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起《承》転結
ーー異世界仲直りーー①
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「ケヴィン!?」
「キティ!? どうしてこんなところに!?」
ああ、彼らはもう、わたしの物語には出てこないと思っていたのに!
そこには、キラキラ輝く重厚な鎧を身に着けたケヴィン、身の丈ほどもある曲がりくねった大きな魔法の杖を持ったリイサの姿。
それに、細身の黒い鎧と黒いレイピアを構えるアンバークロウに、あとは、わたしの知らない顔ぶれがふたり。ひとりは分厚い甲冑に、身体を覆ってしまえるほどの大きな盾を持っていて顔は見えないけど、きっと大男ね。そして、もうひとりは、背中に白い鳥のような大きな羽の生えた薄着の女性。……あれ、ピスクルがいない。
どう見てもみんな明らかにレベルアップしてるし、ちゃんと最強装備も整えてきている。ほとんど手ぶらのわたし達とは大違いだ。
そして、明らかに【不浄遺棄地域】だけではなく、わたし達に対しても敵意剥き出しの臨戦態勢だ。
「お、おい、あれ、魔王のそばにいるのって竜人じゃねえか? 大昔に絶滅したんじゃねえのか?」
アンバークロウの低く陰鬱な声、聞き覚えのある声、集会所で聞いたときは安心した、でも、今は、ぎしりと胸を締め付けるような声。アナタはわたしなんて眼中にないだろうけど、きっとわたしの物語の分岐点はアナタとケヴィンとの出会いだったのよ?
アンバークロウにぶっきらぼうに指差されてイラッとしたのだろうか、ぴくっとその尖った耳を少しだけ動かしながら、
「お、なんだ、こいつら。キティの知り合いか?」空気の読めないアズの間の抜けた声。
「……うん、“ちょっとした”知り合い。でも、もう会わないと思ってた」
こんなにすぐ再会してしまうなんて思わなかった。あんなひどい別れ方をして、いや、もはやわたしが勝手に逃げ出しただけだから、喧嘩別れですらないのに、今さらどんな顔で会えばいいんだ。いっそのことわたしのことなんて忘れてしまっていてくれたらどんなに気楽だったことだろうか。
しかも、この状況。あまりにも気まずく、そして、とてもまずい。たぶん、いや、絶対にめっちゃ誤解されてる。
「あら、あの日キティさんと一緒に図書館に来ていたひと達ね」
「うん、こちら、ケヴィンとリイサ……って今はそんな場合じゃないよ!」
「なんじゃ、こやつらも魔王城に落書きしに来た輩か?」
どうやらこのパーティの中でひりひりしているのはわたしだけで、エルルカもおじいちゃんも、それに、アズや【不浄遺棄地域】さえもぽかんとしている。うーん、確かに【不浄遺棄地域】はもうやりきった感あったもんね。あのまま、わたしを送り出す気満々だったもん。
まあ、でも、ケヴィン達勇者御一行さまは、こっちの事情も、魔王の正体が、ケヴィンが楽しそうに話してくれた“始源拾弐機関”の1つ、【不浄遺棄地域】である、なんてのも知ったこっちゃない。
あっちにはあっちの、こっちにはこっちの物語があって。
だから、どうやったってお互いにそれは譲れない。
「キティ!? どうしてこんなところに!?」
ああ、彼らはもう、わたしの物語には出てこないと思っていたのに!
そこには、キラキラ輝く重厚な鎧を身に着けたケヴィン、身の丈ほどもある曲がりくねった大きな魔法の杖を持ったリイサの姿。
それに、細身の黒い鎧と黒いレイピアを構えるアンバークロウに、あとは、わたしの知らない顔ぶれがふたり。ひとりは分厚い甲冑に、身体を覆ってしまえるほどの大きな盾を持っていて顔は見えないけど、きっと大男ね。そして、もうひとりは、背中に白い鳥のような大きな羽の生えた薄着の女性。……あれ、ピスクルがいない。
どう見てもみんな明らかにレベルアップしてるし、ちゃんと最強装備も整えてきている。ほとんど手ぶらのわたし達とは大違いだ。
そして、明らかに【不浄遺棄地域】だけではなく、わたし達に対しても敵意剥き出しの臨戦態勢だ。
「お、おい、あれ、魔王のそばにいるのって竜人じゃねえか? 大昔に絶滅したんじゃねえのか?」
アンバークロウの低く陰鬱な声、聞き覚えのある声、集会所で聞いたときは安心した、でも、今は、ぎしりと胸を締め付けるような声。アナタはわたしなんて眼中にないだろうけど、きっとわたしの物語の分岐点はアナタとケヴィンとの出会いだったのよ?
アンバークロウにぶっきらぼうに指差されてイラッとしたのだろうか、ぴくっとその尖った耳を少しだけ動かしながら、
「お、なんだ、こいつら。キティの知り合いか?」空気の読めないアズの間の抜けた声。
「……うん、“ちょっとした”知り合い。でも、もう会わないと思ってた」
こんなにすぐ再会してしまうなんて思わなかった。あんなひどい別れ方をして、いや、もはやわたしが勝手に逃げ出しただけだから、喧嘩別れですらないのに、今さらどんな顔で会えばいいんだ。いっそのことわたしのことなんて忘れてしまっていてくれたらどんなに気楽だったことだろうか。
しかも、この状況。あまりにも気まずく、そして、とてもまずい。たぶん、いや、絶対にめっちゃ誤解されてる。
「あら、あの日キティさんと一緒に図書館に来ていたひと達ね」
「うん、こちら、ケヴィンとリイサ……って今はそんな場合じゃないよ!」
「なんじゃ、こやつらも魔王城に落書きしに来た輩か?」
どうやらこのパーティの中でひりひりしているのはわたしだけで、エルルカもおじいちゃんも、それに、アズや【不浄遺棄地域】さえもぽかんとしている。うーん、確かに【不浄遺棄地域】はもうやりきった感あったもんね。あのまま、わたしを送り出す気満々だったもん。
まあ、でも、ケヴィン達勇者御一行さまは、こっちの事情も、魔王の正体が、ケヴィンが楽しそうに話してくれた“始源拾弐機関”の1つ、【不浄遺棄地域】である、なんてのも知ったこっちゃない。
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だから、どうやったってお互いにそれは譲れない。
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