この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~

儀仗空論・紙一重

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起《承》転結

ーー  【不浄遺棄地域】  ーー③

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 なんてことかしら、ヒントどころか、目の前に答えのひとつがあるだなんて!



「我が真名は、【不浄遺棄地域】――世界を外れしもの――」



 陰鬱な。地の底より湧き出た汚泥のような低くくぐもった響き。

 それにしても、かつて強大な戦力を誇っていた魔王の真の名としては、あまりにも矮小でいたたまれないんじゃないかしら。

 【不浄遺棄地域】という物語は、わたし達が……すいません、主におじいちゃんとエルルカが調べてくれた神話群の中には影も形もその名前すらもなかった。

 でも、それはそうか。

 何千年も、いや、きっと顕現してからずっと魔王としてこの世界に君臨していたんだ、【不浄遺棄地域】としての伝承なんてあるはずがない。

「貴女達が魔王、アヴァルギリオン、と呼ぶ此の身体は我が概念構造の一側面に過ぎず。貴女達とは次元階位が異なる故に。我は“始源拾弐機関”にて非選択世界を司るもの。我が本質的構造体は虚数の具現である」

 なんだか良くわからないけど、と、とにかく、魔王が“始源拾弐機関”ってことでしょ?

「ねえ、【不浄遺棄地域】! わたし、聞きたいことがいっぱいあるの! この世界はわたしが創ったの? いつ出来たの? 時間はいつから始まっているの? わたしは何なの? そうだ、他の“始源拾弐機関”のことは何か知らない?」

 知りたかったことが一気に溢れて、わたしの喉を無様に鳴らし続けて、まくし立てる言葉が一向に止まらない。

 初めて“始源拾弐機関”に会えた、もしかしたら、この世界のことをなんでも知っているかもしれない。だって、だって、【不浄遺棄地域】は大昔にこの世界の半分を支配した魔王なんだもの!

 だけど、その回答はわたしの興奮をよそに、実に素っ気ないものだった。

「力添えに成れず申し訳ない、我は此の世界に非ず、貴女の問いに答えられず。其れを知りたくば、時間という始源を司る【心励起/仇多羅急行】に訊くのが良いだろう」

 くらりと立ちくらみがして。

 わたしは振り出しに戻ったような気がした。

 わたし達は確かに進んでいる、【不浄遺棄地域】にも会えた。次の物語へのヒントももらった。それなのに、そんなことはないはずなのに、わたしはまだ何も得られていないような虚無感に陥ってしまった。

 わたしはまだ物語の進め方を知らない。

 わたしはまだ立派なストーリーテラーにはなれそうにない。
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