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おはなし

三話 胸キュン

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聖女ロマンの代わりに魔王の生贄になってから
早一ヶ月 メイは現魔王のリオンを一年後の国あげての結婚式を挙げる2人へ復讐するための
協力者として鍛え上げることを決意する。

マスカス王国は魔法石や魔術ではこの国に依存しており、私が聖女じゃないと分かれば…魔族との全面戦争が開始されるのは確実だが…

今の魔王では国一番のレオナード王子や聖女ロマンに…ブサイクで臭い魔王だなと心底バカにされる可能性がある…   せめてリオン様が威厳のある体つきなってから復讐したい…仮にブサイクだとしても体つきにが良ければそれだけで十分だ。



「リオン様おはようございます」
黒笑いで朝のご挨拶をする。

リオンは寝ぼけているがメイの存在を察知してからすぐにベッドに潜り込んだ。

「リオン様…約束忘れましたか?私と協力してくれたら…」

「わかりました…」

リオンはベッドからのそりと起き上がる。

「さてリオン様 今日から絞っていただけないと…」

「えっ」

嫌な予感がしていた。

「リオン様は少しお太りになられているとセバスチャンから聞きましたわ これでは威厳のある魔王様にはなれません 今日から食事制限と運動をしていただきますわ」

メイは黒笑い

その日からリオンのダイエットが始まった。
早朝に走らされたり 食事制限されたりといろいろさせられた。

セバスチャンは「聖女様の命令ですから…これも父上のような立派な魔王への果てしない道です
陛下」と言われ拒否された。

「うぷっ…」長年運動をしていなかったため息を荒げる。

それでも頑張ったのは彼女が復讐終えたら自分との結婚を無かったことにしてくれるという約束を果たすため。

そして月日が流れ冬…

その朝 鏡で自分の姿を見たリオンは硬直していた。

「おはようございます…リオン様」

メイはリオンの寝室の扉を開く…

そこには黒い肌の筋骨隆々の長い耳の男性
長い髪の隙間には左は赤色の目右は青の目の美しいオッドアイ…

「リオン様?」

メイが名前を呼ぶ。

「…おはようございます」
リオンはもじもじしながらこちらをむく

「…」赤面しながら扉を閉めるメイ
扉の前で心臓がばくばくなっている。

(…えっえっえっ)脳内がパニックになる

セバスチャンはそんな2人を見てニヤニヤしていた。

その日、メイは痩せたリオンを直視出来ずにいた。

リオンはいつもの態度とは違う、メイにキョトンとなっている。



その夜

自室の寝室でベッドに寝転がるメイ
「…」相変わらず心臓がドキドキしている。

そこにセバスチャンが自室に入ってきて、紅茶を入れた。

「少し話せますか??メイ様」

セバスチャンの入れた紅茶を飲みながら、話を聞く。

「リオン様の事についてですが…リオン様はその
女性に対して苦手意識があり…」

「知っていますわ…リオン様の女性嫌い 私との婚約を前から嫌がっていたみたいですし」

「それには理由がありまして…」

セバスチャンは重い口を開き、リオンの女性嫌いの原因についてお話された。

「リオン様はある人間の女性に恋心を抱いていたのです 幼きリオン様は勇気を振り絞りその方に愛の言葉を伝えました…ところが臭くてきもいなどの暴言を吐かれた上 その人間の女性に嘘つかれて村中の村人から襲われた経験から女性がお嫌いに…ですが…あなたが現れてくれました日からリオン様は変わりました」

セバスチャンはキラキラした目でメイを見る。

「リオン様が自らを磨こうとするだなんて…これも聖女様のおかげです」

紅茶をかちゃりとおく。

「私は何もしていませんわ…ただ痩せさせただけ」

(リオンは私との婚約を破棄したいがため痩せたのだ…あと自分は聖女ではない…

ただの人間

もし復讐を終えたらこの方々とは縁を切ることとなるだろうな)

と思いながら窓から心身に積もる雪を見ていた。



















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