この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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世界観、導入

――  はじまりはじまり   ーー①

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「……改めまして。彼女はリイサ、オレの幼馴染だ」

「よろしくね、えっと……」

「あ、キティです、ただのキティ」

「よろしく、キティちゃん。さっきはごめんね、驚かしちゃって。それに、その服も急だったから私のお古なんかで」

「いいえ、そんなことないわ、とっても素敵な服をありがとう」

 これは完全に本心。あのワンピースはなんとなく(きっと初めて見たのが絢爛豪華なラフィーナだったせいで)みすぼらしくて嫌いだったし、それに、もはや服ではなくなってたし。

 ケヴィンは、やはり男の家にいくら小さい女の子だからといって女性を連れ込むのはなんとかかんとかとぶつぶつ言いながら、自宅じゃなくてすぐ近くにあるリイサの家に連れて行ってくれた。わたしには良くわからない葛藤がケヴィンにはあったらしい。

 リイサはわたしたちの突然の訪問に驚いていたけど、でも、そんなことよりもケヴィンがほとんど半裸でボロボロになったわたしを連れていることの方が衝撃的だったらしく、「なんてことをっ、ケヴィン!」「ち、違う! 誤解ごぶぇっ……!?」

 とりあえずかなり強めの平手打ちを思いっきりブチかましていた。人間ってこんなにも軽々しく飛んでいくんだー、ってくらいケヴィンの大きな身体が彼方へとド派手に飛んでいった。

 わたしはリイサに匿われるように半ば強制的にお風呂に入れられ、そして、ほかほかのうちにわたしには少し大きめなチュニックに着替えさせられたのだった。おかしいな、なんだか胸元が心許ないぞ? わたしは釈然としないながらもだぼだぼの服の袖を捲り上げる。

 この服も麻色でストンとしたシンプルなもの。わたしにはこれ1枚でもワンピースみたいで十分だったけど、ついでに新しい下着と茶色のスカートもくれた。ありがたすぎる。

 容赦なくだぼだぼの服達に包みこまれたわたしがキョトンとしている間に、リイサの誤解はすぐに解けたみたい。だけど、むすっと不機嫌なケヴィンの左のほっぺたは手のひら型に真っ赤に腫れ上がっていた。

「オレが信用されていないってのが良くわかったよ」

「そんなんじゃないって。ごめんなさいってば」

 リイサはすらりとしていて、だいぶお姉さんな感じなんだけど、子供みたいに屈託なく笑う。栗色の長い髪を後ろで緩く一本に編んでまとめている。ゆったりとしたシンプルな上着と長いスカートには飾り気や鮮やかな色はあまりなく、それでも、自然の色合いがリイサの素朴で優しげな雰囲気と良く似合っていた。

「それで? キティちゃんはどうしてあの森に独りでいたの? ご両親は? どこから来たの? 何かひどいことをされたの?」「されてないよな、な、キティ?」

 リイサは温かい紅茶の入ったマグカップを私に渡しながら、怒涛の質問攻め。青みがかかった栗色の瞳がキラキラしている。どうやら、こちらもケヴィンみたいに好奇心旺盛みたい。

 そして、わたしはその全てに答えられない。どこから、くらいなら答えられるけど、お空から、なんて言っても絶対に信じてくれない、ケヴィンみたいに冗談だって笑い飛ばされてしまいそうだし。

「え、えっと、これは、その、あ、あれだ、あ、わたしはもしかしたら記憶喪失なのかも」

 とりあえず、記憶どころかこの世界の何もかもすらも知らないけど、これならなんとか誤魔化せるでしょ。命の恩人たちに対して嘘をつくのはなんとなく心苦しい気はするけど、今のところわたしはこの人たちに頼らざるを得ないわけで、無駄に気味悪がられてもいいことは何一つないし、ここはいたって普通の記憶喪失少女(?)として振る舞っていた方がよさそうだもの。と、ここまで一気に思考。

「本当か? 本当に何も思い出せないのか?」

「う、うん、そうね、全然まったくさっぱり一切合財何もかも全部忘れてるわ」早口で。

 う、心配そうなふたりの視線に胸が締め付けられる。

 いや、でもまあ、よく考えたら、記憶を失ったまま気づいたらまあまあの高さで木の枝に引っかかってた、なんて状況、我ながら怖すぎるし意味不明すぎる。何かしらの事件性を感じざるをえない。

「わたしが知ってるのは、【透明幻想・錯綜少女基底】って名前……じゃなくて、言葉だけ」

 これだけが真実で、わたしはこれだけを持っている。

 だけど、それだけじゃ物足りない、なんて欲張りかしら。

 もっと自分のことを知りたい。もっとわたしが創ったこの世界のことを知りたい。もっとこの物語がどういう風になっていくのか、その先を知りたい。
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