、人の上に立つ者はそれでもいいと思っていた。他者の気持ちがわかったところで切り捨てるしかないことはある。なら端からわからなければ無用に傷つくこともない、と)
そんなふうに考えるくらいには、この年下の主人のことをエルヴィンは気に入っていたし、大事に想っていたのだと思う。
でも、今は
「心配せずとも、彼は帰ってきますよ」
「……私を、恨んでいるだろうか?」
「殺しかけたんですから、それくらいは覚悟しておいた方がよろしいかと」
「なんで嘘でもそんなことありませんよって言わないんだ…?」
「嘘をついてもしょうがないでしょう。彼の気持ちは彼にしかわからないし、私は私の意見を言ったまでです」
「………………つらい…」
リュウに会えないのは、つらい
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「まあ…でもそういうのは、本人に言うのがいいですよ。あれで彼は情に脆いところがありますから、効果覿面かもしれないですよ」
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