無能なボクがスターになるまで

もちもちピノ

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始まり

下働きとデビュー

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これは幸福サーカス団がまだ
小さなサーカス団だった頃。

春の演目の準備を進めるメンバーの一人である
獣人のsilkシルク本名狼沢健二郎おおかみざわけんじろうとその親友であり幸福サーカス団のスターであるジョーカー本名ピンキーインポスター

そして小さな団長。
サーカスにはお金がないので他のメンバーを雇う事もできず 衣装や動物も買うこともままならない状況。
「今日も客少なかったな…」
「もうボクらのショーの魅力がわからない奴らばかりだ」
狼沢とピンキーは愚痴っていた。
そこに団長が現れこう言った。

「今日から新しい新メンバーが入ることになった」

皮荷物と高そうなスーツを着た青年がむすっとしながら立っていた。

「今日から我々の仲間になるアントワーヌ・リントス君だよ」

「ボクの名はアントワーヌ・リントス 今日からこのサーカス団でお世話になります以後お見知り置きを」

礼儀正しいその青年は幸福サーカス団のスターであるジョーカー事ピンキーの下働きとして働くこととなった

「アントワーヌ お前はボクのパシリとしてはたらくんだよ~最初の仕事は洗濯ね」

大量の洗濯物を受け取り、水場に行き洗う。
冬の終わり頃だが外はかなり寒いため外の洗濯はつらいものアントワーヌの手はどんどん冷たくなり手先が震えていた。
そして洗濯を終え一息つこうとするとジョーカーが現れ「次は壊れた衣装とテントを縫い直せ」と次から次に仕事を押し付けられていた。

アントワーヌはコクリとうなづきテントと衣装の直し方をしている。

そこに狼沢が現れる
「無理すんなよアントワーヌ あいつお前が下働きだからって次から次へと仕事を押し付けやがって…」

「大丈夫です 仕事ですから」

そういうと再び仕事を再開する。



アントワーヌがサーカスに来てからテント内が綺麗になったが相変わらずお客さんが来ず
ピンキーは苛立っていた。
「なんでこないんだ…」

考えた末サーカスの演目がありがちだと気づき
すぐに台本を見直したが全然思いつかなかった。

「クソ」

「ジョーカーさん コーヒー…」
「今忙しいんだよ…そうだ」

そういうとジョーカーはアントワーヌの方を叩く。

「アントン君~ボクの相方になってくれないかな~そしたらもっと盛り上がると思うし」
「わかりました」

あっさり承諾したアントワーヌにピンキーはニコニコしていた。

それから1週間後の午後3時にサーカスの幕が上がり幸福サーカス団のジョーカー事ピンキーと…白い化粧をし道化師のアントワーヌが現れる。

「お集まりいただきありがとうございます こちらは今日からボクの相方を務めるハッピーと申します 見ての通りの仏頂面ですがよろしくお願いします」

二人はお辞儀をし、幕の中に戻り準備を始める。

「いいか お前は泣きピエロだ主役であるボクを目立たせる事が仕事だ 用は間抜けを演じればいいんだよ」
指でアントワーヌ__ハッピーの胸をつつく。

「わかりました……」

そして再び幕が上がると囚人服の格好をしたジョーカーと警察官の姿のハッピーが現れる。

内容は脱獄囚を捕まえる間抜けな警察官の物語である。

ハッピーがピンキーを追いかけると足を紐に括り付けられ高いところから落とされそのまま宙ぶらりんとなりそのまま水の入ったタルに落とされてしまった。

濡れた姿のハッピーを見て甲高く笑う客たち。

ピンキーはその光景を喜んでいた。
(ヨシヨシこのまま)

濡れた服でピンキーを見るハッピーだがそのあとクリームパイを顔に投げられてしまい再びタルの中に入っていく。
観客はゲラゲラ笑いステージにお金を投げ入れていた。

ピンキーは観客の具合からハッピーを見ていた。

(こいつはいけるぞ)

これがハッピーことアントワーヌの地獄のような日常の始まりだった。









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